「名鉄3300系電車 (2代)」の版間の差分
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{{鉄道車両 |
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{{複数の問題|ソートキー=鉄めいてつ3300|出典の明記=2012年12月23日 (日) 08:33 (UTC) |
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|車両名= 名鉄3300系電車(2代) |
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|独自研究=2012年12月23日 (日) 08:33 (UTC)}} |
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|社色= #d02 |
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[[File:Meitetsu 2301 nagoyakyuzyo.jpg|thumb|250px|名鉄3300系(ナゴヤ球場前駅、1988年)]] |
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|画像= Meitetsu 2301 nagoyakyuzyo.jpg |
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'''3300系電車'''(3300けいでんしゃ)とは、[[1987年]]に[[名古屋鉄道]](名鉄)が導入した[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]である。 |
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|画像説明= 3300系3301編成<br />([[ナゴヤ球場前駅|ナゴヤ球場前]] 1988年) |
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|unit= self |
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|編成両数= 3両編成 |
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|営業最高速度= |
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|設計最高速度= |
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|減速度(通常)= |
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|減速度(非常)= |
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|車両定員= 先頭車:120人(座席50人)<br />中間車:130人(座席56人) |
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|全長= 先頭車:18,900 [[ミリメートル|mm]]<br />中間車:18,830 mm |
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|全幅= 2,730 mm |
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|全高= モ3300形・モ3350形:4,200 mm<br />ク2300形:3,880 mm |
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|車体材質= 全金属製 |
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|車両重量= モ3300形:37.0 [[トン|t]]<br />モ3350形:36.0 t<br />ク2300形:31.0 t |
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|軌間= 1,067 mm([[狭軌]]) |
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|電気方式= [[直流電化|直流]]1,500 [[ボルト (単位)|V]]([[架空電車線方式]]) |
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|主電動機= [[直巻整流子電動機|直流直巻電動機]] TDK-528/18-PM |
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|主電動機出力= 112.5 [[ワット|kW]](一時間定格) |
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|搭載数= 4基 / 両 |
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|歯車比= 3.21 (61:19) |
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|定格速度= 64 [[キロメートル毎時|km/h]] |
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|駆動装置= [[吊り掛け駆動方式|吊り掛け駆動]] |
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|制御装置= [[主制御器#電動カム軸接触器式|電動カム軸式]]間接自動加速制御(AL制御) ES-568-A |
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|台車= FS107・FS13 |
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|制動方式= AMA[[自動空気ブレーキ]] |
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|保安装置= [[自動列車停止装置#名古屋鉄道式自動列車停止装置|M式ATS]] |
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|製造メーカー= [[日本車輌製造]] |
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|備考= 各データは落成当時。 |
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}} |
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'''名鉄3300系電車'''(めいてつ3300けいでんしゃ)は、[[名古屋鉄道]](名鉄)が[[1987年]]([[昭和]]62年)に導入した[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]である。名鉄の[[直流電化|直流]]1,500 [[ボルト (単位)|V]]電化路線において運用された[[吊り掛け駆動方式|吊り掛け駆動車]]各形式のうち、[[主制御器#自動進段|間接自動進段制御器]]を搭載する'''[[名古屋鉄道の車両形式#「AL車」という用語について|AL車]]'''に属する。 |
