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トヨタ・スプリンターカリブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トヨタ・スプリンター > トヨタ・スプリンターカリブ
トヨタ・スプリンターカリブ
3代目 後期型 日本仕様
概要
別名 トヨタ・ターセルワゴン
(初代)
トヨタ・カローラワゴン
(2代目豪州/欧州仕様・3代目欧州仕様)
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1982年-2002年
ボディ
ボディタイプ 5ドアセミトールワゴン
(初代のみ)
5ドアステーションワゴン
(2代目・3代目)
駆動方式 四輪駆動
(3代目のみ前輪駆動も混在)
系譜
後継 トヨタ・ヴォルツ
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スプリンター カリブSPRINTER CARIB)は、トヨタ自動車が生産していた乗用車で、排気量1,500cc~1,800ccクラスのステーションワゴンである。

概要

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開発・生産は豊田自動織機製作所。トヨタは1970年代後半からターセル/コルサで縦置きエンジン型のFF駆動車の生産に乗り出していたが、1970年代のスバル・レオーネ エステートバンに端を発する「乗用車ベースの四輪駆動車」という当時の新カテゴリに参入、本車はよりRVSUV)に近いスタイリングとパッケージを与えられて登場した。当時のRVブーム、および現在のクロスオーバーSUVの源流的存在の一つとされる。

後述のように、初代モデルに関しては「スプリンター」の名を冠していながらもカローラ系統ではなくターセル系統に属する車両である(2代目以降はカローラ系統)。各代とも5ナンバーのワゴンのみで、4ナンバーのバンは設定されなかった。

初代 AL25G型(1982年 - 1988年)

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トヨタ・スプリンターカリブ(初代)
AL25G型
初代スプリンターカリブ(フロント)
初代スプリンターカリブ(米国仕様 リア)
概要
販売期間 1982年 - 1988年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアステーションワゴン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 3A-U型 1.5L 直4 83ps→85ps、3A-SU 1.5L 90ps
変速機 3AT、5MT
前:
マクファーソンストラット
後:
4リンク+トレーリングリンク
前:
マクファーソンストラット
後:
4リンク+トレーリングリンク
車両寸法
ホイールベース 2,430mm
全長 4,310mm
全幅 1,615mm
全高 1,500mm
車両重量 1,015kg
その他
別名 トヨタ・ターセルワゴン
販売終了前月までの新車登録台数の累計 7万9609台[1]
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全グレードが四輪駆動車という、当時としては異色のラインナップだった。エンジンは1,500ccの3A-U型SOHCガソリンエンジン[注釈 1]を搭載。同年5月デビューのAL20型系ターセルコルサカローラIIプラットフォームを基本に、リヤアクスルまわりはE70型系カローラのもの(ただしホイールハブのPCDが異なる)を流用した。既存コンポーネントを上手く利用しながらも、当時としては思い切った背高ボディと広い荷室も相まって、四駆需要の高い雪国を中心に固定ファンを獲得することに成功した。リアコンビランプは当時としては画期的な縦型を採用しており、この意匠は歴代モデルに引き継がれたほか、その後各社に広まることとなった。

 レオーネが既存の4WD車に類して4WD時のファイナルギアのハイ・ローを切り替える機構で平たん路における走行性と悪路における走破性を確保したことに比べ、カリブでは4WD時にのみセレクトできるEL(エクストラ・ロー)を含む、6速MTを採用した。

  • 1983年10月 3速AT車追加(3速+シフトノブスイッチによる4WD切替)。AV-I とAV-II の中間モデル「RVスペシャル」の追加。
  • 1984年8月 マイナーチェンジ。キャブレータが2バレル型からV型に変更され、出力とドライバビリティが向上。シングルキャブ車はエンジンヘッドにSCV(スワールコントロールバルブ)が装着された。上位グレードAV-II のMT車はツインキャブ仕様の3A-SU型エンジンを搭載。全車ファイナルギアのギア比が下げられた。(3.810→4.100)
  • 1986年5月 2度目のマイナーチェンジ。外観の小変更が行われた。上位グレードAV-IIツーリングスペシャルは電子制御サスペンションシステムTEMSを搭載。MT車は全車、4WDセレクターがレバー式からスイッチ式に改められる。
  • 輸出仕様はベース車から「ターセルワゴン」の名で売られていた。(ターセルワゴンにはFF車も存在)。
  • ヨーロッパ仕様はフロントバンパー内部に電動ウィンチを装着した仕様(Tercel Snow)が存在する。

2代目 AE95G型(1988年 - 1995年)

