トヨタ・ウィッシュ
ウィッシュ(WISH)は、トヨタ自動車が2003年から2017年まで生産・販売していたミニバン型の乗用車である。ミニバンとしては全高が低く抑えられたデザインとなっている。
トヨタ・ウィッシュ | |
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2代目 2009年モデル 2.0Z | |
概要 | |
製造国 |
日本[注 1][注 2] 台湾[注 3] タイ[注 4] |
販売期間 | 2003年1月 - 2017年10月 |
ボディ | |
ボディタイプ | 5ドア ミニバン |
駆動方式 |
前輪駆動 四輪駆動(パートタイム式) |
系譜 | |
先代 | トヨタ・イプサム(初代モデル) |
後継 |
トヨタ・プリウスα トヨタ・シエンタ |
概要
[編集]1994年のホンダ・オデッセイの登場以降、日本のミニバンはバリエーションを広げ、日産・セレナを始めとするセミキャブオーバー型、マツダ・MPVを始めとする2BOX型といった様々なタイプが誕生していた。2000年、本田技研工業はミニバンのユーティリティ性と走行性能の両立を図ったストリームを発売した。これは低重心でセダンに匹敵する走行性能を備えた画期的な車種であった。
ウィッシュは、セダンに匹敵する走行性能を実現するため、トヨタ自動車の5ナンバーセダンであるプレミオやアリオンのMCプラットフォームのホイールベースを延長したものをベースに開発された。そのため、着座位置はプレミオ、アリオンとほぼ同等の高さに抑えられ、1590mm[注 5]という低い全高を実現している。コンパクトな5ナンバーサイズで低全高、スポーティを意識したパッケージングはホンダ・ストリームと類似している。
販売面においては、イプサムが2代目へのフルモデルチェンジで大型化したことによりその後継を担う目的も与えられているが、初代イプサムとはエンジンの排気量が異なるほか、初代イプサムが「ファミリー」重視とした反面、ウィッシュは「スポーティ」を多く取り入れた内外装やグレード構成にするなど、両車種の違いは少なくない。そのため、トヨタではイプサムの後継車種ではないと説明している[注 6]。
2010年代以降、全高が1700mmを超え、スライドドアを備えたセミキャブオーバー型のミニバンの走行性能の向上や人気の集中、SUVの台頭によるミニバン人気の低下などにより、販売台数が低下していった。そのため、2017年10月をもって生産・販売を終了した。なお、ライバルであるホンダ・ストリームも2014年5月に生産を終了している。
生産は初代が堤工場(第2ライン)で、2代目が田原工場(第2ライン)。当初は日本専用車であったが、のちにタイ王国、台湾でも現地生産されるようになった[注 7]。台湾市場においてはタクシーとしての需要が大きく、初代・2代目とも頻繁に見かける。また、日本とは異なり、7人乗りでもタクシー登録をすることができる(タクシー専用グレードは5人乗りのみ)。
2代目は自衛隊で業務車1号として導入された。これはステーションワゴンの車種が減少し、使用できる車種が少なくなったためである。また、2003年末ごろより日本仕様車を中心に、香港・シンガポール・マレーシアといった国々へも自動車輸出業者により輸出されている。
初代 ZNE1#G/ANE10G/ANE11W型(2003年 - 2009年)
[編集]トヨタ・ウィッシュ(初代) ZNE1#G/ANE10G/ANE11W型 | |
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2003年1月販売型 X"S パッケージ"(フロント) | |
2003年1月販売型 X"S パッケージ"(リヤ) | |
2003年1月販売型 X"S パッケージ"(インテリア) | |
概要 | |
製造国 |
日本(愛知県豊田市) 台湾 タイ |
販売期間 | 2003年1月 - 2009年4月 |
設計統括 | 吉田健 |
デザイン |
トヨタ第2デザイン部 東京デザイン研究所 トヨタ車体デザイン部 |
ボディ | |
乗車定員 | 6•7名 |
ボディタイプ | 5ドア ミニバン |
駆動方式 |
前輪駆動(FF) 四輪駆動 (4WD)[注 8] |
プラットフォーム | トヨタ・MCプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン |
1ZZ-FE型 1,794 cc 直列4気筒DOHC 1AZ-FSE型 (D-4) 1,998 cc 直列4気筒DOHC |
