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将棋界

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

将棋界しょうぎかい棋界きかいは、将棋をめぐって、プロの棋士やアマチュア選手、将棋ファン(愛棋家)、業界関係者などで構成する社会領域。日本将棋連盟がその総本山である。

プロ将棋界

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プロ棋士

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将棋のプロは、次の2つに大別される。

1. 棋士(日本将棋連盟の四段から九段)
原則として新進棋士奨励会(通称:奨励会)で所定の成績を収めて四段昇段した者。ただし、2006年よりアマチュア・女流棋士としてプロ公式戦で所定の成績を収めた上で、編入試験に合格することで四段編入が認められるようになった[注 1]
棋士のうち、現役の棋士は160名ほどである。[注 2]
2. 女流棋士(女流2級から女流七段)
現役は、60から70名程度である。

また、女流棋士は、次の3つに分かれている。

a. 日本将棋連盟所属の女流棋士
b. 日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属の女流棋士
c. フリーの女流棋士(2023年現在、フリーの女流棋士は中井広恵のみ)

過去に、北尾まどかが2009年6月15日にLPSAを退会して「フリーの女流棋士」、次いで「日本将棋連盟の客員女流棋士」となり、2011年4月1日に日本将棋連盟所属の女流棋士に復帰した例がある。「日本将棋連盟の客員女流棋士」の該当者は北尾のみ。北尾まどか#棋歴を参照。

女性が新進棋士奨励会に入会して棋士を目指す例もあるが、今日まで四段昇段に至ったものはなく、女性の「棋士」は誕生していない[注 3]。よって、女流棋士との区別をわかりやすくする意味で、棋士のことを「男性棋士」と呼ぶことがある。

棋戦

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プロが出場する将棋の大会は総じて棋戦と呼ばれる。将棋のプロ棋戦には、タイトル戦と、タイトル戦以外の一般棋戦(「優勝棋戦」などとも呼ばれる)[注 4]があり、いずれも1年周期で行われる[注 5]。タイトル戦に優勝すると1年間にわたりその称号(タイトル)を名乗ることができ、翌年に行われる同じタイトル戦では決勝戦までシードされる(これを挑戦手合制と呼ぶ)。タイトルを保持することは単に名誉であるだけでなく、様々な特権的待遇が付随する[注 6]。また長期的に見れば、棋士としての実績はタイトルを何回獲得したかによって評価されることが多いため、タイトル獲得数は将棋界におけるステータスに直結する。したがって多くの棋士はタイトルの獲得を目標に据えて日々の対局をこなしている。

現在タイトル戦は竜王戦名人戦叡王戦王位戦王座戦棋王戦王将戦棋聖戦の8つが行われている。名人戦の予選には順位戦という名前がついており、この順位戦を除く7つのタイトル戦には棋士全員が参加する(順位戦にもほとんどの棋士が参加する)。中には棋士以外でも出場できるものがあり、竜王戦・叡王戦・棋王戦には女流棋士とアマチュアの両方、王位戦・王座戦・棋聖戦には女流棋士の出場枠がある。竜王戦には奨励会員の出場枠もある。

一般棋戦の中には全棋士が参加するもの(朝日杯将棋オープン銀河戦NHK杯の3棋戦)もあるが、出場条件が限られたものがある。将棋日本シリーズのプロ公式戦は選抜されたトップ棋士のみで行われる棋戦であり、新人王戦YAMADAチャレンジ杯加古川青流戦の3棋戦は若手棋士もしくは低段の棋士のみで行われる棋戦である。これら一般棋戦はタイトル戦とは異なり、前年優勝者であっても当年の出場は保障されず[注 7]、出場できたとしてもトーナメント戦を再び勝ち上がる必要がある[注 8]。一般棋戦にもタイトル戦と同様に、アマチュアの出場枠、女流棋士の出場枠、奨励会員の出場枠が設けられているものがある。