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以下、本項においては3300系電車を「本系列」と記述し、また編成単位の説明に際しては[[動力車|制御電動車]]モ3300形の[[鉄道の車両番号|車両番号]]をもって編成呼称とする(例:モ3301-モ3351-ク2301の編成であれば「3301編成」)。 |
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== 概要 == |
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車体が老朽化した[[名鉄3850系電車|3850系電車]]・[[名鉄3900系電車|3900系電車]]の、[[鉄道車両の台車|台車]]や機器を流用して車体を新造した[[吊り掛け駆動方式]]・AL車(間接自動制御車)である。同様な[[概念|コンセプト]]で製造された車両として[[名鉄瀬戸線|瀬戸線]]用の[[名鉄6750系電車|6750系]]がある。 |
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== 導入経緯 == |
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[[1980年代]]以降の名鉄は[[名鉄6000系電車|6500系・6800系]]など通勤形車両を大量に導入して[[名鉄名古屋本線|名古屋本線]]・[[名鉄犬山線|犬山線]]など幹線系統の運用に充当し、余剰となったAL車各形式など高経年の旧型車両を順次代替した<ref name="RP624_p43" />。この一連の代替計画に基いて[[廃車 (鉄道)|廃車]]となったAL車には、頑丈な一体鋳鋼製台車枠を持つ[[鉄道車両の台車#軸箱守式(ペデスタル式)|ゲルリッツ台車]]を装着する<ref name="RF317_p65-66" />、'''OR車''' (Old Romance Car) と称される[[名鉄3850系電車|3850系]]および[[名鉄3900系電車|3900系]]が含まれていた<ref name="RF317_p65-66" />。両形式の台車をはじめとした主要機器はまだ使用に耐えうる状態であったため、それらを流用して車体を新製した車両を支線系統に導入することによって、支線系統において運用される車両の体質改善および旅客サービス向上を図ることとした<ref name="RP496_p159" />。 |
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[[名鉄6000系電車|6000系]]5 - 8次車と類似の車体を持つ3扉車で、前面構造は前年に落成した6750系1次車とほぼ同一で、中央部に[[貫通扉]]を有していた。前面[[尾灯|標識灯]]は6000系と異なり[[発光ダイオード|LED]]1灯式を採用した。客用扉・客室側窓配置は[[名鉄6000系電車#6500系|6500系]]1 - 5次車と同一で、側窓は独立構造であるが6500系の一段上昇式とは異なり一段下降式とされた。側面には[[方向幕|種別・行先表示器]]も設置された。 |
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本系列は以上の経緯によって、制御電動車'''モ3300形'''(モ3301 - モ3304)、中間電動車'''モ3350形'''(モ3351 - モ3354)、および[[制御車]]'''ク2300形'''(ク2301 - ク2304)の3形式によって構成される3両編成4本・計12両が、1987年(昭和62年)6月に[[日本車輌製造]]において新製された<ref name="RF317_p65-66" /><ref name="RF317_p64" />。 |
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[[エア・コンディショナー|冷房装置]]は能力10,500kcalの[[集約分散式冷房装置|集約分散式]]を2基搭載し、6000系列で採用されていた[[熱交換器#換気|熱交換換気装置]]は省略された。 |
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{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size:80%; margin:1em 0em 2em 3em;" |
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登場時の客用扉上半部の塗装は6000系・6500系と同様に白(ライトグレー)であったが、のちに他系列とともにダークグレーに塗り替えられ、営業運転終了時には赤一色とされていた。 |
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| style="border-bottom:solid 3px #e01; background-color:#ccc;"| |
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| style="border-bottom:solid 3px #e01;" colspan="3"|{{TrainDirection| [[豊橋駅|豊橋]]・[[上飯田駅|上飯田]]}} |
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! 形式 |
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! モ3300形 (Mc) |
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! モ3350形 (M) |
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! ク2300形 (Tc) |
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! rowspan="4"|車両番号 |
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| モ3301 |
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| モ3351 |
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| ク2301 |
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| モ3302 |
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| モ3352 |
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| ク2302 |
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| モ3303 |
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| モ3353 |
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| ク2303 |
