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初代ゴジラ研究読本より加筆。
 
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| 製作会社=[[東宝]]{{R|映画資料室|C大全47}}
| 製作会社=[[東宝]]{{R|映画資料室|C大全47}}
| 配給 = {{Flagicon|JPN}} 東宝{{R|映画資料室|特撮世界60}}
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| 公開 = {{Flagicon|JPN}} [[1959年]][[11月1日]]{{Refnest|group="出典"|{{R|映画資料室|全史545|大ゴジラ236|来襲38|特撮世界60|円谷組294|C大全47|東宝全怪獣|ゴジラ大鑑288}}}}{{efn|資料によっては、「1959年10月25日」と記述している{{Refnest|group="出典"|{{R|大鑑468|動画王大図鑑36|轟く427}}}}。}}
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| 上映時間 = 182分{{Refnest|group="出典"|{{R|全史545|大鑑468|大ゴジラ236|来襲38|画報86|円谷組294|東宝特撮映画大全集38|東宝全怪獣|ゴジラ大鑑288}}}}{{efn|資料によっては、「181分」と記述している{{R|映画資料室|轟く427}}。}}
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| 製作国 = {{JPN}}
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| 言語 = [[日本語]]
| 言語 = [[日本語]]
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== 概要 ==
== 概要 ==
創立25周年記念映画であると同時に東宝映画1,000本目の記念作品として、[[三船敏郎]]をはじめとする豪華キャストで製作された大作オールスター映画{{Refnest|group="出典"|{{R|全史160|大鑑199|来襲38|BEST54140|特撮世界60|東宝特撮映画大全集39|東宝全怪獣|超常識290|轟く100|GTOM022}}{{R|ゴジラ大鑑288}}}}{{efn|書籍『ゴジラ画報』では、本作品を三船が出演した唯一の怪獣映画と称している{{R|画報86}}。}}。東宝オールスターのほか、[[手力男命]]役として横綱[[朝潮太郎 (3代)|朝汐]]が出演したこと{{R|全史160|轟く100}}や、作品冒頭の国産みの場面に登場するイザナミとイザナギは一般公募でキャスティングされたことでも話題となった{{R|ゴジラ大鑑288}}。
創立25周年記念映画であると同時に東宝映画1,000本目の記念作品として、[[三船敏郎]]をはじめとする豪華キャストで製作された大作オールスター映画{{R|概要|特撮世界60|超常識290}}{{efn|書籍『ゴジラ画報』では、本作品を三船が出演した唯一の怪獣映画と称している{{R|画報86}}。}}。東宝オールスターのほか、[[手力男命]]役として横綱[[朝潮太郎 (3代)|朝汐]]が出演したこと{{R|全史160|轟く100}}や、作品冒頭の国産みの場面に登場するイザナミとイザナギは一般公募でキャスティングされたことでも話題となった{{R|ゴジラ大鑑288}}。


『[[古事記]]』『[[日本書紀]]』などに基づいた八岐大蛇退治や須佐之男命などの日本創世の物語の映像化作品である{{Refnest|group="出典"|{{R|全史160|大鑑199|来襲38|BEST54140|東宝特撮映画大全集39|東宝全怪獣|轟く100|GTOM022|ゴジラ大鑑288}}}}。物語は、[[ヤマトタケル|小椎命(日本武尊)]]を主人公としつつ、合間に太古の神々の物語を挿入した二重構造となっている{{R|全史160|来襲38}}。
『[[古事記]]』『[[日本書紀]]』などに基づいた八岐大蛇退治や須佐之男命などの日本創世の物語の映像化作品である{{R|概要}}。物語は、[[ヤマトタケル|小椎命(日本武尊)]]を主人公としつつ、合間に太古の神々の物語を挿入した二重構造となっている{{R|全史160|来襲38}}。


単なる神話の映像化ではなく、登場人物に現代的な喜怒哀楽の表現を加味させた人間ドラマとして描いている{{Refnest|group="出典"|{{R|全史160|轟く100|GTOM022}}}}。監督の[[稲垣浩]]は、[[神代 (日本神話)|神代]]を研究しても想像で描くしか手がなかったといい、神話時代の祖先を血の通った人間として描くことを掲げていた{{R|全史160}}。
単なる神話の映像化ではなく、登場人物に現代的な喜怒哀楽の表現を加味させた人間ドラマとして描いている{{Refnest|group="出典"|{{R|全史160|轟く100|GTOM022}}}}。監督の[[稲垣浩]]は、[[神代 (日本神話)|神代]]を研究しても想像で描くしか手がなかったといい、神話時代の祖先を血の通った人間として描くことを掲げていた{{R|全史160}}。
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語り部の媼が話す[[伊邪那岐]]・[[伊邪那美]]の両神の[[国産み]]を中心に[[日本神話]]の幻想的な映像から始まり、主題である[[ヤマトタケル|日本武尊]]の物語に入る{{R|轟く100}}。
語り部の媼が話す[[伊邪那岐]]・[[伊邪那美]]の両神の[[国産み]]を中心に[[日本神話]]の幻想的な映像から始まり、主題である[[ヤマトタケル|日本武尊]]の物語に入る{{R|轟く100}}。


