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名鉄1600系電車
パノラマsuper
堀田駅を通過する名鉄1600系電車
(2008年4月16日)
基本情報
運用者 名古屋鉄道
製造所 日本車輌製造
製造年 1999年
製造数 4編成12両
消滅 2008年
主要諸元
編成 3両編成
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1500 V
架空電車線方式
最高運転速度 120 km/h
設計最高速度 145 km/h
起動加速度 2.0 km/h/s (70 km/hまで)
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.2 km/h/s
編成定員 152名(3両)
全長 先頭車20,265 mm
中間車19,600 mm
全幅 2,700 mm
全高 屋根高 3,590 mm
冷房装置上面 3,960 mm
パンタグラフ折畳 4,060 mm
主電動機 かご形三相誘導電動機
主電動機出力 200 kW×4
駆動方式 TD継手式平行カルダン
歯車比 6.07 (85:14)
編成出力 =800 kW
制御方式 VVVFインバータ制御
IGBT素子
制動装置 回生制動併用全電気指令式電磁直通空気制動
保安装置 M式ATS
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1600系室内
行先表示のパターンが少ないため表示できない時は種別表示のみになる。快速特急、特急以外の種別の場合も同様。
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行先表示のパターンが少ないため表示できない時は種別表示のみになる。快速特急、特急以外の種別の場合も同様。
全車廃車となったク1600形

1600系電車(1600けいでんしゃ)は、かつて名古屋鉄道で運転されていた特急形車両である。1000系と同様に「パノラマsuper」の車両愛称を持っていたが、その車体構造は1000系とは大きく異なっていた。

2008年平成20年)に3両編成のうち2両が改造され、2200系一般車と同型の2300系(2330番台)を組み合わせた1700系(一部特別車6両固定編成)として同年12月26日より営業運転を開始した。

概要[編集]

特急指定席車の一部に使用されていた7000系白帯車の置き換えを目的として1999年(平成11年)に登場した。塗装はアイボリーホワイトをベースに赤いラインが入ったものであった。先頭車の前面下部には1000系・1200系と同様に「パノラマSuper」の愛称ロゴが表記されている。灯具類は1000系と同様の3連式だが形状が異なり、さらに横長のLED標識灯(尾灯)がスカートの付け根付近に備わった。

先頭部は自動連結装置を備えた貫通式で、名鉄での先頭貫通式の電車は200系以来5年ぶりとなる。これにより、2本の編成を連結した6両編成で、編成間の自由な行き来が可能となる予定であった。しかし、先頭車前位の大きなオーバーハングに対して幌の設計が適切でなかったため、試運転時に国府駅構内の分岐器通過で自動幌連結装置が破損する欠陥が発覚し、運行開始からしばらくの間この幌は使用されていなかった。その後2005年(平成17年)夏の臨時ダイヤ空港線輸送力増強)を前に自動幌連結装置の改良が施され、営業運転でも使用されるようになった。また1000系の先頭車の一部を貫通式に改造しての運行も計画されていたが、これは中止となった。

車体傾斜システム装備を前提として車体幅を2,700 mmに抑え、さらに側構の内傾角度と裾の絞りを大きくした。裾の台枠部分のみは垂直としている。1000系と同じく先頭車の全長は20 m級であるが、台車中心間を短くオーバーハングを長く取ったことから吉良吉田駅にも入線可能であった。

屋根の高さは3100系以降の限界拡張に基づいて1000系より65 mm高くなっている。この車体断面形状は2000系・2200系などにも受け継がれた[注 1]。また、連続型の側窓が本系列から復活したことや、特別車として、一般の特急用車両でよくみられる片開き扉ではなく両開き扉を初採用したことも特徴として挙げられる。側窓の天地寸法は850 mm、窓框高さは715 mm、床面高さは1,140 mmである。冷房装置集約分散式で能力は1000系と同じ15,000 kcal/h×2(型式 RPU-6015)のロスナイ併用だが、室外機カバーは連続形となった。SIVは3両分を賄うため本系列固有の100 kVAのものをモ1700に搭載した。

電動車を3両編成中1両のみとしたため、3500系・3700系・3100系よりもモーター出力を向上させたが[注 2]雨天時などに車輪が空転しやすいという問題も浮き彫りにした。