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| モ3304 |
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| モ3354 |
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| ク2304 |
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|} |
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本系列同様のコンセプトによって新製された車体更新車には、[[名鉄瀬戸線|瀬戸線]]における輸送力増強および冷房化率向上を目的として[[1986年]](昭和61年)に導入された[[名鉄6750系電車|6650系]](のちの6750系1次車)があり<ref name="RP496_p159" />、OR車の車体更新車としては本系列は2形式目の導入例となった<ref name="RP824_p21-22" />。また、本系列に先行して導入されたAL車(OR車)の車体更新車である6650系および[[名鉄7300系電車|7300系]]とは異なり、本系列は電動車形式を3000番台、制御車・付随車形式を2000番台とする、旧型車各形式における[[鉄道の車両番号|車両番号]]付与基準<ref name="RP64_p35" />を踏襲した。 |
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=== 内装 === |
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座席はすべて[[鉄道車両の座席#ロングシート(縦座席)|ロングシート]]であった。のちに登場する[[名鉄3500系電車 (2代)|3500系]]などにみられる[[ラッシュ時]]対策はまだなく、座席数は多かった。客用扉は[[ステンレス鋼|ステンレス]]製が採用されたが、前年に登場した6750系とは異なり室内側も塗装されていた。営業運転終了時は名鉄で最後の、赤色の座席モケットを装備した車両であった。 |
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車体外観は[[名鉄6000系電車|6000系]]と類似しているが<ref name="RF317_p65" />、本系列は前述の通り廃車となったOR車より主要機器を流用した[[自動空気ブレーキ]]・[[吊り掛け駆動方式|吊り掛け駆動]]仕様の車体更新車であり、性能は全く異なる<ref name="RF317_p65-66" />。また、従来のAL車各形式は[[MT比]]1:1を基本としたが、本系列は支線区における輸送力増強を目的として3両固定編成で設計されたため<ref name="RP624_p208" />、例外的にMT比が2:1に設定されている点が特徴である<ref name="RP624_p208" />{{refnest|group="注釈"|AL車でMT比2:1の編成を組成したものとしては、[[1975年]](昭和50年)と[[1980年]](昭和55年)の二度にわたって[[東京急行電鉄]](東急)より同社[[東急3700系電車|3700系電車]]を譲り受けて導入した3880系がある<ref name="RP-mita_p121" />。ただし3880系の場合は輸送力増強目的で2M1T編成を組成した本系列とは異なり、名鉄AL車においては標準装備される[[電気車の速度制御#弱め界磁制御|弱め界磁制御]]機能を東急在籍当時に撤去していたことにより<ref name="RP-mita_p121" />、編成内の電動車比率を高めてAL車と同等の走行性能を確保する目的で2M1T編成を組成したものであった<ref name="RP-mita_p121" />。}}。 |
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=== 床下機器 === |
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台車は、[[動力車|電動車]] (M) が[[ホイールベース#鉄道|軸距]]の長い[[鉄道車両の台車史#ゲルリッツ式台車の開発|ゲルリッツ式]]FS107、[[制御車]] (Tc) が軸距の短い[[鉄道車両の台車#軸箱守式(ペデスタル式)|軸箱守式]]FS13で、いずれも3850系や3900系からの流用である。電装品の多くは流用品であったが、補助電源装置は[[静止形インバータ]] (SIV) が新製され、[[圧縮機|電動空気圧縮機]] (CP) もC-2000型が新製された。主制御器も3850系のABFは廃棄され標準品のES568に統一されている。歯車比などの変更は無く営業最高速度は引き続き100km/hであったが、電動車比率の高い編成を組んだため起動加速度は約2km/h/sへと向上しており、通勤形電車としての使用目的に合致した性能となった。 |
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このように支線系統への導入を前提として設計・製造された本系列は、主要機器の再利用や他形式との予備部品共通化、および車体設計の共通化などにより<ref name="RP496_p159" />、導入コストを完全新製車比で約65 [[パーセント|%]]に抑制しつつ<ref name="RP496_p159" />、支線系統における運用車両の質的向上を実現した<ref name="RP496_p159" />。 |
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=== 編成 === |
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3両編成4本が製造された。3両での組成は名鉄では少数派である。本系列登場の2年前に全廃となった[[東京急行電鉄]]からの譲受車[[東急3700系電車#名鉄へ譲渡後|3880系]]と同様の組成である(但し制御電動車の向きは名鉄AL車本来の豊橋方)。[[鉄道の車両番号|車両番号]]は電動車3000番台・[[付随車]]2000番台という旧来のAL車の付番方式を踏襲する。3両編成であるため[[新可児駅]]の1番線(通常は2両編成のみ入線)にも入線可能であり、また[[ドアカット]]と[[車掌]]の車内巡回時の便宜を図る目的で、中間車にも[[車掌スイッチ]]が設置されていた。このほか、一部の編成はのちに冷房装置を換装して能力をアップしていた。 |
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== 車体 == |
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6000系9 - 10次車および6500系1 - 4次車と共通設計の全金属製・[[構体 (鉄道車両)#セミ・モノコック構造|準張殻構造]]の軽量構体を備える<ref name="RP824_p35" />。車体長は先頭車が18,150 [[ミリメートル|mm]]、中間車が18,100mmで前掲2形式と共通寸法である<ref name="RF317_p66" />。 |