最高出力 |
1ZZ-FE型(1.8 L) 97 kW (132 PS)/6,000 rpm 92 kW (125 PS) /6,000 rpm (4WD車) 1AZ-FSE型 (2.0 L) 114 kW (155 PS)/6,000 rpm |
最大トルク |
1ZZ-FE型 (1.8 L) 170 N・m (17.2 kgf・m)/4,200 rpm 161 N・m (16.4 kgf・m)/4,200rpm (4WD車) 1AZ-FSE型 (2.0 L) 192 N・m (19.6 kgf・m)/4,200 rpm |
変速機 |
U341 E/F型 4速AT (1.8 L車) K110型 CVT (2.0 L車) |
サスペンション | |
前 | ストラット式 |
後 |
トーションビーム式(2WD車) ダブルウィッシュボーン式 (Zおよび4WD車) |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,750 mm |
全長 |
4,550 mm(2003年 - 2005年) 4,560 mm(2005年 - 2009年) |
全幅 |
1,695 mm 1,745 mm(Z) |
全高 |
1,590 mm 1,600 mm(Zと4WD車) |
車両重量 |
1,300 kg 1,360 kg(G) 1,400 kg(Zと4WD車) |
その他 | |
燃料消費率 (10・15モード走行時) |
14.4 km/L 13.2 km/L(Z) 12.8 km/L(4WD車)[6] |
燃料タンク容量 | 60 L |
系譜 | |
先代 | 初代イプサム(ビスタ店→ネッツ店) |
開発主査およびチーフエンジニアは、カローラシリーズ(5代目、9代目セダン、初代フィールダー、ランクス、スパシオ)も手掛けた吉田健。プラットフォームはプレミオ・アリオンのものをベースに、ホイールベースを延長するなどの改良がなされた。スタイリングを重視した結果、スライドレールによりデザインに制限が出るスライドドアを採用せず、後席ドアも前席ドアと同じ前ヒンジドアである。
グレード構成はベーシックな「X」、上級の「G」を基本に、トップモデルとして、2.0Lモデルにオーバーフェンダーと17インチタイヤ、シーケンシャルCVTを与えたスポーティな「Z」を据える。「Z」はオーバーフェンダーにより幅が1,700mmを超えるため、3ナンバー車である(その他のグレードは5ナンバー)。また1.8Lモデルには、スポーティグレードの「Sパッケージ」(2005年9月のマイナーチェンジで「Aero sportsパッケージ」に名称変更)、社用車向け廉価グレードの「Eパッケージ」が設定された。「Z」では2列目シートにキャプテンシートを採用したため6人乗りであるが、他のグレードでは2列目シートがベンチシートの7人乗りである。
メカニズム
[編集]1.8Lと2.0Lの2機種。1.8Lにのみ4WDが設定されている。基本的にプレミオ・アリオンに採用されたものと同一仕様であり、2機種ともアイシン精機(現・アイシン)が開発したベーン式VVT-i搭載エンジンの総称であるBEAMS[注 9]という名が与えられている。
- 1.8L 1ZZ-FE型
2003年1月の発売時に投入されたもの。前方吸気・後方排気の横置き配置で搭載されている。吸気側に VVT-i[注 10] を搭載しており、 ECUを16ビットから32ビットに高度化することでノッキング対策や緻密な燃料カットを行う他、排気再循環も活用する。吸排気バルブ挟み角は33.1°で、コンパクトな燃焼室を形成している。燃焼室は斜めスキッシュを設けて、高圧縮比(10.0)とすることで高効率燃焼と摩擦損失低減を実現している。燃料インジェクターはシリンダーヘッドに直付してポートへの燃料付着を避けるとともに、レーザー加工を用いた12噴射孔ノズルを備え、燃料微粒化を促進する。シリンダーブロックはアルミニウム合金製であり、オイルポンプも小型化することで軽量化している。エキゾーストマニホールド後方と床下に2つの触媒を搭載し、2WD車には前者が酸化触媒、後者が三元触媒。4WD車は両方とも三元触媒である[7]。
-
トヨタ・オーパに搭載されている1ZZ-FE型エンジン
-
平成17年排出ガス基準75%低減認定ステッカー
- 2.0L 1AZ-FSE型