女性のみ参加できる棋戦は女流棋戦と呼ばれ、7つの女流タイトル戦(清麗戦マイナビ女子オープン女流王座戦女流名人戦女流王位戦女流王将戦倉敷藤花戦)と1つの女流一般棋戦(YAMADA女流チャレンジ杯)がある。女流タイトルを獲得することは、それ自体が女流棋士にとっての大きな目標であるとともに、前述した8大タイトル戦に女流棋士枠から出場する上で非常に有利な実績となる[注 9]。女流棋戦の中には、女流棋士以外の女性も参加できるものがあり、実際に女性奨励会員が女流タイトルを獲得した事例が複数ある[注 10]。アマチュアの出場枠が設けられている女流棋戦もあり、女流王座戦のように申し込めば誰でも参加できるものもある。

竜王戦と名人戦(順位戦)

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8つのタイトル戦の中でも、竜王戦名人戦は特に重要視される。竜王戦の賞金額は将棋の棋戦としては最高額であり、タイトル序列は1位である。一方、名人戦はタイトル序列こそ2位であるが、タイトル戦として最も長い歴史を誇り、またタイトル戦が生まれる前からの「名人位」の歴史も非常に長い。これらの事情から、竜王位と名人位は数あるタイトルの中でも棋士たちが特に憧れるタイトルであって、竜王戦・名人戦の両タイトル戦は将棋界の内外から熱い注目を注がれる一大イベントでもある。

竜王戦と名人戦が特に意識される理由はもう一つある。それは、各棋士の直近の成績をもとに全棋士を序列化・階層化し、現在の実力を端的に示す指標を作っていることである。竜王戦は全ての現役棋士を7つの階層(1組〜6組および竜王)に分け、竜王を頂点とする階層構造を形成している。名人戦の予選である「順位戦」もまた、現役棋士を大きく7つの階層[注 11]に分け、さらにこのうちA級からC級2組までの5階層についてリーグ戦を行い一人一人に順位を付していく。昇段することはあっても降段することはない「段位」の制度とは異なり、竜王戦・順位戦のクラスは毎年入れ替えが行われる[注 12]ため、各棋士の実力の変化(成長と衰退)が反映されやすくなっている。したがって各棋士の在籍クラスは、それ自体が将棋界におけるステータスであり、日本将棋連盟公式ウェブサイトの棋士プロフィールページ上部に記載される[注 13]ほか、一部棋戦のシード条件としても利用されている[注 14]

さらに順位戦における成績は、棋士生命の存否にも関わる。成績不振のためにフリークラスに一定年数在籍した棋士は、規定による引退を余儀無くされる。また、60歳以上の高齢棋士がC級2組から陥落した際にも、規定による引退が決定する。逆に、順位戦でC級2組以上に在籍し続ける限りは、(竜王戦をはじめとする)他棋戦での成績が全く振るわなくても棋士引退にまで追い込まれることはない。

竜王戦の予選は、竜王在位者を除く全棋士が1組から6組のいずれかに振り分けられ、どの組からでも竜王に挑戦できるチャンスがある[注 15]ため、新人棋士から高齢棋士まで誰もが挑戦のチャンスを持つ。10月にプロ入りしたばかりの新四段の棋士でも、翌年に竜王位を奪取すればデビューからわずか14〜15ヶ月で竜王となる可能性がある(竜王ドリームと呼ばれる)[注 16]。一方、名人戦の挑戦者となることができるのは定員が10しかないA級において1位となった者のみである。新しくプロになった棋士はC級2組(もしくはフリークラス)に在籍することになっており、しかも飛び昇級の制度はないため、名人への挑戦権を得るまでには、プロ入り後最低でも5年かかる(これは8つのタイトル戦の中で群を抜いて長い)。

獲得賞金と対局料

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棋士の収入の主軸は、棋戦に参加して対局することにより支払われる対局料と、棋戦に優勝ないし準優勝することにより支払われる賞金[注 17]である。この他にも日本将棋連盟の役職に対する報酬、タイトル戦などの立会に対する手当などがあり、個人によってはこれらの他に将棋関連イベント(大盤解説会等)やテレビ番組・インターネット番組への出演[注 18]、指導対局、将棋道場や将棋教室の経営、棋書やエッセイ等の執筆活動、将棋関連漫画・映画等の監修などによる収入をあげる者もいるが、棋士はそもそも自由業であり、自ら確定申告を行っているため、対局に紐づかない収入は連盟も関知していない。