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ただし、前面形状は前掲2形式の該当するグループがいずれも4面折妻形状の非貫通構造<ref name="RP624_p204" />であったのに対し、本系列は6000系8次車以前および6650系と同様に妻面中央部に貫通扉を備える貫通構造とした<ref name="RP824_p35" />。また、前面腰板部には6650系と同様に[[発光ダイオード]] (LED) 式の[[尾灯|後部標識灯]]・[[通過標識灯]]兼用の標識灯を左右1灯ずつ設置した<ref name="RF317_p65" />。その他、床面高は[[軌条]](レール)面より1,110 mmとして従来車の標準値である1,150 mmより40 mm低床化し、駅[[プラットホーム]]と床面との段差を縮小した<ref name="RP496_p159" />。 |
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←[[豊橋駅|豊橋]] |
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側面には1,300 mm幅の両開客用扉を片側3箇所配置し、扉構造は6650系と同様に[[ステンレス鋼|ステンレス]]製としたが<ref name="RP496_p159" />、6650系が車内側をステンレスの地肌色が露出した無塗装仕上げとしたのに対して、本系列は車内外とも塗装仕上げとした点が異なる<ref name="RP496_p159" />。[[構体 (鉄道車両)#側面窓配置|側面窓配置]]は先頭車モ3300形・ク2300形がdD3D3D2(d:乗務員扉、D:客用扉、各数値は側窓の枚数)、中間車モ3350形が2D3D3D2で、6000系9 - 10次車および6500系1 - 4次車と同一である<ref name="RP824_p35" />。ただし、側窓構造は前掲2形式が1段上昇式であったのに対して本系列は一段下降式として窓開閉の操作性を向上させ<ref name="RP496_p159" />、また窓枠をアルミ地肌色が露出した無塗装仕上げとした<ref name="RP824_p21-22" />。側面窓上には本系列と同時期に落成した6500系4次車と同様に[[方向幕|種別・行先表示装置]]を設置した<ref name="RF317_p65" />。 |
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モ3300(Mc) - モ3350 (M) - ク2300 (Tc) |
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車体塗装はスカーレット1色塗りで、各客用扉の扉窓下に設置された戸当たりレールより上部を3扉車を表すライトグレーに塗装した<ref name="RP824_p21-22" />。 |
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車内は落成当初より[[鉄道車両の座席#ロングシート(縦座席)|ロングシート]]仕様であり、壁面はクリーム色系統のアルミデコラ仕上げとし、座席表皮(シートモケット)色は赤系統とした<ref name="RF317_p65" />。天井部は平天井構造とし、天井部中央には軌条方向に送風機([[送風機#横断流送風機(クロスフローファン)|ラインデリア]])を一列配置して<ref name="RP496_p159" />、冷房装置の冷風吹出口を兼ねた冷風冷房方式を採用した<ref name="RP496_p159" />。床面はグレーを基調色として通路部に相当する800 mm幅分を赤系統とし、座席色との調和を図った<ref name="RF317_p65" />。また、車内床部に設置された主電動機点検蓋(トラップドア)は、駆動装置の動作音やレール継ぎ目音など車外からの騒音を遮断する目的でゴムを併用した緩衝施錠方式とした<ref name="RP496_p159" />。 |
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== 主要機器 == |
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前述の通り、走行機器は3850系および3900系の廃車発生品を流用した<ref name="RF317_p65-66" />。ただし、制御装置については3850系が搭載した[[三菱電機]]ABFM-154-MH改<ref name="RP824_p18-19" />{{refnest|group="注釈"|製造当初は[[発電ブレーキ|発電制動]]併用の[[主制御器#電空単位スイッチ式|電空単位スイッチ式]]自動加速制御装置であったが、[[1964年]](昭和39年)に電動カム軸式の自動加速制御装置に改造され<ref name="RP824_p17" />、3850系に対して重整備工事と称する更新修繕工事が施工された[[1969年]](昭和44年)には発電制動機能が撤去された<ref name="RP824_p17" />。}}は流用されず<ref name="RP824_p21-22" />、全車とも[[東洋電機製造]]製の[[主制御器#電動カム軸接触器式|電動カム軸式]]自動加速制御装置ES-568-Aに統一されている<ref name="RP824_p21-22" />。 |
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主電動機はAL車における標準機種である<ref name="RP624_p182-183" />東洋電機製造TDK-528/18-PM[[直巻整流子電動機|直流直巻電動機]]を電動車1両あたり4基搭載<ref name="RF317_p66" />、歯車比は3.21 (61:19) 、駆動方式は吊り掛け式である<ref name="RF317_p66" />。 |
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台車はモ3300形およびモ3350形は枕ばねを板ばねとしたゲルリッツ式の[[住友金属工業]](現・[[新日鐵住金]])FS107を装着し<ref name="RF317_p66" />、ク2300形は枕ばねをコイルばねとした[[鉄道車両の台車#軸箱守式(ペデスタル式)|軸ばね式]]の住友金属工業FS13を装着する<ref name="RF317_p66" />。FS107台車は3850系モ3850形および3900系モ3900形・モ3950形より、FS13台車は3900系ク2900形・サ2950形よりそれぞれ流用したものである<ref name="RP624_p208" /><ref name="RP824_p18-19" />。なお、本系列の用途を踏まえ、曲線区間の多い支線系統における運用対策として<ref name="RP496_p159" />、ク2300形が装着するFS13台車には軌条塗油装置を新設した<ref name="RP496_p159" />。同装置には速度制御機能を持たせ<ref name="RF317_p66" />、潤滑油の無駄な消費を抑制するため、高速走行時および駅構内などにおける停車時には塗油を停止する<ref name="RF317_p66" />。 |
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制動装置はA弁を用いるAMA / ACA自動空気ブレーキを常用制動とし<ref name="RF317_p66" />、[[保安ブレーキ]]を併設した<ref name="RF317_p66" />。 |