1.8L車の発売から約3か月遅れの2003年4月25日に追加設定された「Z」、「G」に搭載。2002年登場のプレミオ・アリオン搭載時、「平成12年基準排出ガス25%低減レベル」☆(1つ星)の『良-低排出ガス』認定に留まっており、2003年4月以降グリーン化減税の対象外となるため改良を行ったものである。
吸気側にVVT-iを搭載するとともに、ガソリン直噴・D-4[注 11]を搭載している[8]。トヨタ初のストイキ燃焼独立タンブルポートの片側にON-OFF式のスワールコントロールバルブを採用し、吸気管有効径を2段階に切り替える可変吸気システムを搭載する。低回転通常時は「成層燃焼」、低回転高負荷時は「弱成層燃焼」、高回転時は「均質燃焼」の3モードを切り替え、低燃費と高出力を両立する。スリットノズルのインジェクターによる扇型噴霧が燃料微粒化を促進するとともにピストン冠面の吸気側に凹みを設けることでタンブル流を発生させて均質な混合気を作り出す。浅皿燃焼室の採用により10.5という高圧縮比を実現した[9][10]。「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」☆☆☆(3つ星)の『超-低排出ガス』に認定されている。
1ZZ-FE型 | 1AZ-FSE型 | |
---|---|---|
排気量 | 1,794 cc | 1,998 cc |
シリンダー数 | 直列4気筒 | |
配置 | 横置き | |
燃焼室形状 | ベントルーフ型 | |
吸排気方式 | クロスフロー | |
バルブ機構 | DOHC4バルブ・チェーン駆動 | |
圧縮比 | 10.0 | 10.5 |
ボア×ストローク | 79.0 mm×91.5 mm | 86.0 mm×91.5 mm |
燃料供給方式 | EFI | D-4 |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン | |
最高出力 kW (PS)/rpm |
97 (132)/6,000 (2WD) | 114 (155)/6,000 |
92 (125)/6,000 (4WD) | ||
最大トルク N・m (kgf・m)/rpm |
170 (17.2)/4,200 (2WD) | 192 (19.6)/4,200 |
161 (16.4)/4,200 (4WD) |
1.8L車に搭載。2WD車がU341 E型、4WD車がフロントデファレンシャルギヤとトランスファーをユニット化したU341 F型である。登坂時はアクセル操作ごとの不要な変速を抑制し、降坂時はブレーキ操作を行うと自動でシフトダウンを行い、エンジンブレーキを効かせる制御を組み込む。トルクコンバーターにロックアップ制御を備え、ワイドレンジにきめ細かく制御することでシフトダウン時の変速フィーリングの向上を図っている。また、後期型の1.8X"Aero Sports パッケージ"のFF車には4速シーケンシャルシフトマチックを搭載している。
2.0L車に搭載。オーパから搭載されたトヨタ初のCVTである。「Z」にはスポーツシーケンシャルシフトマチック[注 12]を備え、擬似的なマニュアル変速が可能である。
- 燃費性能
1.8LのFF車は10・15モード燃費で14.4km/Lで「平成22年度燃費基準+10%」を達成、「平成17年排出ガス基準75%低減☆☆☆☆(4つ星)」に認定されていた。また、4WD車は12.8km/Lで「平成17年排出ガス基準50%低減☆☆☆(3つ星)」に認定されていた。2.0L車では、Gが14.4km/Lで「平成22年度燃費基準+10%」、Zが13.2km/Lで「平成22年度燃費基準」をそれぞれ達成し、どちらも「平成17年排出ガス基準75%低減☆☆☆☆(4つ星)」に認定されていた[6]。
- 4WDシステム
アクチュエータで電子的にFFと4WDを自動切替できるアクティブトルクコントロール4WDが、前述のとおり1.8L車にのみ設定されていた。リヤデファレンシャルギア直前にビスカスカップリングユニットを搭載したシンプルな構造ながら、舵角、横G、前後G、車輪速度の各種センサーの情報を基にFF状態から前後ロック状態まで前後輪のトルク配分を最適に制御する。また、ABSとの協調制御を行うことで安全性も高めている。さらに軽量化を施すと共に、通常走行時にはFFと同等の駆動力配分とすることで燃費を向上している。
フロントにはジオメトリーの最適化を図ったLアームマクファーソンストラット式、リヤにはトーコレクト機能付トーションビーム式(「Z」を除くFF車)またはダブルウィッシュボーン式(4WD車及び「Z」)を搭載。また、全車にスタビライザーを標準装備している。