小椎命(オウスノミコト)は、兄を追放するという勇猛な性格を父である[[景行天皇]]に警戒され、九州の[[熊襲|熊曽]]征伐を命じられる{{Refnest|group="出典"|{{R|大鑑468|轟く100|ゴジラ大鑑288}}}}。大伴建日連が一族出身で天皇の後添いの子・若帯(後の[[成務天皇]])を皇位につけようと画策しているのである{{R|轟く100}}。伊勢のおばの[[倭姫命|倭姫]]のところで巫女の[[弟橘姫]]に出会う。女装して近づくという巧みな計略で見事に熊曽を討ち取った小椎は熊曽の弟タケルから兄の非道の報いだが、兄を討ってもいいと思っていたと告白される。そして日本武尊(ヤマトタケル)を名乗ってくれと頼まれる{{R|轟く100|ゴジラ大鑑288}}。大手柄を立てて都に帰った日本武尊に、天皇は休む間もなく東国の征伐を命じる{{Refnest|group="出典"|{{R|大鑑468|轟く100|ゴジラ大鑑288}}}}。父は自分を嫌っているのか、と沈痛な気分になる{{R|轟く100}}。
小椎命(オウスノミコト)は、兄を追放するという勇猛な性格を父である[[景行天皇]]に警戒され、九州の[[熊襲|熊曽]]征伐を命じられる{{R|STORY}}。大伴建日連が一族出身で天皇の後添いの子・若帯(後の[[成務天皇]])を皇位につけようと画策しているのである{{R|轟く100}}。伊勢のおばの[[倭姫命|倭姫]]のところで巫女の[[弟橘姫]]に出会う。女装して近づくという巧みな計略で見事に熊曽を討ち取った小椎は熊曽の弟タケルから兄の非道の報いだが、兄を討ってもいいと思っていたと告白される。そして日本武尊(ヤマトタケル)を名乗ってくれと頼まれる{{R|轟く100|ゴジラ大鑑288}}。大手柄を立てて都に帰った日本武尊に、天皇は休む間もなく東国の征伐を命じる{{R|STORY}}。父は自分を嫌っているのか、と沈痛な気分になる{{R|轟く100}}。


語り部の媼は[[天照大神]]が[[高天原]]にいた時、弟の[[スサノオ|須佐之男]]が悪戯を繰り返し、[[天岩戸]]に隠れてしまい、災いが起こった話をする{{R|轟く100}}。倭姫は須佐之男が父の伊邪那岐から疎まれていた話をして、日本武尊は天皇からという一振りの剣([[天叢雲剣|叢雲剣]]、別名・草薙の剣)と私からという万が一に開けるべき袋を与えられて力づけられる。その剣の由来は神代の昔、[[スサノオ|須佐之男]](スサノオ)が[[八岐大蛇]](ヤマタノオロチ)を退治して[[奇稲田姫]]を助けた際に手に入れたものであったが、天皇ではなく倭姫がくれたものであった。尾張で[[宮簀媛|美夜受姫]]に招かれ、殺されそうになるが、心が通じる{{R|大鑑468|轟く100}}。相模国に入り、焼津でだまし討ちにあって猛火に囲まれた日本武尊の命を剣が救い、「草薙(くさなぎ)の剣」と呼ばれるようになる{{R|轟く100}}。天皇の悪意を確信し、征伐の無意味さを知り、大和に引き返すことにする{{R|轟く100}}。途上の船で、大嵐で遭難しそうになる。この時、弟橘姫が[[人身御供]]となって海の中に飛び込み、皆を助ける{{R|大鑑468|轟く100}}。
語り部の媼は[[天照大神]]が[[高天原]]にいた時、弟の[[スサノオ|須佐之男]]が悪戯を繰り返し、[[天岩戸]]に隠れてしまい、災いが起こった話をする{{R|轟く100}}。倭姫は須佐之男が父の伊邪那岐から疎まれていた話をして、日本武尊は天皇からという一振りの剣([[天叢雲剣|叢雲剣]]、別名・草薙の剣)と私からという万が一に開けるべき袋を与えられて力づけられる。その剣の由来は神代の昔、[[スサノオ|須佐之男]](スサノオ)が[[八岐大蛇]](ヤマタノオロチ)を退治して[[奇稲田姫]]を助けた際に手に入れたものであったが、天皇ではなく倭姫がくれたものであった。尾張で[[宮簀媛|美夜受姫]]に招かれ、殺されそうになるが、心が通じる{{R|大鑑468|轟く100}}。相模国に入り、焼津でだまし討ちにあって猛火に囲まれた日本武尊の命を剣が救い、「草薙(くさなぎ)の剣」と呼ばれるようになる{{R|轟く100}}。天皇の悪意を確信し、征伐の無意味さを知り、大和に引き返すことにする{{R|轟く100}}。途上の船で、大嵐で遭難しそうになる。この時、弟橘姫が[[人身御供]]となって海の中に飛び込み、皆を助ける{{R|大鑑468|轟く100}}。


日本武尊は戦いは無益と倭姫と熊襲の弟に教えられたからもはや大和には帰らぬという{{R|ゴジラ大鑑288}}。しかし、大伴一派に父が討伐を止める命令を出し、日本武尊を待っていると騙され、敵の総攻撃に遭い、命を落とす{{Refnest|group="出典"|{{R|大鑑468|轟く100|ゴジラ大鑑288}}}}。[[魂]]が一羽の[[白鳥]]{{Refnest|group="出典"|{{R|大鑑468|東宝特撮映画大全集40|轟く100|ゴジラ大鑑288}}}}{{efn|書籍『キャラクター大全ゴジラ』では、'''白鷺'''と記述している{{R|C大全125}}。}}となって空に向かい、大伴の一味と手勢は[[神罰]]により[[洪水]]と[[溶岩流]]に飲まれて全滅{{R|ゴジラ大鑑288}}。白鳥は倭姫の館を旋回した後、高天原に向かって飛んでいく{{Refnest|group="出典"|{{R|大鑑468|轟く100|ゴジラ大鑑288}}}}。
日本武尊は戦いは無益と倭姫と熊襲の弟に教えられたからもはや大和には帰らぬという{{R|ゴジラ大鑑288}}。しかし、大伴一派に父が討伐を止める命令を出し、日本武尊を待っていると騙され、敵の総攻撃に遭い、命を落とす{{R|STORY}}。[[魂]]が一羽の[[白鳥]]{{R|STORY|東宝特撮映画大全集40}}{{efn|書籍『キャラクター大全ゴジラ』では、'''白鷺'''と記述している{{R|C大全125}}。}}となって空に向かい、大伴の一味と手勢は[[神罰]]により[[洪水]]と[[溶岩流]]に飲まれて全滅{{R|ゴジラ大鑑288}}。白鳥は倭姫の館を旋回した後、高天原に向かって飛んでいく{{R|STORY}}。