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[[エア・コンディショナー|冷房装置]]は6000系・6500系・6650系などと同一機種の[[東芝]]RPU-3004AJ(冷却能力10,500 [[カロリー|kcal/h]])を1両あたり2基搭載するが<ref name="RP824_p35" />、6000系・6500系において採用された[[熱交換器#換気|熱交換換気装置]](ロスナイ)は省略された<ref name="RP824_p35" />。 |
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補助電源装置および[[圧縮機|電動空気圧縮機]] (CP) については冷房装置の搭載および3両分に供給可能な大出力を確保する都合上<ref name="RP824_p21-22" />、流用品ではなく新造品を採用した<ref name="RP824_p21-22" />。補助電源装置は[[ゲートターンオフサイリスタ|GTO素子]]を用いた東洋電機製造SVH70-447A[[静止形インバータ]](SIV、[[三相交流]]220 V・60 [[ヘルツ|Hz]]、定格出力70 kVA)を<ref name="RP824_p21-22" />、電動空気圧縮機は交流駆動のC-2000L ACを採用<ref name="RP824_p21-22" />、いずれもク2300形へ搭載した<ref name="RP824_p21-22" />。前者は[[名鉄5700系電車|5700系]]が採用した機種と同一であり<ref name="RP824_p35" />、後者は[[名鉄7000系電車|7500系]]が機器更新に際して搭載した機種を交流駆動に改良したものである<ref name="RP824_p35" />。 |
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連結器はモ3300形およびク2300形の前頭部に[[連結器#小型密着自動連結器|密着自動連結器]]を採用、編成内の中間連結部には[[連結器#棒連結器(永久連結器)・半永久連結器|棒連結器]]を採用した<ref name="RF317_p66" />。 |
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== 運用 == |
== 運用 == |
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落成後は3両編成4本とも[[犬山検査場|犬山検車区]]に配属され、1987年(昭和62年)6月20日<ref name="RF317_p64" />より主に[[名鉄小牧線|小牧線]]・[[名鉄各務原線|各務原線]]・[[名鉄広見線|広見線]]を中心として運用を開始した<ref name="RF317_p64" />。当初は幹線系統における普通列車運用にも充当されたが<ref name="RP556_p22" />、[[1991年]]([[平成]]3年)10月21日のダイヤ改正を機に幹線系統における運用は消滅し<ref name="RP556_p22" />、犬山地区の支線系統における運用に専従した<ref name="RP556_p22" />。また[[1996年]](平成8年)3月12日<ref name="RP624_p116" />より従来[[名鉄築港線|築港線]]において運用された非冷房の[[名古屋鉄道の車両形式#「AL車」という用語について|HL車]]である[[名鉄3700系電車 (2代) |3700・3730系]]を代替するため、築港線においても運用を開始した<ref name="RP624_p116" />。 |
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導入後の変化としては、後年3扉車を表す客用扉の塗り分けが[[1993年]](平成5年)の[[名鉄3500系電車 (2代)|3500系(2代)]]の導入を機にライトグレーからダークグレーに変更されたことに伴って<ref name="RP624_p204" />、本系列も順次塗装変更が実施された<ref name="RP624_p208" />。さらに後年3扉車の在籍車両全体に占める割合が増加したことに伴って区分の必要性が薄れたことから3扉車各形式とも客用扉部の塗り分けが廃止されてスカーレット1色塗りとなり<ref name="RP824_p35" />、本系列も[[2000年]](平成12年)10月から翌[[2001年]](平成13年)10月にかけて順次塗装変更された<ref name="RP824_p21-22" />。その他、[[1998年]](平成10年)1月<ref name="RP824_p21-22" />に3301編成の搭載する冷房装置が東芝RPU-3061(冷却能力12,500 kcal/h)に交換され、容量の増強が図られた<ref name="RP824_p21-22" />。 |
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後年は主に小牧線において運用された本系列であったが<ref name="RP771_p54" />、[[2003年]](平成15年)3月に予定された小牧線と[[名古屋市営地下鉄]][[名古屋市営地下鉄上飯田線|上飯田線]]との[[直通運転|相互直通運転]]開始を機に<ref name="RP771_p246" />、直通運転および[[ワンマン運転]]に対応した新型車両である[[名鉄300系電車|300系]]によって代替されることとなった<ref name="RP771_p246" />。本系列の経年は落成から16年程度であったものの、搭載する走行機器が旧弊かつ経年の高い流用品であったことから<ref name="JTB-tokuda-20130517_p99" />、2003年(平成15年)3月27日のダイヤ改正における小牧線・上飯田線の相互直通運転開始をもって全車とも運用を離脱<ref name="RP771_p54" />、同年3月31日付<ref name="RP771_p246" />で全車除籍され、本系列は全廃となった<ref name="RP771_p54" />。また本系列の全廃によって、瀬戸線を除く名鉄の架線電圧1,500 V電化路線より自動空気ブレーキ・吊り掛け駆動仕様の旅客用車両が消滅した<ref name="RP771_p54" />。 |
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廃車後は全車解体処分されたが、本系列が装着したFS107台車とTDK-528/18-PM主電動機のうち7両分が[[えちぜん鉄道]]へ譲渡された<ref name="RP771_p54" />。また、LED式の標識灯は従来[[白熱電球|白熱灯]]式の標識灯を装備した6500系1次車へ転用され<ref name="RP771_p246" />、SVH70-447A静止形インバータは[[名鉄1000系電車#1030系・1230系|1030系]]モ1131<ref name="RP771_p208" />および[[名鉄1000系電車#1380系|1380系]]モ1384・モ1584<ref name="RP771_p223-224" />の補助電源装置換装に際して流用された<ref name="RP771_p208" /><ref name="RP771_p223-224" />。 |
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== 脚注 == |
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=== 注釈 === |