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トヨタ・スプリンターカリブ(2代目)
AE95G型
AE90系 2代目スプリンターカリブ(フロント)
後期型 RVスペシャル
概要
販売期間 1988年 - 1995年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアステーションワゴン
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン 4A-FE型 1.6L 直4 100ps
4A-FHE型 1.6L 直4 110ps
変速機 4速AT/5速MT
前:ストラット
後:4リンク
前:ストラット
後:4リンク
車両寸法
ホイールベース 2,430mm
全長 4,370mm
全幅 1,655mm
全高 1,485mm
車両重量 1,200kg
その他
別名 トヨタ・カローラワゴン(欧州・豪州)
販売終了前月までの新車登録台数の累計 15万5244台。
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  • 1988年2月デビュー。初代は型式等の関係上、ターセル(コルサカローラII)の系譜に属していたが、2代目より正式にスプリンター(カローラ)の系譜となった。リヤアクスルまわりは先代を踏襲。四輪駆動システムもパートタイム式からフルタイム式(MT車は機械式センターデフ、AT車は油圧式ハイマチック)へと変更された。上位グレードは油圧式ハイトコントロール(ハイドロマチックサスペンション)を採用し、走行中に地上高を30mmリフトアップすることができた。エンジンは1,600ccの4A-FE型ハイメカツインカム(狭角バルブDOHC16バルブガソリンエンジンを搭載。グレード体系は上から「AV-IIツーリングスペシャル」「AV-II」「RVスペシャル」「AV-I」。ボディカラーは「スーパーホワイトII」、「スーパーレッドII」、「グレーメタリック」、「ダークグレイッシュブラウンメタリック」、「エクセルレッドトーニング」と呼ばれるレッドマイカとガンメタのツートンカラー、「アベニューグリーントーニング」と呼ばれるグリニッシュシルバーに屋根上と車体下部をモスグリーンで塗装した3ウェイツートンカラー、「アクティブブルートーニング」と呼ばれるブルーイッシュシルバーに屋根上と車体下部をダークブルーで塗装した3ウェイツートンカラーが設定される。
  • 1989年8月 一部改良。フロントブレーキをベンチレーテッドディスクに変更。他、パワーウインドウのスイッチ位置&形状の変更、ウォッシャータンクの大容量化等。
  • 1990年9月 ビッグマイナーチェンジで中期型になる。4A-FE型のハイカム仕様にあたる4A-FHE型ガソリンエンジンに換装、出力10ps / トルク0.5kgmのアップ。バンパー、グリル、ヘッドライトを変更。ルーフレールも設定した。内装では大型6連アナログメーターの採用やシートトリムを変更。ボディカラーはほとんど入れ替えられ、「スーパーホワイトII」、「グレイッシュグリーンメタリック」、「エクセルレッドトーニング」と「アクティブブルートーニング」に加え、「クリスプゴールドトーニング」と呼ばれるゴールドと黒のツートンカラー、「マジェスティックブラックトーニング」と呼ばれるブラックメタリックとゴールドのツートンカラーの計6色が中期型に設定された。CMソングはCHAGE&ASKAの「DO YA DO[注釈 2]
  • 1991年9月 一部改良。全車に3点式シートベルト、サイドドアビーム、シートベルト非装着警告灯を標準装備し、室内難燃化材を採用。ボディカラーは「エクセルレッドトーニング」が「プライムレッドトーニング」と呼ばれるレッドマイカとゴールドのツートンカラーに差し替えられ、「クリスプゴールドトーニング」はこの一部改良でわずか1年で廃止。
  • 1993年8月 マイナーチェンジで後期型になる。運転席エアバッグを全車に標準装備。タイヤ / ホイールを全車13インチから14インチにアップ。同時にブレーキを大型化。エアコンの冷媒を新冷媒に変更。ボディカラー「フォレストシェードトーニング」と呼ばれるダークグリーンとガンメタのツートンカラーと「ブルームーントーニング」と呼ばれるダークブルーとガンメタのツートンカラーが新設定された。

このモデルも悪路走破性が高いことからアウトドア派や雪国を中心に固定ファンがいたものの、モデル後期に訪れたRVブームの中、クロカンタイプに押されたのと、90年代以降はベースのセダンがE100型系にフルモデルチェンジ以降もAE95G型のまま7年半の間モデルライフを過ごしたため次第に存在感が薄れていった。

  • 1995年7月[2] 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
  • 1995年8月 3代目と入れ替わって販売終了。

欧州と豪州では「カローラワゴン」の名で、1991年に7代目カローラ派生の3代目カローラワゴンが登場するまで販売されていた。

3代目 AE110G型(1995年 - 2002年)