フロントがベンチレーテッド式ディスクブレーキ、リヤがリーディングトレーリング式ドラムブレーキまたはディスクブレーキ(「Z」及び「G」)が装備されている。全車にEBD付ABSを搭載し、急ブレーキを感知するとブレーキアシストが作動するとともに、走行状態に応じて適切な前後制動力配分を行うことで優れたブレーキ性能を確保している。
ヘッドライトは、前期型の「X "S パッケージ"」、後期型の「X "Aero Sports パッケージ"」、前後期の「Z」にオートレベリング機能付きディスチャージヘッドランプ、その他グレードにはマニュアルレベリング機能付きハロゲンランプのロービームを採用している。また、発売時はリフレクター式であったが、マイナーチェンジでプロジェクター式に変更されている。ハイビームは全車リフレクター式ハロゲンランプとなっている。リヤコンビネーションランプ及びハイマウントストップランプには新構造LEDランプを採用。視認性の向上と省電力化を実現すると共に、マルチリフレクタータイプ化によりキラキラと反射させ、高級感を演出している。前期型ではリヤコンビネーションランプ下部にリフレクターを配置していたが、後期型ではバンパー下部に移設されたため、リヤコンビネーションランプ内のLED個数が9個×2(左右)の計21個から19個×2(左右)の計38個に変更されている。ヘッドランプは前期型がスタンレー電気製、後期型が市光工業製。テールランプは前期型、後期型ともに市光工業製である。台湾仕様車はマイナーチェンジ後もロービームにリフレクター式を採用するなど、ヘッドランプ、リヤコンビネーションランプ共に独自のデザインとなっている[11]。
年表
[編集]- 2005年
-
- 9月5日 - マイナーチェンジ。キャッチフレーズは「願いの先へ走って行こう」で、CMキャラクターに中田英寿、CMソングにCrystal KayとCHEMISTRYの「Two As One」を起用した。
- ヘッドランプのプロジェクター化、リアコンビネーションランプのウィンカー、バックランブが下部に、リフレクターがバンパーに移動し、テールランプがLED4灯×4列式に変更。フロントのエンブレムをネッツ店専売車種向けの「N」をかたどったものに変更するなど内外装のリフレッシュ、メカニズム関連の見直しと共に、カーナビをG-BOOKALPHAやBluetoothハンズフリー機能、ヘルプネットなどに対応したHDDタイプに変更するなどの改良を行った。また、1800ccのFFモデルにはシーケンシャルシフトを装備。「Z」のシーケンシャルモードが6速から7速になった[16]。
ギャラリー
[編集]-
2003年1月販売型 1.8X "S パッケージ"(サイド)
-
2005年9月改良型 G(フロント)
-
2005年9月改良型 G(リヤ)
-
2003年1月販売型 Z(リヤ)
-
台湾仕様 2007年モデル 2.0Zエアロツアラー(リヤ)
-
台湾仕様 エンブレム
-
2008年モデル シンガポールのイエロートップタクシー仕様
-
2008年モデル シンガポールのトランスキャブ仕様
2代目 ZGE2#G/ZGE2#W型(2009年 - 2017年)
[編集]トヨタ・ウィッシュ(2代目) ZGE2#G/ZGE2#W型 | |
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2009年4月販売型 1.8X(フロント) (2009年4月 - 2012年4月) | |
2009年4月販売型 1.8X(リヤ) (2009年4月 - 2012年4月) | |
2009年4月販売型 1.8X (インテリア) (2009年4月 - 2012年4月) | |
概要 | |
製造国 |
日本(愛知県田原市) 台湾 |
販売期間 | 2009年4月 - 2017年10月 |
設計統括 |
大井敏裕 (多田哲哉) |
ボディ | |
乗車定員 | 6・7人 |
ボディタイプ | 5ドア ミニバン |
駆動方式 | FF / 4WD |
プラットフォーム | トヨタ・MCプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン |
2ZR-FAE型 1,797 cc 直列4気筒 DOHC VALVE MATIC(日本・香港・マカオ仕様) 3ZR-FAE型 1,986 cc 直列4気筒 DOHC VALVE MATIC(日本・香港・マカオ仕様) 3ZR-FE型 1,986 cc 直列4気筒 DOHC(台湾仕様) |
変速機 |