== 登場キャラクター ==
== 登場キャラクター ==
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|英字表記=YAMATANOOROCHI{{R|全怪獣大図鑑303}}
|英字表記=YAMATANOOROCHI{{R|全怪獣大図鑑303}}
|別名=神話怪獣{{Refnest|group="出典"|{{R|怪獣大全集|大全集100|来襲199|東宝全怪獣|全怪獣大図鑑303|ゴジラ大鑑288}}}}{{efn|資料によっては、'''伝説怪獣'''と記述している{{R|東宝特撮映画大全集40}}。}}
|別名=神話怪獣{{Refnest|group="出典"|{{R|怪獣大全集|大全集100|来襲199|東宝全怪獣|全怪獣大図鑑303|ゴジラ大鑑288}}}}{{efn|資料によっては、'''伝説怪獣'''と記述している{{R|東宝特撮映画大全集40}}。}}
|身長=300{{nbsp}}[[メートル|m]]{{Refnest|group="出典"|{{R|来襲199|動画王大図鑑37|ALL58|全怪獣大図鑑303|ゴジラ大鑑288}}}}{{efn|書籍『ゴジラ来襲!!』では、異説として「20メートル」とも併記している{{R|来襲199}}。}}
|身長=300{{nbsp}}[[メートル|m]]{{R|OROCHI}}{{efn|書籍『ゴジラ来襲!!』では、異説として「20メートル」とも併記している{{R|来襲199}}。}}
|体重=1万{{nbsp}}[[トン|t]]{{Refnest|group="出典"|{{R|怪獣大全集|来襲199|動画王大図鑑37|ALL58|東宝全怪獣|全怪獣大図鑑303|ゴジラ大鑑288}}}}{{efn|書籍『ゴジラ来襲!!』では、異説として「2千トン」とも併記している{{R|来襲199}}。}}
|体重=1万{{nbsp}}[[トン|t]]{{R|OROCHI|怪獣大全集|東宝全怪獣}}{{efn|書籍『ゴジラ来襲!!』では、異説として「2千トン」とも併記している{{R|来襲199}}。}}
|出身地=出雲の国{{R|来襲199|東宝全怪獣}}(出雲国{{R|動画王大図鑑37}})
|出身地=出雲の国{{R|来襲199|東宝全怪獣}}(出雲国{{R|動画王大図鑑37}})
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== キャスト ==
== キャスト ==
* [[ヤマトタケル|小椎命(日本武尊)]]・[[スサノオ|須佐之男命]](2役){{Refnest|group="出典"|{{R|映画資料室|全史536|大鑑468|特撮世界60|東宝特撮映画大全集39|轟く427}}}} - [[三船敏郎]]
* [[ヤマトタケル|小椎命(日本武尊)]]・[[スサノオ|須佐之男命]](2役){{R|映画資料室|CAST4|特撮世界60}} - [[三船敏郎]]
* [[弟橘姫]]{{Refnest|group="出典"|name="CAST"|{{R|映画資料室|全史536|大鑑468|動画王大図鑑36|東宝特撮映画大全集39|轟く427}}}} - [[司葉子]]
* [[弟橘姫]]{{R|映画資料室|CAST}} - [[司葉子]]
* 薊{{Refnest|group="出典"|name="CAST2"|{{R|映画資料室|全史536|大鑑468|東宝特撮映画大全集39}}}} - [[水野久美]]
* 薊{{R|映画資料室|CAST2}} - [[水野久美]]
* [[奇稲田姫]]{{Refnest|group="出典"|name="CAST4"|{{R|映画資料室|全史536|大鑑468|東宝特撮映画大全集39|轟く427}}}} - [[上原美佐 (1937年生)|上原美佐]]
* [[奇稲田姫]]{{R|映画資料室|CAST4}} - [[上原美佐 (1937年生)|上原美佐]]
* [[宮簀媛|美夜受姫]]{{R|group="出典"|CAST}} - [[香川京子]]
* [[宮簀媛|美夜受姫]]{{R|映画資料室|CAST}} - [[香川京子]]
* [[倭姫命|倭姫]]{{R|group="出典"|CAST}} - [[田中絹代]]
* [[倭姫命|倭姫]]{{R|映画資料室|CAST}} - [[田中絹代]]
* [[アメノウズメ|天宇受女命]]{{R|group="出典"|CAST2}} - [[乙羽信子]]
* [[アメノウズメ|天宇受女命]]{{R|映画資料室|CAST2}} - [[乙羽信子]]
* 語り部の媼{{Refnest|group="出典"|name="CAST5"|{{R|映画資料室|全史536|大鑑468|動画王大図鑑36|東宝特撮映画大全集39}}}} - [[杉村春子]]
* 語り部の媼{{R|映画資料室|CAST5}} - [[杉村春子]]
* [[成務天皇|若帯日子命]]{{R|group="出典"|CAST}} - [[宝田明]]
* [[成務天皇|若帯日子命]]{{R|映画資料室|CAST}} - [[宝田明]]
* [[五百城入彦皇子|五百木之入日子命]]{{R|group="出典"|CAST5}} - [[久保明]]
* [[五百城入彦皇子|五百木之入日子命]]{{R|映画資料室|CAST5}} - [[久保明]]
