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トヨタ・イプサム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

イプサムIpsum)は、トヨタ自動車生産・販売していたミニバン乗用車である。

概要

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初代は、当時の初代ホンダ・オデッセイを始めとするミニバンブームの中で目標販売台数を大幅に上回る受注を獲得した。しかし、ブームに乗り遅れないよう、かなり性急に開発されたため、居住性の低さやエクステリア、インテリアの質感の低さなどが徐々に露呈し、結果としてオデッセイに歯が立たず人気は長続きしなかった。

2代目へのフルモデルチェンジで大型化や高級化を図り、約8年という長期にわたって販売されたが、初代の人気を下回った。さらにエコカー減税の対象となる競合車の登場で大幅に販売台数を減らし、2010年1月を以って販売終了。2代・13年7か月の歴史に幕を下ろした。

初代(1996年 - 2001年)

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トヨタ・イプサム(初代)
SXM1#G/CXM1#G型
前期型(1996年5月 - 1998年4月)
後期型(1998年4月 - 2001年5月)
後期型 U.S.カスタム(TECS特装車)
概要
別名 トヨタ・ガイア
トヨタ・ナディア
ヨーロッパ : トヨタ・ピクニック(初代)
デンマーク: トヨタ・スポーツバン(初代)
製造国 日本の旗 日本愛知県豊田市)→(愛知県田原市
販売期間 1996年5月 - 2001年5月
ボディ
乗車定員 7人
ボディタイプ 5ドア ミニバン
駆動方式 FF/4WD(4WDはガソリンのみ)
パワートレイン
エンジン -ガソリンエンジン-
3S-FE直4 1,998cc
-ディーゼルエンジン-
3C-TE直4 2,184cc ターボ
最高出力 3S-FE型:135PS/6,000rpm
3C-TE型:94PS/4,000rpm
最大トルク 3S-FE型:18.5kgm/4,000rpm
3C-TE型:21.0kgm/2,200rpm
変速機 4速コラムAT
前:ストラット
後:トーションビーム
前:ストラット
後:トーションビーム
車両寸法
ホイールベース 2,735mm
全長 4,530mm
全幅 1,695mm
全高 1,620mm(2WD)
1,645mm(4WD)
(ルーフレール装着車は+40mm)
車両重量 1,390 - 1,490kg
その他
最小回転半径 5.5m
最低地上高 155mm
系譜
後継 トヨタ・イプサム(2代目)
※ビスタ店(現ネッツ店)は販売終了約1年8ヶ月後に発売されるウィッシュを含む。
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CMは家族向けというより、まるで子供向けの玩具のようなコンセプトで製作された。CMキャラクターには西村雅彦ビビアン・スーらを起用していた。 また田村亮子(現・谷亮子)も一時的に登場していた。オリジナルキャラクターの「イプー」は、初代型のCMやカタログ、更にディーラーオプションのステッカーにも登場した程、当車との関係が深い。

年表

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  • 1995年 - 第31回東京モーターショーに参考出品。
  • 1996年
    • 5月 - 登場。コロナプレミオ車台をベースとした排気量2.0Lガソリンエンジン3S-FE型)および2.2Lディーゼルターボエンジン(3C-TE)を搭載。5ナンバーサイズのため車体が小さかった。乗車人数は7人乗りのみ。基本的にはツートンカラーで、原色を避けた明るい色が多かった(パープリッシュブルーマイカメタリック等)。
    • 12月 - 特別仕様車「ホワイトパールイプサム」、「ホワイトパールイプサム L-セレクション」を発売。イプサムグレード、イプサムL-セレクショングレードの2.0L FF車と4WD車をベースに、ボディカラーはホワイトパールマイカを採用。内装は専用シート表皮、ラジオレス4スピーカーなどを特別装備している。
  • 1997年8月 - 2WDのディーゼル車が追加され、さらにエアロツーリングが追加された。
  • 1998年
    • 2月 - 長野オリンピックの公式カーとして、スノーレッツデザインのホワイト・イプサムが登場。後に特別仕様車として「ホワイト・イプサム」が発売。1998年2月の取り扱いはトヨペット店ビスタ店(大阪では前期型に限り大阪トヨタでも取扱っていた)。
    • 4月 - マイナーチェンジ。マルチリフレクターヘッドランプの採用およびバンパー部等のカラー変更、原色系への移行、落ち着いた色合いへの変更があった。ミラーやフロントグリル、テールランプ、インパネ周り、シートアレンジも変更。さらに、トヨタで初のアクティブトルクコントロール4WDを採用。
    • 12月 - 特別仕様車「イプサム スペシャルバージョン」を追加。イプサムグレードの2.0L FF車と4WD車をベースに、ボディカラーにダークターコイズマイカに加えホワイトパールマイカ、内装色にアイボリーを採用。内装はプライバシーガラス、木目調のパネル&スイッチベース、4スピーカーなどを特別装備している。
  • 1999年10月 - 特別仕様車「メモリアルエディション」を発売。イプサムグレードの2.0L FF車と4WD車をベースに、ボディカラーは特別色ホワイトパールマイカを採用。そのほか、プライバシーガラス、フォグランプ、GPSボイスナビゲーション付きオーディオなどを特別装備している。
  • 2000年
    • 4月 - モノトーン仕様を追加設定。
    • 10月 - 特別仕様車「エクセレントバージョンII ナビスペシャル」を発売。ボイスナビゲーション&6スピーカー、バックモニターと専用シート&ドアトリム表皮を採用したほか、外板色にシャンパンメタリック、ホワイトパールマイカ(オプション)を設定する。
  • 2001年
    • 4月[1] - 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
    • 5月 - 2代目とバトンタッチして販売終了。販売終了前月までの新車登録台数の累計は33万5435台[2]