獲得賞金と対局料の合計額による棋士のランキングは、毎年「獲得賞金・対局料ベスト10」(2001年から2011年分はベスト20)として、翌年2月頃に日本将棋連盟から発表される。4月から3月の「年度区切り」ではなく、1月から12月までの(暦年)集計である。なお集計のタイミングは「実際に賞金が支払われる時期」を基準とするため、竜王戦(のタイトル戦)のように「対局は年末、賞金の支払いは年明け」となる場合、ランキングでは翌年の集計に反映される[注 19]

タイトルホルダー、棋戦優勝者に加えて順位戦A級の棋士が上位となる傾向が強い。また竜王戦は賞金額が高く、竜王保持者はもちろんのこと、タイトル戦の敗者も賞金が1,650万円[1]と高額であることから上位になりやすい。

このランキングは、翌年のいくつかの棋戦への出場権に関係する。「将棋日本シリーズ」では2006年に出場枠の規定が変更され、獲得賞金・対局料ランキングでの順位が出場権に反映されるようになった(従来は、順位戦の順位)。また、2007年から2012年まで行われた「大和証券杯ネット将棋・最強戦」の出場権も、このランキングに関係していた。

以前は、対局料とは別に順位戦のクラスによって決まる基本給もあった。基本給は名人が最も高く、A級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組と下がる毎に、1つ上位の7割前後が基本給となっていた[注 20]。また、棋士は厚生年金に加入していた。

2011年3月4日に日本将棋連盟が公益社団法人化されると、基本給は原則廃止され、対局料・賞金、そして将棋普及活動への報酬に回された。また、夏と冬の特別手当(賞与)も廃止され、厚生年金も脱退した。基本給、賞与、厚生年金保険料負担は、公益社団法人において禁止事項とされる「特別の利益供与」に該当するためである[2]。しかし、多くの棋戦はトーナメント方式なのに対し、リーグ戦方式で対局数が保証されている順位戦の対局料は、今なお基本給としての性質を持ち合わせている。また、各棋戦ごとに参稼報償金が設定されており、現在は基本給に代わるものとして支給されている[3][4]