Super CVT-i 4AT(台湾仕様 前期のみ) |
サスペンション | |
前 | ストラット式 |
後 |
トーションビーム式(2WD車〈除く2.0Z〉) ダブルウィッシュボーン式(4WD車、2.0Z) |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,750 mm |
全長 |
2009年4月販売型:4,590 mm 2012年4月改良型: (台湾仕様:4,635 mm) |
全幅 | 1,695 - 1,745 mm |
全高 | 1,590 - 1,600 mm |
車両重量 | 1,340 - 1,440 kg |
その他 | |
燃料 | 無鉛レギュラーガソリン |
燃料タンク容量 | 60L |
系譜 | |
後継 |
トヨタ・シエンタ(台湾・日本仕様5ナンバー) トヨタ・プリウスα(日本仕様3ナンバー) |
2009年4月2日に2代目へフルモデルチェンジ。月間販売目標は6000台。開発主査は大井敏裕と2012年4月に登場した86の開発主査も手掛けた多田哲哉である。
今回は「Smart Multi Player WISH(スマート マルチ プレイヤー ウィッシュ)」をテーマに、スポーティ感と快適性をより一層向上させた。
優れた環境性能と高い動力性能を両立する動弁機構「バルブマチック」を搭載したエンジンを全車に搭載。Super CVT-i(SとZは7速パドルシフト付)と組み合わせることで、初代モデルと比較して燃費が最大約15%向上した。
フロントマスクはフロントバンパーに厚みを持たせ、シャープなヘッドランプと相まって精悍さを高めた他、ルーミーさとスポーティーさを兼ね備えたスタイリッシュなエクステリアとした。インパネを飛行機の翼をイメージした水平方向に広がるデザインにし、内装色には新たにグレージュを設定した。
この代では、トヨタ紡織製のアクティブヘッドレスト構造に対応した新世代シート骨格「TB-NF110」を初採用している[21]。
また、10スピーカーを配置した「WISH・パノラミックライブサウンドシステム」(サイドミラーカメラの同時取り付け不可)を設定したほか、抗ダニアレルゲン加工シート、プラズマクラスター搭載の花粉除去モード付オートエアコン、S-VSC、SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ(サンルーフオプション設定あり)、アクティブヘッドレスト(運転席・助手席)、自動エンジンブレーキ、全席オートパワーウィンドウを全車に標準装備し、安全性と快適性も向上。
この世代から、香港とマカオでも正規販売がされている。
グレード構成
[編集]- 2.0Z
最上級グレード。後期型ではこのグレードのみ2.0Lエンジンを搭載している。オーバーフェンダーをはじめ、リアダブルウィッシュボーン式サスペンションやダイナミックスポーツモードなどを装備し、スポーティを体現したグレード。2列目シートがキャプテンシートになっており、6人乗り。 - 2.0G(2012年4月改良型:1.8G)
ノーマルのバンパーを装備して全幅を5ナンバーに抑え、快適装備を持った上級グレード。後期型ではエンジンが2.0Lから1.8Lにダウンサイジングされた。 - 1.8S
初代の「X・Aero Sports パッケージ」から独立したスポーツグレード。3ナンバーサイズとなるエアロバンパーを装備。 - 1.8A(2012年4月改良型のみ)
1.8Xをベースに、3ナンバーとなるエアロバンパーを装備したグレード。 - 1.8X
ベーシックグレード。
2.0L車を除く全グレードに4WDの設定があるが、4WDであることを示すエンブレムが付いていないため、1.8Sのメーカー工場出荷時状態以外の車両は識別しにくい。その他のグレードは、メーカー工場出荷時の状態であればホイールやフォグランプの有無等により、ある程度は識別可能である。
年表
[編集]- 2009年
- 2010年4月19日 - 一部改良および特別仕様車「1.8X HIDセレクション」を発売。
- 「1.8S」の2WD車において、バッテリーやオルタネーターの制御等の改良を行い、燃費を向上。これにより、「平成22年度燃費基準+25%」を達成した。
- 特別仕様車「1.8X HIDセレクション」は「1.8X」をベースに、ディスチャージヘッドランプ(プロジェクター式ロービーム・オートレベリング機構付)、コンライト(ライト自動点灯・消灯システム)、助手席アームレスト(運転席アームレストはベース車に標準装備)、本革巻き(シルバーステッチ)のステアリングホイール、シフトノブを装備した[24]。