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=== 出典 === |
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== 参考資料 == |
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; 書籍 |
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* 徳田耕一 『名鉄電車 昭和ノスタルジー』 [[JTBパブリッシング]] 2013年5月 ISBN 4-533-09166-0 |
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; 雑誌 |
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== 廃車 == |
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* 『[[鉄道ピクトリアル]]』 [[電気車研究会|鉄道図書刊行会]] |
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本系列は車体は比較的新しいものの、流用品であった主要機器の老朽化の進行に加えて、小牧線に[[名古屋市営地下鉄上飯田線|上飯田線]]との[[直通運転]]用として[[名鉄300系電車|300系]]が新造投入されたことに伴って用途を失い、[[2003年]]3月27日に全車が運用を離脱し、その後[[廃車 (鉄道)|廃車]]された。この際、本系列で使用していた台車が[[えちぜん鉄道]]に譲渡されている。また、LED式の標識灯は従来白熱灯式の標識灯を装備した6500系1次車へ転用され、SIVは[[名鉄1000系電車#1030系・1230系|1030系]]1131編成および[[名鉄1000系電車#1380系|1380系]]の新製に際してそれぞれ転用された。 |
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** 渡辺肇 「私鉄車両めぐり(27) 名古屋鉄道 2」 1956年11月号(通巻64号) pp.33 - 37 |
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** 石本俊三 「名古屋鉄道 3300系」 1988年5月臨時増刊号『新車年鑑 1988年版』(通巻496号) p.159 |
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** 白井良和 「名古屋鉄道にみる車体更新車の興味」 1992年3月号(通巻556号) pp.16 - 23 |
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** 石本俊三 「名鉄特集 車両総説」 1996年7月臨時増刊号(通巻624号) pp.39 - 44 |
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** 白井良和 「名鉄に見る運転と施設の興味」 1996年7月臨時増刊号(通巻624号) pp.113 - 117 |
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** 真鍋裕司 「名古屋圏の電車とTDK-528形主電動機」 1996年7月臨時増刊号(通巻624号) pp.181 - 183 |
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** 外山勝彦 「私鉄車両めぐり(154) 名古屋鉄道」 1996年7月臨時増刊号(通巻624号) pp.184 - 216 |
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** 清水武 「昭和40年代の中部地方の電車 -主に名鉄を中心とした思い出-」 2000年4月臨時増刊号(慶応義塾大学鉄研三田会 編『吊り掛け電車の響き』) pp.116 - 121 |
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** 田中義人 「特集:名古屋鉄道 車両総説」 2006年1月臨時増刊号(通巻771号) pp.47 - 55 |
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** 外山勝彦 「名古屋鉄道 現有車両プロフィール2005」 2006年1月臨時増刊号(通巻771号) pp.203 - 252 |
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** 外山勝彦 「名鉄6750系の系譜 -名古屋鉄道 車体更新AL車の終焉-」 2009年10月号(通巻824号) pp.14 - 24 |
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** 外山勝彦 「名古屋鉄道の車体更新AL車 -吊掛駆動の7300系・6750系・3300系-」 2009年10月号(通巻824号) pp.32 - 35 |
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* 『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』 [[交友社]] |
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** 田中正夫 「新車ガイド4 支線用通勤車 名鉄3300系登場」 1987年9月号(通巻317号) pp.64 - 67 |
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== 関連項目 == |
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2013年9月30日 (月) 13:00時点における版
名鉄3300系電車(2代) | |
---|---|
3300系3301編成 (ナゴヤ球場前 1988年) | |
基本情報 | |
製造所 | 日本車輌製造 |
主要諸元 | |
編成 | 3両編成 |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 | 直流1,500 V(架空電車線方式) |
車両定員 |
先頭車:120人(座席50人) 中間車:130人(座席56人) |
車両重量 |
モ3300形:37.0 t モ3350形:36.0 t ク2300形:31.0 t |
全長 |
先頭車:18,900 mm 中間車:18,830 mm |
全幅 | 2,730 mm |
全高 |
モ3300形・モ3350形:4,200 mm ク2300形:3,880 mm |
車体 | 全金属製 |
台車 | FS107・FS13 |
主電動機 | 直流直巻電動機 TDK-528/18-PM |
主電動機出力 | 112.5 kW(一時間定格) |
搭載数 | 4基 / 両 |
駆動方式 | 吊り掛け駆動 |
歯車比 | 3.21 (61:19) |
定格速度 | 64 km/h |
制御装置 | 電動カム軸式間接自動加速制御(AL制御) ES-568-A |
制動装置 | AMA自動空気ブレーキ |
保安装置 | M式ATS |
備考 | 各データは落成当時。 |