獲得賞金・対局料ベスト10/20
  • 単位は、万円。*金色は歴代最高金額。
  • 竜王戦は12月に終了するが就位式が翌年のため獲得賞金の反映も翌年となる。
  • 2001年から2011年分はベスト20として発表されていた。
  • ベスト10以内に入ったものは、その前年の順位と獲得額も合わせて発表される。
  • 上記2点の事情のため、本表では前年に20位圏内に入っていた場合も反映している。
  • 色付きは、当年1月 - 12月のタイトル獲得(奪取または防衛)を表す。タイトル2つ以上獲得は濃い色、1つ獲得は薄い色
1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 11位 12位 13位 14位 15位 16位 17位 18位 19位 20位 女流1位 備考 出典
2023 藤井聡
*18634
渡辺明
4562
永瀬
3509
広瀬
3066
羽生
2604
豊島
2223
菅井
1959
佐々大
1881
稲葉
1781
伊藤匠
1728
丸山 糸谷 西山 藤井八冠
(歴代最高金額)
[5]
[6]
2022 藤井聡
12205
渡辺明
7063
豊島
5071
永瀬
4668
斎藤慎
2362
広瀬
2166
菅井
1970
佐藤天
1819
山崎
1770
稲葉
1580
羽生 糸谷 高見 福間 [7]
[8]
2021 渡辺明
8194
豊島
8145
藤井聡
6996
永瀬
4821
羽生
3236
斎藤慎
2567
木村一
2245
糸谷
1876
稲葉
1703
菅井
1674
山崎
1498
佐藤天
1479
広瀬
1392
西山 [9]
2020 豊島
10645
渡辺明
8043
永瀬
4621
藤井聡
4554
広瀬
3241
羽生
2491
久保
2421
木村一
2338
丸山
1926
千田
1692
糸谷
1502
菅井
1445
稲葉
1395
斎藤慎
1338
  福間 [10]
2019 豊島
7157
広瀬
6984
渡辺明
6514
永瀬
4678
羽生
3999
佐藤天
3687
木村一
3209
久保
2178
藤井聡
2108
斎藤慎
1868
  福間 豊島竜王名人 [11]
2018 羽生
7552
佐藤天
5999
渡辺明
5119
豊島
4722
広瀬
2802
高見
2636
久保
2598
斎藤慎
2393
菅井
2193
深浦
2189
藤井聡
2031
永瀬
1382
  福間 [12]
2017 渡辺明
7534
佐藤天
7255
羽生
5070
久保
3019
丸山
2908
稲葉
2801
菅井
2363
中村太
2144
松尾
1985
佐藤康
1967
豊島
1795
斎藤慎
1699
広瀬
1499
深浦
1359
  福間 [13]
2016 羽生
9150
渡辺明
7390
佐藤天
5722
糸谷
3543
山崎
3206
郷田
3185
豊島
2492
丸山
2210
三浦
1997
深浦
1849
久保
1665
佐藤康
1602
稲葉
1423
  加藤桃 [14]
2015 羽生
11900
糸谷
5531
渡辺明
4577
森内
3450
行方
2689
佐藤天
2616
郷田
2467
豊島
2459
深浦
2373
広瀬
2042
三浦
1989
山崎
1346
  福間 [15]
2014 羽生
11499
森内
8374
渡辺明
6684
郷田
2340
豊島
2160
行方
2090
三浦
2089
深浦
1720
佐藤康
1643
木村一
1634
糸谷
1563
広瀬
1356
  福間 [16]
2013 渡辺明
10255
羽生
7281
森内
5503
郷田
3453
丸山
2912
佐藤康
2720
行方
1821
谷川
1818
久保
1788
三浦
1633
豊島
1179
深浦
1149
木村一
1037
  福間 森内竜王名人 [17]
2012 羽生
9175
渡辺明
7197
森内
5317
丸山
3409
久保
3233
郷田
2597
佐藤康
2505
深浦
2100
藤井猛
1705
山崎
1643
三浦
1413
  福間 [18]
2011 羽生
9886
渡辺明
8365
久保
4659
森内
3371
丸山
2643
深浦
2145
木村一
2052
広瀬
2005
佐藤康
1920
郷田
1679
三浦
1650
橋本崇
1498
山崎
1405
屋敷
1333
豊島
1286
谷川
1220
佐藤天
1148
藤井猛
1107
高橋
1088
糸谷
1035 
福間 [19]
2010 羽生
11576
渡辺明
6240
久保
4829
森内
3270
深浦
3173
佐藤康
3018
三浦
2850
藤井猛
2410
丸山
2372
広瀬
2136
谷川
1925
郷田
1602
山崎
1426
木村一
1342
松尾
1235
阿久津
1230
高橋
1229
鈴木大
1122
屋敷
1075
井上慶
1035 
甲斐
1063
[20]
2009 羽生
11278
渡辺明
5605
深浦
4864
久保
3341
木村一
2942
森内
2728
佐藤康
2688
郷田
2632
阿久津
2570
山崎
2271
谷川
2187
丸山
1755
三浦
1598
藤井猛
1438
井上慶
1337
高橋
1257
森下
1250
鈴木大
1206
行方
1156
松尾
1061 
矢内 [21]
2008 羽生
10711
渡辺明
6252
佐藤康
6082
森内
3782
深浦
3497
木村一
2958
丸山
2544
久保
2402
行方
2068
郷田
1994
鈴木大
1840
森下
1799
谷川
1657
三浦
1502
山崎
1439

1392
阿久津
1382
藤井猛
1376
阿部隆
1257
高橋
1202 
矢内 [22]
2007 羽生
8132
渡辺明
8032
佐藤康
7927
森内
6721
深浦
3392
郷田
2994
久保
2680
木村一
2384
谷川
2350
丸山
1953
森下
1885
阿久津
1700
鈴木大
1585
藤井猛
1522
三浦
1433
阿部隆
1332

1248
中原
1235
高橋
1122
行方
1098 
清水 [23]
2006 羽生
9376
佐藤康
7576
森内
6536
渡辺明
5654
谷川
3205
丸山
3116
藤井猛
2506
鈴木大
2277
郷田
2159
森下
1989
木村一
1925
深浦
1864
三浦
1587
久保
1485