- 2011年9月28日 - 特別仕様車「1.8S MONOTONE」を発表(10月3日販売開始)。
- 「1.8S」をベースに、ブラックメタリック塗装のディスチャージヘッドランプ(プロジェクター式ロービーム・オートレベリング機能付)、ダークメタリック塗装のアルミホイール、スモークメッキのフロントグリル&バックドアガーニッシュ、クロムメッキを組み合わせたカラードアウトサイドドアハンドルを特別装備するとともに、専用ファブリックと合成皮革をブラックとオフホワイトで組み合わせた専用シート表皮、ブラックの専用ファブリックを施したドアトリム、ボディカラーに合わせたセンタークラスターやパワーウィンドゥスイッチベースを採用するなどモノトーンで構成されたインテリアを採用した。ボディカラーはブラックとオプションカラーのホワイトパールクリスタルシャインの2色のみ[25]。
- 2012年
- 4月9日 - 日本仕様をマイナーチェンジ(香港・マカオ仕様は5月18日より)。
- フロントグリルには、新たにメッキバーが付けられた。バックドアガーニッシュはリアコンビネーションランプ内まで連続しているようなデザインに変更されるとともに、リアコンビネーションランプのブレーキ部分をLED化し、上下を入れ替えたことで台湾仕様(前期)に似た配列になった。ドアミラーも台湾仕様同様にサイドターンランプを内蔵し、スポーティ系グレードには新デザインのエアロバンパーも採用。ボディカラーについては全グレードにおいてiQやオーリスと同様の「オレンジメタリック」を選択できた。内装はシート表皮とメーター色をグレード毎に個別設定するなど個性を際立たせた。
- 2Lグレードは「2.0Z」のみになり、従来の「2.0G」は「1.8G」へと変更。「1.8S」の廉価版として「1.8A」を追加した(なお、「1.8A」は「1.8S」同様3ナンバー登録であった)。また、「1.8S」と「2.0Z」には車両のGセンサーから減速度や旋回力を判断し、コーナリング中の不要なシフトアップを抑制するG AI-SHIFT制御付CVTスポーツモードを採用。さらに、エンジンなどの改良を行ったことで燃費を向上し、全車で「平成27年度燃費基準」を達成した[26]。
- なお、法改正に伴う義務化の絡みで7人乗りの2列目中央シートベルトが2点式から3点式に変更された。
- 12月 - 台湾仕様をマイナーチェンジ。
- 全グレードとも日本仕様の「1.8S」や「1.8A」とほぼ同等のエクステリアであった。ただし、前期型同様にリヤバンパーは日本仕様のリフレクターの位置に大型のリヤフォグランプが内蔵されたため、若干形状が異なる。3ZR-FEエンジンに変更はないが、トランスミッションが4ATから7速シーケンシャルモード付「SUPER CVT-i」に変更され、燃費が向上した。
- 4月9日 - 日本仕様をマイナーチェンジ(香港・マカオ仕様は5月18日より)。
- 2013年
- 8月27日 - 生産を田原工場第2ラインから高岡工場第2ラインに移管。高岡工場第2ラインではヴィッツ(現・ヤリス)やラクティスなどの小型車を生産していたが、2010年から休止して需要変動に対応してさまざまな車種を混流生産できるよう刷新を行っていた[27][28]。
- 9月19日 - 2011年10月に発売した特別仕様車「1.8S MONOTONE」を再発売。
- 今回は内装のヘッドレストに合成皮革を採用したほか、フロント周りはスモークメッキバー付のフロントグリルに加え、フロントエアロバンパーのセンターカラーをブラックに変更し、フロントフォグランプにスモークメッキガーニッシュを施した。さらに、スマートエントリー(運転席・助手席・バックドア/アンサーバック機能付・スマートキー2本)&スタートシステム、盗難防止システム(エンジンイモビライザーシステム)なども装備した[29]。
- 2014年 - 同年末までの新車登録台数の累計が23万656台に達する[30]。
- 2015年5月7日 - 一部改良
- CVTの改良により、1.8L・2WD車で燃費が16.0km/L(JC08モード)に向上した。また、フロントドアガラスには新たにスーパーUVカットガラスを採用し、「1.8G」と「2.0Z」に標準装備、特別仕様車の「1.8S MONOTONE」に特別装備した[31]。
- 2016年11月 - 台湾市場において、シエンタと入れ替わるかたちで生産・販売を終了。