* [[景行天皇]]{{R|group="出典"|CAST}} - [[中村鴈治郎 (2代目)|二代目中村鴈治郎]]<small>([[大映]])</small>
* [[景行天皇]]{{R|映画資料室|CAST}} - [[中村鴈治郎 (2代目)|二代目中村鴈治郎]]<small>([[大映]])</small>
* [[大伴武日|大伴建日連]]{{R|group="出典"|CAST4}} - [[東野英治郎]]
* [[大伴武日|大伴建日連]]{{R|映画資料室|CAST4}} - [[東野英治郎]]
* [[吉備氏|吉備武彦]]{{R|group="出典"|CAST5}} - [[平田昭彦]]{{efn|当初は志村喬が配役されていた{{R|大全集56}}。}}
* [[吉備氏|吉備武彦]]{{R|映画資料室|CAST5}} - [[平田昭彦]]{{efn|当初は志村喬が配役されていた{{R|大全集56}}。}}
* 八雲{{R|group="出典"|CAST5}} - [[三島耕]]
* 八雲{{R|映画資料室|CAST5}} - [[三島耕]]
* 大伴小建{{R|group="出典"|CAST5}} - [[伊藤久哉]]
* 大伴小建{{R|映画資料室|CAST5}} - [[伊藤久哉]]
* 大伴久呂比古{{R|group="出典"|CAST5}} - [[田崎潤]]
* 大伴久呂比古{{R|映画資料室|CAST5}} - [[田崎潤]]
* [[熊襲|熊曽建・兄]]{{R|group="出典"|CAST5}} - [[志村喬]]{{efn|当初は[[河津清三郎]]が配役されていた{{R|大全集56}}。}}
* [[熊襲|熊曽建・兄]]{{R|映画資料室|CAST5}} - [[志村喬]]{{efn|当初は[[河津清三郎]]が配役されていた{{R|大全集56}}。}}
* 久米八腹{{R|group="出典"|CAST5}} - [[上田吉二郎]]
* 久米八腹{{R|映画資料室|CAST5}} - [[上田吉二郎]]
* 稲葉{{R|group="出典"|CAST5}} - [[小杉義男]]
* 稲葉{{R|映画資料室|CAST5}} - [[小杉義男]]
* 大伴麻毛理{{R|group="出典"|CAST5}} - [[野村明司|野村浩三]]
* 大伴麻毛理{{R|映画資料室|CAST5}} - [[野村明司|野村浩三]]
* 小鹿火{{R|group="出典"|CAST5}} - [[藤木悠]]
* 小鹿火{{R|映画資料室|CAST5}} - [[藤木悠]]
* 兄比売{{R|group="出典"|CAST5}} - [[環三千世]]
* 兄比売{{R|映画資料室|CAST5}} - [[環三千世]]
* [[伊邪那美神]]{{Refnest|group="出典"|name="CAST3"|{{R|映画資料室|全史536|東宝特撮映画大全集39}}}}{{efn|資料によっては、伊邪那美神役を村松恵子と記述している{{R|大鑑468|轟く100}}。}} - [[新珠三千代]]
* [[伊邪那美神]]{{R|映画資料室|CAST3}}{{efn|資料によっては、伊邪那美神役を村松恵子と記述している{{R|大鑑468|轟く100}}。}} - [[新珠三千代]]
* 小鹿火の母{{R|group="出典"|CAST5}} - [[村田嘉久子]]
* 小鹿火の母{{R|映画資料室|CAST5}} - [[村田嘉久子]]
* [[アシナヅチ・テナヅチ|手名椎]]{{R|group="出典"|CAST2}} - [[中北千枝子]]
* [[アシナヅチ・テナヅチ|手名椎]]{{R|映画資料室|CAST2}} - [[中北千枝子]]
* [[天御中主神]]{{R|group="出典"|CAST2}} - [[左卜全]]
* [[天御中主神]]{{R|映画資料室|CAST2}} - [[左卜全]]
* [[尾張国造]]{{R|group="出典"|CAST2}} - [[山田巳之助]]
* [[尾張国造]]{{R|映画資料室|CAST2}} - [[山田巳之助]]
* 監奴{{R|group="出典"|CAST5}} - [[向井淳一郎]]
* 監奴{{R|映画資料室|CAST5}} - [[向井淳一郎]]
* [[大碓皇子|大椎命]]{{R|group="出典"|CAST5}} - [[伊豆肇]]
* [[大碓皇子|大椎命]]{{R|映画資料室|CAST5}} - [[伊豆肇]]
* [[アシナヅチ・テナヅチ|足名椎]]{{R|group="出典"|CAST2}} - [[瀬良明]]
* [[アシナヅチ・テナヅチ|足名椎]]{{R|映画資料室|CAST2}} - [[瀬良明]]
* [[伊邪那岐神]]{{R|group="出典"|CAST3}}{{efn|資料によっては、伊邪那岐神役を脇田博行と記述している{{R|大鑑468|轟く100}}。}} -[[高橋昌也]]
* [[伊邪那岐神]]{{R|映画資料室|CAST3}}{{efn|資料によっては、伊邪那岐神役を脇田博行と記述している{{R|大鑑468|轟く100}}。}} -[[高橋昌也]]
* 高天原の神{{R|group="出典"|CAST3}} - [[田島義文]]、[[村上冬樹]]、[[谷晃]]
* 高天原の神{{R|映画資料室|CAST3}} - [[田島義文]]、[[村上冬樹]]、[[谷晃]]
* 八百万の神{{R|group="出典"|CAST2}} - [[沢村いき雄]]