1301
阿部隆
1295
井上慶
1233
高橋
1226
中原
1170
先崎
1152 
清水 [24]
2005 羽生
10391
森内
7117
渡辺明
6194
佐藤康
5040
谷川
2844
三浦
2637
山崎
2299
木村一
2286
藤井猛
1981
深浦
1954
郷田
1934
丸山
1898
森下
1622
久保
1595
鈴木大
1479
阿部隆
1372
先崎
1356
中村修
1334

1327
中原
1220
清水
2004 羽生
11272
森内
10833
谷川
4673
佐藤康
4051
丸山
2785
渡辺明
2442
久保
2407
深浦
2384
森下
1785
三浦
1772
先崎
1728
鈴木大
1553
藤井猛
1512
中原
1468
郷田
1456
高橋
1422
山崎
1327
屋敷
1294

1220
神谷
1213 
清水 森内竜王名人
2003 羽生
12910
佐藤康
5709
森内
5269
谷川
4291
丸山
3745
深浦
3330
三浦
2105
阿部隆
2049
中原
1850
久保
1818
青野
1750

1696
郷田
1655
藤井猛
1572
森下
1550
堀口一
1488
渡辺明
1472
木村一
1459
中村修
1395
鈴木大
1389
羽生竜王名人
2002 羽生
11048
佐藤康
5788
森内
4872
丸山
4405
谷川
4231
藤井猛
3417
郷田
2851
堀口一
2631
阿部隆
2563
森下
2371
中原
1773
木村一
1666
杉本昌
1575
青野
1536

1516

1480
高橋
1450
三浦
1390
中田宏
1365
田中寅
1337
2001 羽生
11519
藤井猛
5823
丸山
5727
谷川
4846
森内
3992
郷田
3274
佐藤康
2567
久保
2440
中原
1881
森下
1818
木村一
1730
高橋
1705
中村修
1673
井上慶
1471
加藤一
1427
屋敷
1419

1399
田中寅
1386
青野
1385
深浦
1367
2000 羽生
10595
谷川
6739
藤井猛
6503
佐藤康
4744
丸山
4137
森内
2729
中原
2427
鈴木大
2160
郷田
2086
森下
1882
青野
1695
加藤一
1652
田中寅
1609

1565
高橋
1423
井上慶
1356
1999 羽生
7872
谷川
6769
佐藤康
6355
藤井猛
6146
丸山
5228
郷田
3801
森内
3138
中原
2377
森下
2144

2071
1998 羽生
11466
谷川
9539
佐藤康
5737
郷田
4078
屋敷
2937
藤井猛
2705
中原
2408
森内
2352

2186
丸山
2059
1997 谷川
11762
羽生
10182
屋敷
3555
中原
3156
森下
3148
佐藤康
2651
森内
2594

2307
真田
1997
高橋
1924
郷田
1488
谷川竜王名人
1996 羽生
16145
谷川
5069
森内
3398
高橋
3111
佐藤康
3104
屋敷
2789
米長
2502
中原
2487

2482
三浦
2178
羽生六冠
→七冠→五冠
1995 羽生
16597
谷川
5402
中原
4309
森下
3410
佐藤康
3372
米長
2591
有吉
2068
郷田
1980
高橋
1966
森雞
1905
羽生竜王名人
(歴代2位金額)
1994 羽生
11297
佐藤康
5513
米長
4732
谷川
4359
中原
3058

2512
阿部隆
2478
高橋
2231
郷田
1972
加藤一
1958
1993 羽生
10063
谷川
5650
米長
4876
中原
4739
森内
2297
佐藤康
2191

2168
深浦
2109
郷田
1970
塚田泰
1925
羽生が初の1位

将棋は先手が有利か

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序・中盤の少しの差が勝負に直結することの多いプロの将棋においては、先手が有利、後手が不利なものであるとされてきた[注 21]。実際、日本将棋連盟が公式戦の統計を取り始めた1967年度以降、41年連続で先手番が後手番に勝ち越していた。象徴的なのは、羽生善治が初タイトル(竜王)を獲得した1989年度に、先手番での勝率が9割を超えたことである(29勝2敗で0.935)。また、「相矢倉は微差ながらも先手有利」という見解が大勢を占め始めた2000年頃から、谷川浩司は後手番のときにあまり矢倉を指さなくなった。