2代目(2001年 - 2010年)

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トヨタ・イプサム(2代目)
ACM2#W型
後期型(2003年10月 - 2010年1月)
概要
別名 ヨーロッパ・オーストラリア : トヨタ・アベンシスヴァーソ
香港・シンガポール : トヨタ・ピクニック(2代目)
デンマーク: トヨタ・スポーツバン(2代目)
製造国 日本の旗 日本愛知県刈谷市愛知県田原市
販売期間 2001年5月2010年1月
ボディ
乗車定員 6-7人
ボディタイプ 5ドア ミニバン
駆動方式 FF/4WD
プラットフォーム トヨタ・MCプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 2AZ-FE型 直4 2.362L
最高出力 118kW(160PS)/5,700rpm
最大トルク 221Nm(22.5kgm)/4,000rpm
変速機 4速コラムAT (Super ECT)
前:ストラット
後:トーションビーム
前:ストラット
後:トーションビーム
車両寸法
ホイールベース 2,825mm
全長 4,690mm(前期型:4,650mm)
全幅 1,760mm
全高 1,645mm(240S/FF)
1,660mm(240U,240I/FF)
1,665mm(240S/4WD)
1,680mm(240U,240I/4WD)
車両重量 1,480 - 1,570kg
その他
製造工場 トヨタ自動車田原工場
トヨタ車体
本体価格 225.7 - 302.4万円
系譜
後継 トヨタ・プリウスα(実質的)[独自研究?]
テンプレートを表示
  • 2001年
    • 5月 - 登場。キャッチコピーは「ミニバン・トゥモロー」。CMも「イプー」を起用した先代のコミカルな路線から一転、ゆとりを強調したものとされる。
      • 2代目は排気量を2.4L(2AZ-FE型)に引き上げ、車体を少し大きくして3ナンバー化され、車格ホンダ・オデッセイ三菱・グランディスと並んだ。なお、当初は「240シリーズ」としていたが、V6エンジンなどは追加されることはなかった。また先代にはあったディーゼルターボも時期の悪さや規制もあり設定されなかった。
      • リヤ床下に大きい収納スペースを搭載したため、スペアタイヤは車体中央の床下に搭載されている。それゆえ、イプサム専用のプラットフォームを開発している。これに伴い大幅にデザインとロゴマークを変更(英字筆記体の「Ipsum」から英字活字体の「IPSUM」)。過去には6人乗りの上級グレードが追加されていたが、7人乗りの販売台数が圧倒的に多いという背景があり廃止された。
    • 10月 - DVDボイスナビゲーションとブラインドコーナーモニターがセットでメーカーオプション化され、スーパーホワイトII(040)の設定が拡大された。
  • 2002年6月 - ヒーターミラーが寒冷地仕様全車にメーカーオプションとして追加設定された。
  • 2003年
    • 4月 - 特別仕様車「タイプG」「タイプG ナビスペシャル」を発売。
      • 「タイプG」は、外観にエアロパーツ(フロント・リヤ大型バンパー/サイドマッドガード)、16インチアルミホイール、フロントフォグランプなどを特別装備し、外板色には特別設定のスーパーレッドマイカ(オプション)とブラックを含む全4色を設定。内装は、上級グレードのシート&ドアトリム表皮(アイボリー)、本革巻き4本スポークステアリング、オプティトロンメーターを採用し、質感を向上している。「タイプG ナビスペシャル」は、加えて、専用DVDボイスナビゲーション付ワイドマルチAVステーション、ブラインドコーナーモニター、音声ガイダンス機能付バックガイドモニター(カラータイプ)を特別装備する。
    • 10月 - マイナーチェンジ。内外装デザインの変更、240eの廃止など、多岐にわたる変更が行われた。その後はエンジンの環境・燃費対策、ボディカラー変更、特別仕様車の追加など極細かい変更のみ受けながら、2009年末の生産終了まで6年以上このデザインのまま生産された。
  • 2004年
    • 1月 - 特別仕様車「ALCANTARA version(アルカンターラバージョン)」を発売。240iをベースに、シート表皮に「アルカンターラ」を採用し、質感を高めるとともに、同仕様の専用車検証入れを特別装備している。さらに、オプティトロンメーター、プッシュ式ヒーターコントロールパネル(LED照明・外気温度表示機能付)、16インチアルミホイールなどを特別に装備している。さらに、特別仕様車240i 「ALCANTARA version・NAVI Special(アルカンターラバージョン・ナビスペシャル)」には、加えて、G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付ワイドマルチAVステーションと音声案内クリアランスソナー、ガラスプリントアンテナを特別に装備する。