* 八百万の神{{R|映画資料室|CAST2}} - [[沢村いき雄]]
* 子供の父{{R|group="出典"|CAST3}} - [[大村千吉]]
* 子供の父{{R|映画資料室|CAST3}} - [[大村千吉]]
* 大和国の民{{R|group="出典"|CAST3}} - [[佐田豊]]、[[松尾文人]]、[[熊谷卓三|熊谷二良]]、[[岡部正]]、[[上村幸之]]、[[重信安宏]]
* 大和国の民{{R|映画資料室|CAST3}} - [[佐田豊]]、[[松尾文人]]、[[熊谷卓三|熊谷二良]]、[[岡部正]]、[[上村幸之]]、[[重信安宏]]
* 大和の兵{{R|group="出典"|CAST3}} - [[久世竜]]、[[桜井巨郎]]、[[津田光男]]、[[桐野洋雄]]、[[大友伸]]、[[土屋詩朗]]、[[坂本晴哉]]、[[緒方燐作]]、[[岩本弘司]]、[[秋元泉]]、[[山口博義]]、[[北野明 (俳優)|北野明]]、[[山田彰]]
* 大和の兵{{R|映画資料室|CAST3}} - [[久世竜]]、[[桜井巨郎]]、[[津田光男]]、[[桐野洋雄]]、[[大友伸]]、[[土屋詩朗]]、[[坂本晴哉]]、[[緒方燐作]]、[[岩本弘司]]、[[秋元泉]]、[[山口博義]]、[[北野明 (俳優)|北野明]]、[[山田彰]]
* 出雲からきた大和の兵{{R|group="出典"|CAST3}} - [[堤康久]]、[[増田正雄]]
* 出雲からきた大和の兵{{R|映画資料室|CAST3}} - [[堤康久]]、[[増田正雄]]
* 大伴の兵{{R|group="出典"|CAST3}} - [[天本英世]]、[[手塚勝巳]]、[[長島正芳]]
* 大伴の兵{{R|映画資料室|CAST3}} - [[天本英世]]、[[手塚勝巳]]、[[長島正芳]]
* 熊曽の兵{{R|group="出典"|CAST3}} - [[広瀬正一]]
* 熊曽の兵{{R|映画資料室|CAST3}} - [[広瀬正一]]
* 村の娘{{R|group="出典"|CAST3}} - [[家田佳子]]、[[岸田翠]]
* 村の娘{{R|映画資料室|CAST3}} - [[家田佳子]]、[[岸田翠]]
* 大和国の娘{{R|group="出典"|CAST3}} - [[河美智子]]、[[飛鳥みさ子]]
* 大和国の娘{{R|映画資料室|CAST3}} - [[河美智子]]、[[飛鳥みさ子]]
* 熊曽の娘{{R|group="出典"|CAST3}} - [[樋口年子]]、[[上野明美 (女優)|上野明美]]
* 熊曽の娘{{R|映画資料室|CAST3}} - [[樋口年子]]、[[上野明美 (女優)|上野明美]]
* 美夜受姫の侍女{{R|group="出典"|CAST3}} - [[三田照子]]
* 美夜受姫の侍女{{R|映画資料室|CAST3}} - [[三田照子]]
* 振付{{R|group="出典"|CAST3}} - [[猿若清方 (初代)|猿若清方]]
* 振付{{R|映画資料室|CAST3}} - [[猿若清方 (初代)|猿若清方]]
* [[熊襲|熊曽建・弟]]{{R|group="出典"|CAST}} - [[鶴田浩二]]
* [[熊襲|熊曽建・弟]]{{R|映画資料室|CAST}} - [[鶴田浩二]]
* [[布刀玉命]]{{R|group="出典"|CAST2}} - [[加東大介]]
* [[布刀玉命]]{{R|映画資料室|CAST2}} - [[加東大介]]
* [[手力男命]]{{R|group="出典"|CAST2}} - [[朝潮太郎 (3代)|朝汐太郎]]
* [[手力男命]]{{R|映画資料室|CAST2}} - [[朝潮太郎 (3代)|朝汐太郎]]
* [[天児屋命]]{{R|group="出典"|CAST3}}{{efn|name="八百万"|資料によっては、役名を'''八百万の神々'''と記述している{{R|大鑑468}}。}} - [[三木のり平]]
* [[天児屋命]]{{R|映画資料室|CAST3}}{{efn|name="八百万"|資料によっては、役名を'''八百万の神々'''と記述している{{R|大鑑468}}。}} - [[三木のり平]]
* [[伊斯許理度売命]]{{R|group="出典"|CAST3}}{{efn|name="八百万"}} - [[有島一郎]]
* [[伊斯許理度売命]]{{R|映画資料室|CAST3}}{{efn|name="八百万"}} - [[有島一郎]]
* [[思金神]]{{R|group="出典"|CAST2}} - [[柳家金語楼]]
* [[思金神]]{{R|映画資料室|CAST2}} - [[柳家金語楼]]
* [[玉祖命]]{{R|group="出典"|CAST3}}{{efn|name="八百万"}} - [[榎本健一]]
* [[玉祖命]]{{R|映画資料室|CAST3}}{{efn|name="八百万"}} - [[榎本健一]]
* [[天津麻羅]]{{R|group="出典"|CAST2}} - [[小林桂樹]]
* [[天津麻羅]]{{R|映画資料室|CAST2}} - [[小林桂樹]]
* [[天照大神]]{{R|group="出典"|CAST}} - [[原節子]]
* [[天照大神]]{{R|映画資料室|CAST}} - [[原節子]]