ところが、2008年度は初めて後手番が先手番に勝ち越し、それまでのプロ棋界の常識が覆った[25]。これは、勝率が低かった後手番における普通の振り飛車が減った事や、4手目△3三角戦法の流行、ゴキゲン中飛車横歩取り△8五飛戦法の好調、および後手番一手損角換わりの大流行、など複合的な要因があったとされる。

しかし、翌年以降は再び先手番の勝ち越しが続いている。これらの統計は全プロ棋士を対象としたものであり、上位棋士どうしの対局や持ち時間の長い対局だけに限れば、技術と時間の面で先手の利を活かしやすいため、さらに先手の勝率は上昇する。なお、2020年代のコンピュータ将棋は、棋力がプロ棋士を遥かに上回っており、先手の勝率が70%以上に達した大会の例があるなど、先手の勝率が高すぎることが問題になりつつある[26]

囲碁も経験的に先手有利とされているため、コミにより調整している。

年度 対局数 先手 後手
勝数 勝率 勝数 勝率
2003 2337 1215 0.534 1061 0.466
2004 2335 1266 0.554 1019 0.446
2005 2344 1216 0.530 1077 0.470
2006 2325 1192 0.521 1095 0.479
2007 2381 1237 0.531 1091 0.469
2008 2387 1162 0.497 1175 0.503
2009 2422 1223 0.516 1149 0.484
2010 2404 1269 0.540 1081 0.460
2011 2446 1287 0.541 1093 0.459
2012 2553 1303 0.528 1164 0.472
2013 2443 1269 0.534 1106 0.466

アマチュア将棋界

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将棋のアマチュア棋戦」を参照。

コンピュータ将棋

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コンピュータ将棋の力は年々高まり、プロ棋士もコンピュータ将棋を研究に用いるようになった。2015年ごろには現役トッププロですら一部の対策が効く場合があるのを除けば惨敗を喫するレベルに至り、2017年にはponanzaが第2期電王戦において当時の名人であった佐藤天彦に2連勝した。

「将棋界の」を冠した言葉

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「将棋界の一番長い日」

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毎年3月初旬頃の、A級順位戦の最終局(5局が同日に開催される)が行われる日を、俗に「将棋界の一番長い日」と呼ぶ。

一年度(厳密には6月開幕なので、約9ヶ月強)かけて行われたA級順位戦リーグの最終日であり、名人挑戦者と2名の降級者が確定する可能性が高い(既に挑戦者や降級者が決まっていることもある)ことや、大山康晴中原誠など現役晩年の名人経験者の陥落がかかっている場合は「負けたら引退か」という状況になることもあるため、プロ棋士をはじめとする将棋界からの注目が高くなる。

なお、クラス内の順位が絡む昇級や降級とは異なり、名人挑戦者だけは純粋に勝敗数のみで決められるため、この最終一斉対局で決着がつかず、プレーオフに持ち込まれる場合がある。特に2018年の第76期順位戦は史上最多の6者によるプレーオフとなったため、実際の決着は3週間後となって、「将棋界の一番長い日」ならぬ「将棋界の一番長い月」となった。

当日はNHK BSプレミアム(2011年まではNHK衛星第2テレビジョン<BS2>)で中継が行われていたが、2013年スカパー!囲碁・将棋チャンネルBSスカパー!スカチャンに移譲して、全対局の完全ノーカット実況が実施された。同年から2019年にかけて(2015年を除く)はニコニコ生放送2017年からはABEMA将棋チャンネル、さらに主催社の朝日新聞毎日新聞がそれぞれYouTubeチャンネルにおいて、全対局の完全生中継を実施している。

最終局は通常の対局同様に東京・千駄ヶ谷の将棋会館で行われていたが、2014年(平成26年)の第72期で初めて東京を離れ、静岡市葵区浮月楼で対局が実施された。その後も2024年令和6年)の第82期まで継続して行われ、A級順位戦最終局は浮月楼での開催が定着している。