- 2017年10月13日 - 販売終了に伴い、ホームページの掲載を終了。日本市場においてはプリウスα(7人乗り仕様)に統合した[注 14]。
- 2019年6月3日 - 後付けの踏み間違い加速抑制システムの取付可能対象車種が拡大され、2代目ウィッシュでも取り付けが可能となる。車両前後に4つの超音波センサーを取り付け、前方または後方3m以内に障害物を検知するとブザー音で注意喚起を行い、さらにアクセルを踏み込んだ場合、加速を抑制する。また、後退時に5km/hを超えてアクセルを踏み込んだ場合、加速を抑制する[32]。
ギャラリー
[編集]-
2009年4月販売型 2.0Z(フロント)
(2009年4月 - 2012年4月) -
2009年4月販売型 2.0Z(リヤ)
(2009年4月 - 2012年4月) -
2009年4月販売型 2.0G(フロント)
-
2009年4月販売型 2.0G(リヤ)
-
2012年4月改良型 2.0Z(フロント)
(2012年4月 - 2017年11月) -
2012年4月改良型 2.0Z(リヤ)
(2012年4月 - 2017年11月) -
香港仕様
-
台湾仕様2009年型 フロント
-
台湾仕様2009年型 リヤ
-
台湾仕様2009年型 コクピット
-
台湾仕様2012年型 フロント(タクシー)
-
台湾仕様2012年型 リヤ(タクシー)
日本国内での販売台数
[編集]西暦 | 年間販売台数 | 出来事 |
---|---|---|
2003年 | 158,658台 | 発売 |
2004年 | 126,531台 | |
2005年 | 92,006台 | |
2006年 | 78,142台 | マイナーチェンジ |
2007年 | 56,787台 | |
2008年 | 39,292台 | |
2009年 | 60,357台 | モデルチェンジ |
2010年 | 59,447台 | |
2011年 | 36,766台 | |
2012年 | 36,513台 | マイナーチェンジ |
2013年 | 26,021台 | |
2014年 | 18,587台 | |
2015年 | 13,204台 | |
2016年 | 10,752台 | |
2017年 | 6,987台 | 生産終了 |
車名の由来
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^
- ^ ; 2代目
- 2009年4月 - 2013年8月 田原工場第2ライン
- 2013年8月 - 2017年11月 高岡工場第2ライン[3]
- ^ 観音工場[4]
- ^ ゲートウェイ工場[5]
- ^ 4WD車は1600 mm。
- ^ 実際ウィッシュの車両型式は*XE1#・*XE2#となっており、同じ“E”の車両型式を持つカローラの系統であるともいえる。
- ^ ただし、台湾仕様はバンパーが大型化されて車名エンブレムの書体が異なったり(初代)、 パーキングブレーキがサイドレバー式であったり(初代・2代目)、パワーシートが備わる(2代目)など一部に違いある。
- ^ 4WD車は1.8 L車のみ
- ^ Breakthrough Engine with Advanced Mechanism System (先進機構を備えた画期的エンジン)
- ^ 連続可変バルブタイミング機構
- ^ 筒内直接燃料噴射装置
- ^ 2003年モデルは6速であったが、2005年のマイナーチェンジで7速に変更された
- ^ 堤工場での累計生産台数は56万4,558台[1]。
- ^ 5ナンバーを基本とするミニバンとしてはシエンタが後継となる。
出典
[編集]- ^ a b トヨタ自動車 2012年。
- ^ “工場をこの眼でみてみよう!この工場のここが見どころだ! ─ トヨタ自動車・堤工場、日産自動車・追浜工場 ─”. 新技術開発センター. 2020年12月19日閲覧。
- ^ “トヨタ自動車75年史 国内工場概況 国内工場-田原工場”. トヨタ自動車. 2020年5月11日閲覧。
- ^ a b “トヨタ自動車75年史 海外生産事業体概況 アジア 国瑞”. トヨタ自動車. 2020年5月10日閲覧。
- ^ a b c “トヨタ自動車75年史 海外生産事業体概況 アジア TMT”. トヨタ自動車. 2020年5月10日閲覧。
- ^ a b 国土交通省 2009年
- ^ 星島 2003年, 29頁.
- ^ 石田 2003年.
- ^ トヨタ自動車 2012年.
- ^ 星島 2002年, p. 31-32.
- ^ 星島 2003, p. 27,28.