名鉄3300系電車(めいてつ3300けいでんしゃ)は、名古屋鉄道(名鉄)が1987年(昭和62年)に導入した通勤形電車である。名鉄の直流1,500 V電化路線において運用された吊り掛け駆動車各形式のうち、間接自動進段制御器を搭載するAL車に属する。
以下、本項においては3300系電車を「本系列」と記述し、また編成単位の説明に際しては制御電動車モ3300形の車両番号をもって編成呼称とする(例:モ3301-モ3351-ク2301の編成であれば「3301編成」)。
導入経緯
1980年代以降の名鉄は6500系・6800系など通勤形車両を大量に導入して名古屋本線・犬山線など幹線系統の運用に充当し、余剰となったAL車各形式など高経年の旧型車両を順次代替した[1]。この一連の代替計画に基いて廃車となったAL車には、頑丈な一体鋳鋼製台車枠を持つゲルリッツ台車を装着する[2]、OR車 (Old Romance Car) と称される3850系および3900系が含まれていた[2]。両形式の台車をはじめとした主要機器はまだ使用に耐えうる状態であったため、それらを流用して車体を新製した車両を支線系統に導入することによって、支線系統において運用される車両の体質改善および旅客サービス向上を図ることとした[3]。
本系列は以上の経緯によって、制御電動車モ3300形(モ3301 - モ3304)、中間電動車モ3350形(モ3351 - モ3354)、および制御車ク2300形(ク2301 - ク2304)の3形式によって構成される3両編成4本・計12両が、1987年(昭和62年)6月に日本車輌製造において新製された[2][4]。
形式 | モ3300形 (Mc) | モ3350形 (M) | ク2300形 (Tc) |
---|---|---|---|
車両番号 | モ3301 | モ3351 | ク2301 |
モ3302 | モ3352 | ク2302 | |
モ3303 | モ3353 | ク2303 | |
モ3304 | モ3354 | ク2304 |
本系列同様のコンセプトによって新製された車体更新車には、瀬戸線における輸送力増強および冷房化率向上を目的として1986年(昭和61年)に導入された6650系(のちの6750系1次車)があり[3]、OR車の車体更新車としては本系列は2形式目の導入例となった[5]。また、本系列に先行して導入されたAL車(OR車)の車体更新車である6650系および7300系とは異なり、本系列は電動車形式を3000番台、制御車・付随車形式を2000番台とする、旧型車各形式における車両番号付与基準[6]を踏襲した。
車体外観は6000系と類似しているが[7]、本系列は前述の通り廃車となったOR車より主要機器を流用した自動空気ブレーキ・吊り掛け駆動仕様の車体更新車であり、性能は全く異なる[2]。また、従来のAL車各形式はMT比1:1を基本としたが、本系列は支線区における輸送力増強を目的として3両固定編成で設計されたため[8]、例外的にMT比が2:1に設定されている点が特徴である[8][注釈 1]。
このように支線系統への導入を前提として設計・製造された本系列は、主要機器の再利用や他形式との予備部品共通化、および車体設計の共通化などにより[3]、導入コストを完全新製車比で約65 %に抑制しつつ[3]、支線系統における運用車両の質的向上を実現した[3]。
車体
6000系9 - 10次車および6500系1 - 4次車と共通設計の全金属製・準張殻構造の軽量構体を備える[10]。車体長は先頭車が18,150 mm、中間車が18,100mmで前掲2形式と共通寸法である[11]。
ただし、前面形状は前掲2形式の該当するグループがいずれも4面折妻形状の非貫通構造[12]であったのに対し、本系列は6000系8次車以前および6650系と同様に妻面中央部に貫通扉を備える貫通構造とした[10]。また、前面腰板部には6650系と同様に発光ダイオード (LED) 式の後部標識灯・通過標識灯兼用の標識灯を左右1灯ずつ設置した[7]。その他、床面高は軌条(レール)面より1,110 mmとして従来車の標準値である1,150 mmより40 mm低床化し、駅プラットホームと床面との段差を縮小した[3]。
側面には1,300 mm幅の両開客用扉を片側3箇所配置し、扉構造は6650系と同様にステンレス製としたが[3]、6650系が車内側をステンレスの地肌色が露出した無塗装仕上げとしたのに対して、本系列は車内外とも塗装仕上げとした点が異なる[3]。側面窓配置は先頭車モ3300形・ク2300形がdD3D3D2(d:乗務員扉、D:客用扉、各数値は側窓の枚数)、中間車モ3350形が2D3D3D2で、6000系9 - 10次車および6500系1 - 4次車と同一である[10]。ただし、側窓構造は前掲2形式が1段上昇式であったのに対して本系列は一段下降式として窓開閉の操作性を向上させ[3]、また窓枠をアルミ地肌色が露出した無塗装仕上げとした[5]。側面窓上には本系列と同時期に落成した6500系4次車と同様に種別・行先表示装置を設置した[7]。
車体塗装はスカーレット1色塗りで、各客用扉の扉窓下に設置された戸当たりレールより上部を3扉車を表すライトグレーに塗装した[5]。
車内は落成当初よりロングシート仕様であり、壁面はクリーム色系統のアルミデコラ仕上げとし、座席表皮(シートモケット)色は赤系統とした[7]。天井部は平天井構造とし、天井部中央には軌条方向に送風機(ラインデリア)を一列配置して[3]、冷房装置の冷風吹出口を兼ねた冷風冷房方式を採用した[3]。床面はグレーを基調色として通路部に相当する800 mm幅分を赤系統とし、座席色との調和を図った[7]。また、車内床部に設置された主電動機点検蓋(トラップドア)は、駆動装置の動作音やレール継ぎ目音など車外からの騒音を遮断する目的でゴムを併用した緩衝施錠方式とした[3]。
主要機器
前述の通り、走行機器は3850系および3900系の廃車発生品を流用した[2]。ただし、制御装置については3850系が搭載した三菱電機ABFM-154-MH改[13][注釈 2]は流用されず[5]、全車とも東洋電機製造製の電動カム軸式自動加速制御装置ES-568-Aに統一されている[5]。
主電動機はAL車における標準機種である[15]東洋電機製造TDK-528/18-PM直流直巻電動機を電動車1両あたり4基搭載[11]、歯車比は3.21 (61:19) 、駆動方式は吊り掛け式である[11]。
台車はモ3300形およびモ3350形は枕ばねを板ばねとしたゲルリッツ式の住友金属工業(現・新日鐵住金)FS107を装着し[11]、ク2300形は枕ばねをコイルばねとした軸ばね式の住友金属工業FS13を装着する[11]。FS107台車は3850系モ3850形および3900系モ3900形・モ3950形より、FS13台車は3900系ク2900形・サ2950形よりそれぞれ流用したものである[8][13]。なお、本系列の用途を踏まえ、曲線区間の多い支線系統における運用対策として[3]、ク2300形が装着するFS13台車には軌条塗油装置を新設した[3]。同装置には速度制御機能を持たせ[11]、潤滑油の無駄な消費を抑制するため、高速走行時および駅構内などにおける停車時には塗油を停止する[11]。
制動装置はA弁を用いるAMA / ACA自動空気ブレーキを常用制動とし[11]、保安ブレーキを併設した[11]。
冷房装置は6000系・6500系・6650系などと同一機種の東芝RPU-3004AJ(冷却能力10,500 kcal/h)を1両あたり2基搭載するが[10]、6000系・6500系において採用された熱交換換気装置(ロスナイ)は省略された[10]。