    • 2月 - 平成17年基準排出ガス50%低減 『新☆☆☆』を全車で達成(U-LEV)。
    • 4月 - 一部改良。
    • 12月 - 特別仕様車240i「Premium ALCANTARA version(プレミアムアルカンターラバージョン)」を発売。240iをベースに、シート表皮に「アルカンターラ」を採用し、質感を高めるとともに、4本スポークステアリングホイール(本革巻き+木目調)、専用シフトレバーノブ(本革巻き+木目調)、コンライト、クルーズコントロールなどを、また、外装にはエアロパーツを装備した。さらに、240i「Premium ALCANTARA version・NAVI Special(ナビスペシャル)」には、G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付ワイドマルチAVステーションにブラインドコーナーモニター(フロント直下モニター付)&レーンモニタリングシステム&音声ガイダンス機能付カラーバックガイドモニター(暗視機能付)をセットで特別装備した。
  • 2005年8月 - 平成17年基準排出ガス75%低減 『新☆☆☆☆』を全車で達成(SU-LEV)。全車のヘッドランプにオートレベリング機能が標準装備された。
  • 2007年6月 - 特別仕様車「タイプS-II」を発売。「240i」をベースに、特別外板色ブロンズマイカメタリックを含む全4色を設定するとともに、エアロパーツ(フロントグリル、フロント・リヤバンパー、サイドマッドガード)、16インチアルミホイール、エクステンションにスモーク加工を施したディスチャージヘッドランプ・リヤコンビネーションランプなどを特別装備、さらに、本革巻きの4本スポークステアリングホイール、オプティトロンメーター、ステアリングスイッチ(オーディオ)、コンライト(ライト自動点灯・消灯システム)、クルーズコントロールなどを採用し、利便性を向上させている。また、今回イプサム全車にシートベルトウォーニングブザー設定などの改良を行うとともに、ウェルキャブ(メーカー完成特装車)についても、ベース車と同様の改良を施している。
  • 2009年12月25日 - 生産終了。
  • 2010年1月29日 - 販売終了。2003年より販売台数が下降したが、2007年に同じトヨペット店マークXジオが登場した後も販売が続行され、8年を超える長寿モデルとなった。販売期間中の新車登録台数の累計は18万9241台[3]

販売

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ヨーロッパでは初代が「ピクニック」で輸出され、2代目が「アベンシスヴァーソ」の名前で発売された。

香港、シンガポールでは2代目も「ピクニック」名で販売。豪州では「アベンシス」(欧州製のセダン、ハッチバック、ワゴンはなし)として販売されているが、リアハッチ右下のバッジやオーナーズマニュアルは、欧州仕様同様に「AVENSIS VERSO」となっている。

取り扱いはトヨペット店(大阪府は2006年8月7日までトヨタ店。ただしガイアが登場するまでは大阪トヨペット(現・大阪トヨタ)でも取り扱っていた)、ネッツ店(2004年4月まではトヨタビスタ店)。

車名の由来

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ラテン語で「本来の」「自分自身の」の意味。

その名の通り、豪華な装備や付加機能などよりも、広さや車としての使いやすさなど、本来性が重視されている車である。

脚注

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  1. ^ イプサム(トヨタ)1996年5月~2001年4月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月11日). 2020年1月11日閲覧。
  2. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第31号15ページより。
  3. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第53号13ページより。

関連項目

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外部リンク

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