=== ノンクレジット ===
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2024年12月15日 (日) 09:05時点における最新版

日本誕生
The Three Treasures[出典 1]
ポスター
監督
脚本
製作
出演者
音楽 伊福部昭
撮影
編集 平一二
製作会社 東宝[4][5]
配給 日本の旗 東宝[4][6]
公開 日本の旗 1959年11月1日[4][7][6][5][注釈 1]
上映時間 182分[7][8][2][3][注釈 2]
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
製作費 2億5,000万円[11]
配給収入 3億4,432万円[12][注釈 3]
テンプレートを表示

日本誕生』(にほんたんじょう[4])は、1959年昭和34年)11月1日[14]公開の日本映画[15]。製作、配給は東宝[3]カラー[注釈 4]東宝スコープ[出典 2]。監督は稲垣浩、主演は三船敏郎

併映作品は、第1週は『悪魔の接吻』(東宝)[18]、第2週からは『燃える聖火』(日本映画社製作・東宝配給)[3][18]。本作品が長尺のため、上映館によっては1本立て興行としていた[18]

概要

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創立25周年記念映画であると同時に東宝映画1,000本目の記念作品として、三船敏郎をはじめとする豪華キャストで製作された大作オールスター映画[19][6][20][注釈 5]。東宝オールスターのほか、手力男命役として横綱朝汐が出演したこと[21][18]や、作品冒頭の国産みの場面に登場するイザナミとイザナギは一般公募でキャスティングされたことでも話題となった[22]

古事記』『日本書紀』などに基づいた八岐大蛇退治や須佐之男命などの日本創世の物語の映像化作品である[19]。物語は、小椎命(日本武尊)を主人公としつつ、合間に太古の神々の物語を挿入した二重構造となっている[21][1]

単なる神話の映像化ではなく、登場人物に現代的な喜怒哀楽の表現を加味させた人間ドラマとして描いている[出典 3]。監督の稲垣浩は、神代を研究しても想像で描くしか手がなかったといい、神話時代の祖先を血の通った人間として描くことを掲げていた[21]

上映時間が180分と長かったため、途中に休憩が入る2部構成で上映された[24][18]

1959年7月4日に宣伝行事として、霧島神宮の御神火を拝受して、スクーターで東宝撮影所の岩戸神楽セットまで運ぶ御神火リレーが開催され、20日間かけて完走した[25]

2005年には稲垣の生誕100周年を記念し、他の名作も含めてニュープリントで再上映された。

あらすじ

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語り部の媼が話す伊邪那岐伊邪那美の両神の国産みを中心に日本神話の幻想的な映像から始まり、主題である日本武尊の物語に入る[18]

小椎命(オウスノミコト)は、兄を追放するという勇猛な性格を父である景行天皇に警戒され、九州の熊曽征伐を命じられる[26]。大伴建日連が一族出身で天皇の後添いの子・若帯(後の成務天皇)を皇位につけようと画策しているのである[18]。伊勢のおばの倭姫のところで巫女の弟橘姫に出会う。女装して近づくという巧みな計略で見事に熊曽を討ち取った小椎は熊曽の弟タケルから兄の非道の報いだが、兄を討ってもいいと思っていたと告白される。そして日本武尊(ヤマトタケル)を名乗ってくれと頼まれる[18][22]。大手柄を立てて都に帰った日本武尊に、天皇は休む間もなく東国の征伐を命じる[26]。父は自分を嫌っているのか、と沈痛な気分になる[18]

語り部の媼は天照大神高天原にいた時、弟の須佐之男が悪戯を繰り返し、天岩戸に隠れてしまい、災いが起こった話をする[18]。倭姫は須佐之男が父の伊邪那岐から疎まれていた話をして、日本武尊は天皇からという一振りの剣(叢雲剣、別名・草薙の剣)と私からという万が一に開けるべき袋を与えられて力づけられる。その剣の由来は神代の昔、須佐之男(スサノオ)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治して奇稲田姫を助けた際に手に入れたものであったが、天皇ではなく倭姫がくれたものであった。尾張で美夜受姫に招かれ、殺されそうになるが、心が通じる[8][18]。相模国に入り、焼津でだまし討ちにあって猛火に囲まれた日本武尊の命を剣が救い、「草薙(くさなぎ)の剣」と呼ばれるようになる[18]。天皇の悪意を確信し、征伐の無意味さを知り、大和に引き返すことにする[18]。途上の船で、大嵐で遭難しそうになる。この時、弟橘姫が人身御供となって海の中に飛び込み、皆を助ける[8][18]

日本武尊は戦いは無益と倭姫と熊襲の弟に教えられたからもはや大和には帰らぬという[22]。しかし、大伴一派に父が討伐を止める命令を出し、日本武尊を待っていると騙され、敵の総攻撃に遭い、命を落とす[26]が一羽の白鳥[26][27][注釈 6]となって空に向かい、大伴の一味と手勢は神罰により洪水溶岩流に飲まれて全滅[22]。白鳥は倭姫の館を旋回した後、高天原に向かって飛んでいく[26]