2014年[27]2018年[28]2019年[29]には「名人戦第0局」という別称が冠せられたが、2020年[30]には外された。

A級順位戦最終戦が「一番長い日」と呼ばれたのは「将棋マガジン」1980年6月号で川口篤氏(河口俊彦八段のペンネーム)が「将棋歳時記の中でもっとも長い日」と書いたのが最初である(ただし、これは同日に行われた他の順位戦の対局も含めたもので、A級順位戦だけを示したものではない)[31]。その後、1982年3月16日の毎日新聞夕刊に「“将棋指し”の一番長い日」、1983年3月15日の毎日新聞夕刊に「将棋界“A級棋士”の一年で最も長い一日」と記されている例がある[31]。「将棋界で一番長い日」という言葉自体は1997年3月に放送されたNHKのBS中継のタイトルに使われたのが初めてで以後定着したとされる[31]

脚注

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注釈

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  1. ^ 現制度の編入該当者は今泉健司折田翔吾。現制度以前にもプロ編入試験の合格者として花村元司瀬川晶司がいる。現行の編入試験は、瀬川の一件をきっかけに制定された。同時に、奨励会初段・三段編入試験も設けられた。
  2. ^ この他に引退棋士が60名ほど存命中である。引退した後も、日本将棋連盟を退会しない限りは棋士としての身分を保持し続けることができ、解説や指導、立会人(審判)などの仕事を続ける者も多い。ただし、引退後はプロ棋戦に出場することもアマチュア大会に出場することもできない。
  3. ^ 新進棋士奨励会における女性の段級位としては里見香奈西山朋佳中七海の三段が最高。
  4. ^ 囲碁界では、将棋界の一般棋戦に相当する棋戦での優勝も「タイトル」と呼ぶ。それゆえ、将棋界のタイトル戦に相当する棋戦を「七大タイトル戦」と呼ぶ(棋聖戦 (囲碁)名人戦 (囲碁)本因坊戦十段戦 (囲碁)王座戦 (囲碁)天元戦碁聖戦)。
  5. ^ ただし、棋聖戦早指し将棋選手権は、過去1年に2度行われていた。
  6. ^ 具体的には、他棋戦でのシード権の付与、解説イベントでの出演料や指導対局料金の増額などである。
  7. ^ 年齢や段位などが出場条件を満たさなくなった場合は出場できない。また、奨励会員やアマチュアの場合、たとえ前年優勝者であっても当年の出場が保障されているわけではない。
  8. ^ かつては挑戦手合制を取る一般棋戦も存在したが、現在は存在しない。
  9. ^ 棋王戦や王位戦のように、特定の女流タイトル戦での実績を要件とする棋戦もある。
  10. ^ ただし、女流棋士ではない女性奨励会員が「女流棋士」枠から出場することを認めるか否かは棋戦による。竜王戦、叡王戦は認めているが、王位戦は認めていない。
  11. ^ 名人(定員1名)、A級(原則・定員10名)、B級1組(同・定員13名)、B級2組、C級1組、C級2組、フリークラスの計7階層
  12. ^ どちらの棋戦も昇降級は原則として1つずつであるが、竜王戦に限っては七番勝負の敗者が(たとえ3組以下からの挑戦者であっても)次期の1組に入るため、竜王挑戦を決めれば飛び昇級が可能である。
  13. ^ 各棋士の現在の在籍クラスや保有タイトルは上部に表示される一方、各棋士が過去に獲得したタイトル等の履歴は下部に掲載される。(
  14. ^ 棋王戦、銀河戦など。
  15. ^ ただし上位の組ほど挑戦権を得やすいシステムになっている。
  16. ^ 制度上はアマチュアや奨励会員にも竜王獲得の可能性があるため、プロデビュー前に竜王となることも不可能ではない。
  17. ^ 竜王戦のように、予選トーナメントの優勝・準優勝者にも賞金が支払われる棋戦がある。
  18. ^ テレビ出演の多い者は芸能事務所に所属しているため、出演依頼は将棋連盟を介さず行われる。
  19. ^ 2019年現在、棋士が参加する公式棋戦のうち12月に決勝が行われるのは竜王戦のみであるが、一般棋戦時代の叡王戦(第1期・第2期)は12月に決勝三番勝負を行なっていた。
  20. ^ 棋士には日本将棋連盟の職員として給料が支払われたが、女流棋士の場合は給料はなかった。また、順位戦から外れたフリークラスの棋士も給料はなかった。
  21. ^ 例えば、「将棋世界」2006年9月号で片上大輔が「将棋は先手有利なゲーム」と述べている。