本系列の開発の段階では、中部国際空港への旅客輸送と当時有料特急の昼間の輸送力の適正化も考慮され、従来の1000系より1両少ない3両編成となった。4本(計12両)が1製造年次で投入され、本系列の投入によって7000系白帯車が有料特急から退役したことで、有料の列車がすべて専用の設備を持つ車両となり、同年のダイヤ改正から「指定席車」も「特別車」に改称されたため、本系列は最初から「特別車」として運行された。

後の車両へ反映すべく、空気ばねを伸縮させる車体傾斜システムを1601Fに導入して試験を行った。その成果が反映されたのが2000系である。

名鉄の車両で初めてユニバーサルデザイン対応の洋式トイレを設置した。

前面種別・行先表示器の種別色は、当初1200系や1000系の英字併記字幕などと異なり白だったが、空港線開業に伴い特急が赤、快速特急が白に変更された。臨時急行準急普通に使用される際は種別のみ表示され、行先は表示されない。また前面前面種別・行先表示器自体も30コマしか設定されていないため、特急または快速特急でも表示できない行先を設定すると前面は種別のみの表示となる(側面種別・行先表示器の行先は表示される)。

2008年(平成20年)12月27日に実施されたダイヤ改正での列車種別の見直しに先立ち、余剰となるク1600形の4両(4編成4本の豊橋方先頭車)は廃車の方針が取られ、その走行機器と、新製された2200系一般車同様の車体を組合わせて、2300系(2330番台)を新造し、それ以外のモ1700形・サ1650形は、改番されずに1700系に改造され、両者を組み合わせて6両組成となった。

運用[編集]

初期の計画では、本系列も3500系などと編成を組み、一部特別車の急行で用いる予定であったが、計画の変更により特別車の連結は従来通り特急以上となったため、2200系を使用する一部特別車特急の運行に変更され、中部国際空港開港以後空港線への入線は繁忙期などに限られていた。

2005年(平成17年)以降は主として名鉄名古屋 - 西尾間で運転されていたが、朝夕には津島線を経由して尾西線佐屋まで、西尾線吉良吉田まで運転されていた。就役から同年1月29日のダイヤ改正までは、前記の目的により、上記のほかに犬山線・常滑線・河和線・知多新線で、乗客の少ない日中時間帯の特急に加え、朝夕に運転された広見線新可児 - 名古屋本線神宮前間の特急や、常滑線常滑駅発着の特急にも用いられ、また同年初めまでは豊川線にも入線し、正月豊川稲荷発着の臨時特急に充当されたほか、新鵜沼(岐阜基地航空祭開催時は三柿野)発の定期特急(平日の上り1本のみ)でも運用された。蒲郡線での定期運用はなかった(1日1往復の定期特急は8800系で運転されていた)。

同年6月29日のダイヤ改正で西尾線の特急は1往復を除き快速急行に格下げされたため、1600系としての定期運用は終了した。

主要諸元[編集]

  • 起動加速度2.0 km/h/s
  • 減速度:3.5 km/h/s(常用)/4.2 km/h/s(非常)
  • 営業最高速度:120 km/h130 km/h準備)
  • 設計最高速度:145 km/h
  • 平坦均衡速度:130 km/h
  • 主電動機:かご形三相誘導電動機、東洋電機TDK6381-A(200 kW・1,100 V・130 A・2,957 rpm
  • 歯車比:6.07
  • 制御装置:VVVFインバータ制御(IGBT素子)1C1M個別制御×4群
  • 定員:152名

編成表[編集]

凡例
Tc …制御車、Mc …制御電動車、T …付随車
VVVF/SIV…制御装置補助電源装置、CP…電動空気圧縮機、PT…集電装置
[1]
← 豊橋
岐阜 →
形式 ク1600 サ1650 モ1700
区分 Tc T Mc
車両番号
1601 1651 1701
1602 1652 1702
1603 1653 1703
1604 1654 1704
搭載機器 CP CP,PT VVVF/SIV,PT

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ そのため、1700系に改造され2300系と組成するようになっても違和感なくまとまっている。
  2. ^ モーター出力200 kWは名鉄歴代において最大であるほか、他事業者の狭軌用電車でも例は多くなく東京メトロ(205 kW - 225 kW)やJR西日本(200 kW - 270 kW)程度である。

出典[編集]

  1. ^ 外山勝彦、名古屋鉄道(資料提供)「名古屋鉄道 現有車両プロフィール 2005」『鉄道ピクトリアル』第771巻、電気車研究会、2006年1月、262、270。 

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