登場キャラクター

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諸元
八岐大蛇
YAMATANOOROCHI[29]
別名 神話怪獣[出典 4][注釈 7]
身長 300 m[33][注釈 8]
体重 1万 t[33][30][17][注釈 9]
出身地 出雲の国[32][17](出雲国[34]
八岐大蛇[注釈 10]
倭姫の語りによる劇中劇として須佐之男による八岐大蛇退治が登場する。
  • 八岐大蛇は初の操演による怪物として描写された[出典 5]。湖から現われる八岐大蛇は、水底にレールを敷いて動かした[28]。頭部は内蔵したゴムチューブに圧搾空気を送ることで操作するものと、スタッフが腕を入れて操るギニョールが併用された[出典 6]。当初は陸上で使用する前提で前者が製作されたが、水中では使えないため、急遽後者が製作された[38]。口はラジコンで可動する[38]
    • 造形助手の村瀬継蔵は、8本の首が上下だけでなく左右にも動けるものを要望され、3点で吊った空気式のものを発想したが、機械工作の飯島周治郎がバルブの切り替えにより首を動かすことができるものを提案した[39]
  • 須佐之男と八岐大蛇との戦いは、ブルーバック合成で表現された[36]。撮影では、スクリプターの秒読みにあわせて助監督が大蛇の首に振った番号を指示し、演じる三船敏郎がそれに従い動くという手順であった[36]。しかし、カメラマンは先に撮影した特撮場面と記憶頼みで合わせなければならず、時間もかかり、撮影を担当した有川貞昌はこの時が最も特撮を手造りする難しさを感じたと述懐している[36]
  • 須佐之男がまたがる原寸大の尾は、竹製の骨組みにラテックス製の鱗を貼っており、中に人が入って動かしている[25][39]。血しぶきを噴出するギミックも数箇所仕込まれている[6]
  • ゴジラシリーズなどに登場するキングギドラは、本作品の八岐大蛇を参考にしたとされる[40][35]。複雑な操演技術も本作品で培われたものを応用しているが、操演技師の中代文雄はキングギドラよりも八岐大蛇の方が苦労したことを述懐している[36]

キャスト

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ノンクレジット

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スタッフ

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参照[4][15]

本編

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特殊技術

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製作

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東宝プロデューサーの田中友幸は、映画『十戒』のような壮大なスペクタクル映画を日本でも作りたいという考えから企画したことを述べている[48]

元々はゴールデンウィークでの公開を予定していたが、製作準備が間に合わず、急遽代替作品として『或る剣豪の生涯』が同じスタッフ・キャストによって撮影され[出典 7]、その間は特撮班も作業を中断して『孫悟空』などの特殊技術を手掛けている[49][25]

集落のオープンセットは、川崎市西生田に大規模なものが作られた[21]

原野のロケは、阿蘇山にて400人規模で行われた[21]。阿蘇でのロケ中はスタッフの食費が抑えられていたため、三船はスタッフを気遣って食事を作っている。また、悪天候によって撮影が不可能となった際には、ダンスパーティを開いた[50]

原節子は旅行嫌いで知られていたが、天照大神役に決定すると1週間かけて伊勢神宮葭原神社熱田神宮に参詣し、無事に難役が務まるようにと祈願した。帰宅後には自宅に神棚を祀って朝夕祈り、「なんといっても私達日本人にとって天照大神は一番尊敬すべき神様として心の中に生きています。それを生身の私が演ずるわけで、一歩しくじれば二千年の日本国民の信仰を冒瀆することになりますものね」と語るほどの気合いの入れようで、稲垣監督ら関係者を感激させたという[51]

音楽は伊福部昭が担当した[52]。長尺の大作であるため楽曲は40曲以上となり、録音は4日間におよんだ[52]。日本神話の世界を表現するため雅楽楽器や神道楽器が多く用いられており、歌曲が多いのも特徴である[52]

特撮

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円谷英二が自ら設計し、6,200万円の製作費で造られたカラー・シネスコ合成機「バーサタイル・プロセス」が初めて使用されており[出典 8]映画産業団体連合会より昭和34年度(1959年度)特別功労章を受賞している[13][55]

冒頭の日本列島誕生シーンは、ミニチュア・人形操演・合成などの特撮技術が総動員された[53]。日本列島のミニチュアセットは、プールの中に木組みを組んで浮上させている[53]

八岐大蛇が登場するシーンのセットは、円谷の指示により撮影当日の朝に手前にスロープを設けて水を溜めを植えることとなった[49]。美術班は休憩も取らず22時ごろまで作業にあたったが、円谷ら撮影班が急かしながら水を溜め始めたため、美術助手の井上泰幸はこれに反発し作業をボイコットする一幕もあったという[49]。葦は、美術助手の青木利郎らが多摩川で採取した[49]

神罰によって大伴の軍勢が洪水や溶岩流に追われ、逃げる途中で巨大な地割れが起こって大勢の兵が落ちる場面では、人形などを使うと迫力に欠けるため、1,200本の丸太にトラック百台分の土砂を載せて人工的に造った地面を引っ張って地割れを起こし、実際に人間を落として迫力ある場面を撮影した[54]

火山噴火のシーンでは、ミニチュアのオープンセットに7トン以上の熔鉄が用いられている[出典 9][注釈 16]。火山のセットは、小プール脇に石膏とセメントで作られた[57]。このシーンでは、ミニチュア撮影へ合成した兵士にさらにアニメーションで炎を加えている[56]。撮影の有川貞昌は、溶岩が本物よりもきれいすぎるのが不満であったと語っている[57]

洪水のシーンでは10トンの水が用いられている[58]ダンプカーで牽引する鉄板によりプールを漕ぎ、表面張力を無視した波の上下を作り出している[56][6]。山間を流れる場面は、セットで実際の地形を再現しており、本編撮影と合成が一致するように意図している[56][6]

小プールで撮影された相模湾のシーンで用いられた船のミニチュアは、オールを漕ぐ人物も再現している[56][6]。船の撮影は、晴天の場面は小プール、荒天の場面はセットプールと使い分けていた[57]