出典

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  1. ^ 竜王ランキング戦・決勝トーナメントについて|竜王戦|棋戦|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟. 2020年7月21日閲覧。
  2. ^ 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2014年6月13日). 2019年12月27日閲覧。 “2016年4月1日施行分”
  3. ^ 2011年6月 1日 (水) 日本将棋連盟が公益社団法人となった経過とコメントへの返事 - 「田丸昇のと金 横歩き」田丸昇
  4. ^ 2014年10月21日 (火) 将棋界の引退制度に関するコメント、囲碁界との比較、引退後の収入 - 「田丸昇のと金 横歩き」田丸昇
  5. ^ 2023年獲得賞金・対局料ベスト10』日本将棋連盟、2024年2月5日https://www.shogi.or.jp/news/2024/02/202310.html 
  6. ^ 藤井聡太王将 2年連続賞金1位!28年ぶり羽生九段超え、史上最高額1億8634万円』スポニチ Sponichi Annex 芸能、2024年2月6日https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/02/06/kiji/20240205s000413F2693000c.html 
  7. ^ 2022年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2023年2月3日). 2023年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月3日閲覧。
  8. ^ 「将棋世界」2023年9月号 p185より。『高見が賞金ランキングで次点だったという』
  9. ^ 2021年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2022年2月3日). 2022年2月3日閲覧。
  10. ^ 2020年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2021年2月5日). 2021年2月5日閲覧。
  11. ^ 2019年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2020年2月3日). 2020年3月18日閲覧。
  12. ^ 羽生善治九段が2年ぶり1位 2018年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2019年2月7日). 2019年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月8日閲覧。
  13. ^ 2017年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2018年2月6日). 2021年3月3日閲覧。
  14. ^ 2016年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2017年2月3日). 2021年3月3日閲覧。
  15. ^ 2015年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2016年2月5日). 2021年3月3日閲覧。
  16. ^ 2014年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2015年2月3日). 2021年3月3日閲覧。
  17. ^ 2013年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2014年2月7日). 2021年3月3日閲覧。
  18. ^ 2012年獲得賞金・対局料ベスト10|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2013年2月18日). 2021年3月3日閲覧。
  19. ^ 2011年獲得賞金・対局料ベスト20|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2012年2月16日). 2021年3月3日閲覧。
  20. ^ 2010年獲得賞金・対局料ベスト20|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2011年2月16日). 2021年3月3日閲覧。
  21. ^ 2009年獲得賞金・対局料ベスト20|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2010年3月5日). 2021年3月3日閲覧。
  22. ^ 2008年獲得賞金・対局料ベスト20|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2009年3月2日). 2021年3月3日閲覧。
  23. ^ 2007年獲得賞金・対局料ベスト20|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2008年3月1日). 2021年3月3日閲覧。
  24. ^ 2006年獲得賞金・対局料ベスト20|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2007年3月1日). 2021年3月3日閲覧。
  25. ^ 2008年度公式棋戦の対局で、統計開始以来初の後手番が勝ち越し!|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2009年3月31日). 2022年2月3日閲覧。
  26. ^ 羽生善治九段「将棋AIは先手勝率7割」に仰天…最強ソフト開発者との対談で「“将棋の結論” を考え直します」”. smart-flash (2023年7月9日). 2023年12月10日閲覧。
  27. ^ 第72期A級順位戦最終局(静岡対局) イベント募集のお知らせ|イベント|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2014年1月28日). 2022年2月3日閲覧。
  28. ^ 第76期将棋名人戦第0局(A級順位戦最終局) 実施報告:静岡市”. 静岡市 (2019年4月1日). 2022年2月3日閲覧。
  29. ^ 名人挑戦・降級はどうなる? 2年連続のプレーオフ開催となるか|棋戦トピックス|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2019年2月28日). 2019年3月2日閲覧。
  30. ^ 第78期A級順位戦最終局~将棋界の一番長い日~実施報告:静岡市”. 静岡市 (2020年4月1日). 2022年2月3日閲覧。
  31. ^ a b c “いよいよA級順位戦最終局――「将棋界の一番長い日」はいつ定着したのか?”. 文春オンライン. (2019年3月1日). https://bunshun.jp/articles/-/10893?page=2 

関連項目

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外部リンク

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