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トヨタ・スプリンターカリブ(3代目)
AE11#G型
前期型 (1995/8-1997/4)
後期型 (1997/4-2002/7)
概要
販売期間 1995年8月 - 2002年8月[3]
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアステーションワゴン
駆動方式 FF/4WD
パワートレイン
エンジン 4A-FE型 1.6L 直4 115ps→110ps
4A-GE型 1.6L 直4 165ps
7A-FE型 1.8L 直4 120ps
変速機 4速AT/5速MT/6速MT
前:ストラット
後:ストラット
前:ストラット
後:ストラット
車両寸法
ホイールベース 2,465mm
全長 4,425mm . 4,320mm(ロッソ)
全幅 1,690mm
全高 1,505mm . 1,490mm(ロッソ)
車両重量 1,405kg
その他
別名 トヨタ・カローラワゴン(欧州)
販売期間中の新車登録台数の累計 12万7416台[3]
系譜
後継 トヨタ・ヴォルツ
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1995年8月 3代目デビュー。このころはRVが圧倒的な支持を得ており、カリブも最初で最後となるFF(2WD)車を追加し、価格帯を下方へ拡げることで拡販に対応したが、初代以来の個性は弱まっていた。グレード体系は完全に一新され、上から「Zツーリング」、「Vツーリング」、「Sツーリング」となり、8代目カローラの欧州向けワゴンタイプと姉妹車になった(この8代目カローラのワゴンタイプは日本未導入で、カローラ店では7代目カローラ派生の3代目カローラワゴンを継続生産した)。ボディカラーは「スーパーホワイトII」、「シルバーメタリック」、「ダークグリーンマイカ」、「アップルグロートーニング」と呼ばれるレッドマイカとシルバーのツートンカラー、「ミッドナイトトーニング」と呼ばれるブラックメタリックとシルバーのツートンカラー、「コズミックブルートーニング」と呼ばれる紺とシルバーのツートンカラー、「オアシスグリーントーニング」と呼ばれるエメラルドグリーンとシルバーのツートンカラーの7色が設定された。

初期のCMは、黒人4人のゴスペルグループボーイズ・II・メンが出演。なお、欧州市場には、WRCで活躍したカローラFXカローラWRC)と同様の丸型2灯のヘッドライトを持つ前面デザインが与えられ、「カローラワゴン」の名で販売されていた。これは後に日本国内でも「カリブロッソ」の名で販売された。なお、このCMでは梅宮アンナが出演していた。

また、モデルライフ中にはクロカンを意識し、大型フロントプロテクションや背面スペアタイヤを装着した特装車「フィールドハンター」の設定もあった。

  • 1996年5月 FF車をラインナップに追加し、ZツーリングとSツーリングに設定。同時に1.6LのFF車に4A-GE型4気筒20バルブスポーツツインカムエンジンを搭載したBZツーリングを設定した。これは、カリーナとともに4A-GEエンジンを最後に搭載した(カリブとしては当世代が唯一)車種となった。さらに全車にABSと助手席エアバッグを標準装備している。
  • 1997年4月 マイナーチェンジ。衝突安全ボディGOA、マルチリフレクターヘッドライトの採用、前後バンパー、リアコンビランプ、インパネ、フロントシートのデザインを変更。また4A-GE搭載車に6MTを採用した。
  • 1998年4月 丸型ヘッドライトやメッシュグリルなどを採用した、他グレードとは異なる外観のロッソを追加。さらに、全車に助手席シートベルト非装着警告灯を装備。
  • 2002年
    • 7月、生産終了。以後、在庫対応分のみの販売となる。
    • 8月、販売終了。スプリンターは34年の歴史に幕を閉じた。

車名の由来

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  • スプリンター - 短距離走者に因む。
  • カリブ - トナカイの北アメリカでの呼び名、カリブー(caribou)をもじったもの。四輪駆動の高い走行性能で雪の中を疾走する様を思い描かれ、つけられた。しばしば勘違いされるが、カリブ海のカリブではない。
  • ロッソ - イタリア語で「」の意味。

脚注

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注釈

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  1. ^ カローラレビンAE85のエンジンと同様
  2. ^ 後年、スバルの軽自動車・ヴィヴィオのCMに起用される。

出典

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  1. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第51号9ページより。
  2. ^ スプリンターカリブ(トヨタ)1988年2月~1995年7月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月12日). 2020年1月12日閲覧。
  3. ^ a b デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第60号13ページより。

関連項目

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外部リンク

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