補助電源装置および電動空気圧縮機 (CP) については冷房装置の搭載および3両分に供給可能な大出力を確保する都合上[5]、流用品ではなく新造品を採用した[5]。補助電源装置はGTO素子を用いた東洋電機製造SVH70-447A静止形インバータ(SIV、三相交流220 V・60 Hz、定格出力70 kVA)を[5]、電動空気圧縮機は交流駆動のC-2000L ACを採用[5]、いずれもク2300形へ搭載した[5]。前者は5700系が採用した機種と同一であり[10]、後者は7500系が機器更新に際して搭載した機種を交流駆動に改良したものである[10]。
連結器はモ3300形およびク2300形の前頭部に密着自動連結器を採用、編成内の中間連結部には棒連結器を採用した[11]。
運用
落成後は3両編成4本とも犬山検車区に配属され、1987年(昭和62年)6月20日[4]より主に小牧線・各務原線・広見線を中心として運用を開始した[4]。当初は幹線系統における普通列車運用にも充当されたが[16]、1991年(平成3年)10月21日のダイヤ改正を機に幹線系統における運用は消滅し[16]、犬山地区の支線系統における運用に専従した[16]。また1996年(平成8年)3月12日[17]より従来築港線において運用された非冷房のHL車である3700・3730系を代替するため、築港線においても運用を開始した[17]。
導入後の変化としては、後年3扉車を表す客用扉の塗り分けが1993年(平成5年)の3500系(2代)の導入を機にライトグレーからダークグレーに変更されたことに伴って[12]、本系列も順次塗装変更が実施された[8]。さらに後年3扉車の在籍車両全体に占める割合が増加したことに伴って区分の必要性が薄れたことから3扉車各形式とも客用扉部の塗り分けが廃止されてスカーレット1色塗りとなり[10]、本系列も2000年(平成12年)10月から翌2001年(平成13年)10月にかけて順次塗装変更された[5]。その他、1998年(平成10年)1月[5]に3301編成の搭載する冷房装置が東芝RPU-3061(冷却能力12,500 kcal/h)に交換され、容量の増強が図られた[5]。
後年は主に小牧線において運用された本系列であったが[18]、2003年(平成15年)3月に予定された小牧線と名古屋市営地下鉄上飯田線との相互直通運転開始を機に[19]、直通運転およびワンマン運転に対応した新型車両である300系によって代替されることとなった[19]。本系列の経年は落成から16年程度であったものの、搭載する走行機器が旧弊かつ経年の高い流用品であったことから[20]、2003年(平成15年)3月27日のダイヤ改正における小牧線・上飯田線の相互直通運転開始をもって全車とも運用を離脱[18]、同年3月31日付[19]で全車除籍され、本系列は全廃となった[18]。また本系列の全廃によって、瀬戸線を除く名鉄の架線電圧1,500 V電化路線より自動空気ブレーキ・吊り掛け駆動仕様の旅客用車両が消滅した[18]。
廃車後は全車解体処分されたが、本系列が装着したFS107台車とTDK-528/18-PM主電動機のうち7両分がえちぜん鉄道へ譲渡された[18]。また、LED式の標識灯は従来白熱灯式の標識灯を装備した6500系1次車へ転用され[19]、SVH70-447A静止形インバータは1030系モ1131[21]および1380系モ1384・モ1584[22]の補助電源装置換装に際して流用された[21][22]。
脚注
注釈
- ^ AL車でMT比2:1の編成を組成したものとしては、1975年(昭和50年)と1980年(昭和55年)の二度にわたって東京急行電鉄(東急)より同社3700系電車を譲り受けて導入した3880系がある[9]。ただし3880系の場合は輸送力増強目的で2M1T編成を組成した本系列とは異なり、名鉄AL車においては標準装備される弱め界磁制御機能を東急在籍当時に撤去していたことにより[9]、編成内の電動車比率を高めてAL車と同等の走行性能を確保する目的で2M1T編成を組成したものであった[9]。
- ^ 製造当初は発電制動併用の電空単位スイッチ式自動加速制御装置であったが、1964年(昭和39年)に電動カム軸式の自動加速制御装置に改造され[14]、3850系に対して重整備工事と称する更新修繕工事が施工された1969年(昭和44年)には発電制動機能が撤去された[14]。
出典
- ^ 「名鉄特集 車両総説」 (1996) p.43
- ^ a b c d e 「新車ガイド4 支線用通勤車 名鉄3300系登場」 (1987) pp.65 - 66
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 「名古屋鉄道 3300系」 (1988) p.159
- ^ a b c 「新車ガイド4 支線用通勤車 名鉄3300系登場」 (1987) p.64
- ^ a b c d e f g h i j k l m 「名鉄6750系の系譜 -名古屋鉄道 車体更新AL車の終焉-」 (2009) pp.21 - 22
- ^ 「私鉄車両めぐり(27) 名古屋鉄道 2」(1956) p.35
- ^ a b c d e 「新車ガイド4 支線用通勤車 名鉄3300系登場」 (1987) p.65
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- ^ a b 「名鉄6750系の系譜 -名古屋鉄道 車体更新AL車の終焉-」 (2009) pp.17
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- ^ a b 「名古屋鉄道 現有車両プロフィール2005」 (2006) p.208
- ^ a b 「名古屋鉄道 現有車両プロフィール2005」 (2006) pp.223 - 224
参考資料
- 書籍
- 徳田耕一 『名鉄電車 昭和ノスタルジー』 JTBパブリッシング 2013年5月 ISBN 4-533-09166-0
- 雑誌
- 『鉄道ピクトリアル』 鉄道図書刊行会
- 渡辺肇 「私鉄車両めぐり(27) 名古屋鉄道 2」 1956年11月号(通巻64号) pp.33 - 37
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- 白井良和 「名古屋鉄道にみる車体更新車の興味」 1992年3月号(通巻556号) pp.16 - 23
- 石本俊三 「名鉄特集 車両総説」 1996年7月臨時増刊号(通巻624号) pp.39 - 44
- 白井良和 「名鉄に見る運転と施設の興味」 1996年7月臨時増刊号(通巻624号) pp.113 - 117
- 真鍋裕司 「名古屋圏の電車とTDK-528形主電動機」 1996年7月臨時増刊号(通巻624号) pp.181 - 183
- 外山勝彦 「私鉄車両めぐり(154) 名古屋鉄道」 1996年7月臨時増刊号(通巻624号) pp.184 - 216
- 清水武 「昭和40年代の中部地方の電車 -主に名鉄を中心とした思い出-」 2000年4月臨時増刊号(慶応義塾大学鉄研三田会 編『吊り掛け電車の響き』) pp.116 - 121
- 田中義人 「特集:名古屋鉄道 車両総説」 2006年1月臨時増刊号(通巻771号) pp.47 - 55
- 外山勝彦 「名古屋鉄道 現有車両プロフィール2005」 2006年1月臨時増刊号(通巻771号) pp.203 - 252
- 外山勝彦 「名鉄6750系の系譜 -名古屋鉄道 車体更新AL車の終焉-」 2009年10月号(通巻824号) pp.14 - 24
- 外山勝彦 「名古屋鉄道の車体更新AL車 -吊掛駆動の7300系・6750系・3300系-」 2009年10月号(通巻824号) pp.32 - 35
- 『鉄道ファン』 交友社
- 田中正夫 「新車ガイド4 支線用通勤車 名鉄3300系登場」 1987年9月号(通巻317号) pp.64 - 67