日本武尊が变化した白い鳥はアニメーションで表現された[53][6]フルアニメーションのため、作画には3ヶ月を要した[56]。作画を担当した島倉二千六は、当時東宝に入ったばかりで、「白鳥ばかり描かされていた」と述懐している[59]

撮影助手であった森喜弘によれば、特撮現場を取材した新聞記事で、八岐大蛇の写真に写っていなかったピアノ線を描き足したため、円谷は「子供の夢を壊した」として取材拒否をしたという[16]

映像ソフト

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  • VHS 品番 TG4225[60]
  • LD 品番 TLL2104[60]
  • DVD
    • 2001年2月21日に、東宝ビデオより発売された[61][62]
    • 2007年2月23日に、再発売された。同日に発売されたDVD-BOX『東宝特撮 空想科学箱』にも収録[63]
    • 2014年2月7日に、期間限定プライス版として再発売された。
    • 2015年7月15日に、東宝DVD名作セレクションとして再発売された。

関連作品

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脚注

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注釈

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  1. ^ 資料によっては、「1959年10月25日」と記述している[8][9][10]
  2. ^ 資料によっては、「181分」と記述している[4][10]
  3. ^ 資料によっては、「3億4千万円」と記述している[13]
  4. ^ 中野昭慶は、フィルムはアグファカラーであったと証言している[16]
  5. ^ 書籍『ゴジラ画報』では、本作品を三船が出演した唯一の怪獣映画と称している[2]
  6. ^ 書籍『キャラクター大全ゴジラ』では、白鷺と記述している[28]
  7. ^ 資料によっては、伝説怪獣と記述している[27]
  8. ^ 書籍『ゴジラ来襲!!』では、異説として「20メートル」とも併記している[32]
  9. ^ 書籍『ゴジラ来襲!!』では、異説として「2千トン」とも併記している[32]
  10. ^ 書籍によっては、八岐の大蛇と記述している[35]
  11. ^ 当初は志村喬が配役されていた[11]
  12. ^ 当初は河津清三郎が配役されていた[11]
  13. ^ 資料によっては、伊邪那美神役を村松恵子と記述している[8][18]
  14. ^ 資料によっては、伊邪那岐神役を脇田博行と記述している[8][18]
  15. ^ a b c 資料によっては、役名を八百万の神々と記述している[8]
  16. ^ 中野は、撮影再開した際に円谷が提案したことを証言している[16]

出典

[編集]
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  3. ^ a b c d e 東宝特撮映画大全集 2012, p. 38, 「『日本誕生』」
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj bk bl bm bn bo bp bq 映画資料室”. viewer.kintoneapp.com. 2022年2月17日閲覧。
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  7. ^ a b
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  9. ^ 動画王特別編集ゴジラ大図鑑 2000, p. 36, 「日本誕生」
  10. ^ a b c 小林淳 2022, p. 427, 「付章 東宝空想特撮映画作品リスト [1984 - 1984]」
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  12. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)158頁
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  26. ^ a b c d e
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出典(リンク)

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参考文献

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  • 東宝ゴジラ会『特撮 円谷組 ゴジラと東宝特撮にかけた青春』洋泉社、2010年10月9日。ISBN 978-4-86248-622-6 
  • 『東宝特撮映画大全集』執筆:元山掌 松野本和弘 浅井和康 鈴木宣孝 加藤まさし、ヴィレッジブックス、2012年9月28日。ISBN 978-4-86491-013-2 
  • 洋泉社MOOK 別冊映画秘宝(洋泉社)
    • 『別冊映画秘宝 オール東宝怪獣大図鑑』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2014年4月27日。ISBN 978-4-8003-0362-2 
    • 『別冊映画秘宝 初代ゴジラ研究読本』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2014年8月24日。ISBN 978-4-8003-0452-0 
  • 講談社 編『キャラクター大全 ゴジラ 東宝特撮映画全史』講談社、2014年7月15日。ISBN 978-4-06-219004-6 
  • 『東宝特撮全怪獣図鑑』東宝 協力、小学館、2014年7月28日。ISBN 978-4-09-682090-2 
  • 『ゴジラの超常識』[協力] 東宝、双葉社、2016年7月24日(原著2014年7月6日)。ISBN 978-4-575-31156-3 
  • 野村宏平、冬門稔弐『ゴジラ365日』洋泉社〈映画秘宝COLLECTION〉、2016年11月23日。ISBN 978-4-8003-1074-3 
  • 山根貞男 編『日本映画作品大事典』三省堂、2021年6月30日。ISBN 978-4-38-515903-4 
  • 『ゴジラ 全怪獣大図鑑』講談社〈講談社 ポケット百科シリーズ〉、2021年7月2日。ISBN 978-4-06-523491-4 
  • 小林淳『東宝空想特撮映画 轟く 1954-1984』アルファベータブックス〈叢書・20世紀の芸術と文学〉、2022年5月14日。ISBN 978-4-86598-094-3 
  • 講談社 編『ゴジラ&東宝特撮 OFFICIAL MOOK』 vol.0《ゴジラ&東宝特撮作品 総選挙》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2022年12月21日。ISBN 978-4-06-530223-1 
  • 『超ゴジラ解体全書』宝島社〈TJ MOOK〉、2023年11月30日。ISBN 978-4-299-04835-6 
  • 『ゴジラ70年記念 テレビマガジン特別編集 ゴジラ大鑑 東宝特撮作品全史』講談社〈テレビマガジン特別編集〉、2024年10月15日。ISBN 978-4-06-536364-5 

関連項目

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外部リンク

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