- ^ 『トヨタ、日野、ダイハツ、東京モーターショー(商用車)にハイブリッド車、福祉車両、次世代物流システムなどを出展』(プレスリリース)トヨタ自動車、2002年10月12日 。
- ^ 『トヨタ、新型車 ウィッシュ“WISH”を発売』(プレスリリース)トヨタ自動車、2003年1月20日 。
- ^ 『トヨタ、ウィッシュに2.0リットル車を新設定』(プレスリリース)トヨタ自動車、2003年4月25日 。
- ^ 『トヨタ、アベンシス・ヴィッツ・ウィッシュ・bBおよびラウムに特別仕様車を発売』(プレスリリース)トヨタ自動車、2004年4月26日 。
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュをマイナーチェンジ』(プレスリリース)トヨタ自動車、2005年9月5日 。
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュの特別仕様車を発売』(プレスリリース)トヨタ自動車、2004年4月17日 。
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュの特別仕様車を発売』(プレスリリース)トヨタ自動車、2007年6月18日 。
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュの特別仕様車を発売』(プレスリリース)トヨタ自動車、2008年6月24日 。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第39号11ページより。
- ^ 浜田基彦 (2009年4月7日). “ウィッシュのシート、疲労を防ぎ、座面を長く感じさせる”. 日経BP
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュをフルモデルチェンジ』(プレスリリース)トヨタ自動車、2009年4月2日 。
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュの燃費を向上』(プレスリリース)トヨタ自動車、2009年12月2日 。
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュの燃費を向上』(プレスリリース)トヨタ自動車、2010年4月19日 。
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュの特別仕様車を発売』(プレスリリース)トヨタ自動車、2011年9月28日 。
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュをマイナーチェンジ』(プレスリリース)トヨタ自動車、2012年4月9日 。
- ^ “トヨタ、高岡第2ラインが再稼働−「ウイッシュ」を生産開始”. 日刊工業新聞. (2013年8月28日)
- ^ “トヨタ、愛知・高岡第2ラインを8月再稼働−「ウィッシュ」田原から移管”. 日刊工業新聞. (2013年1月16日)
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュの特別仕様車を発売』(プレスリリース)トヨタ自動車、2013年9月19日 。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第86号5ページより。
- ^ 『TOYOTA、ウィッシュを一部改良』(プレスリリース)トヨタ自動車、2015年5月7日 。
- ^ 『TOYOTA、後付けの踏み間違い加速抑制システム 対象車種拡大』(プレスリリース)トヨタ自動車、2019年5月29日 。
- ^ “トヨタ ウィッシュ 新車販売台数”. 株式会社アイディーインフォメーション. 2020年5月11日閲覧。
- ^ “WISH 1代目 トヨタ自動車75年史 車両系統図 車両詳細情報”. トヨタ自動車. 2020年5月11日閲覧。
参考文献
[編集]雑誌記事
[編集]- 『モーターファン別冊 ニューモデル速報』三栄書房
- 『第295弾 トヨタ プレミオ/アリオンのすべて』2002年3月。ISBN 4-87904-495-4。
- 星島浩『メカニズム詳細解説 上質・高性能セダンに秘められた実力』、26-33頁。
- 『第316弾 トヨタ ウィッシュのすべて』2003年3月。ISBN 4-87904-613-2。
- 河村康彦『ドライビング・インプレッション ミニバン? むしろ「3列シート・セダン」』、4-8頁。
- 青山尚樹『ドライビング・インプレッション 後攻ウィッシュ、一歩リード? のユーティリティ』、9-13頁。
- 編集部『デザイン・インタビュー 時代の変曲点に映えるボディ』、14-21頁。
- 大久保敦彦『開発ストーリー 何にでも楽しく使える、これからのハッチバック』、22-25頁。
- 星島浩『メカニズム詳細解説 「新しい乗用車」への"願い"』、26-31頁。
- 飛鳥学『使い勝手徹底チェック つくり込まれた3列目席、クラストップの心地よさ』、32-37頁。
- 『第295弾 トヨタ プレミオ/アリオンのすべて』2002年3月。ISBN 4-87904-495-4。
ネット記事
[編集]- 石田真一 (2003年1月21日). “【トヨタ『ウィッシュ』発表】2.0リットルエンジン搭載モデルはいつ出てくるの?”. レスポンス(Response.jp). 2021年1月5日閲覧。
ウェブサイト
[編集]- “特許情報プラットフォーム|登録4684704”. 特許庁、工業所有権情報・研修館. 2021年1月5日閲覧。
- “トヨタ企業サイト|トヨタ自動車75年史”. トヨタ自動車 (2012年). 2020年1月12日閲覧。
- “国内工場概況|国内工場-堤工場”. 2020年5月10日閲覧。
- “技術開発|エンジン|ストイキ燃焼直噴システム(1AZ-FSE)”. 2021年1月10日閲覧。
公文書
[編集]- “平成21年3月 普通/小型自動車燃費一覧(10・15モード)”. 2021年2月7日閲覧。
関連項目
[編集]- トヨタ自動車
- ミニバン
- トヨタ・プレミオ - ベース車
- トヨタ・アリオン - ベース車
- トヨタ・イプサム - かつてのトヨタの5ナンバーミニバン
- トヨタ・アイシス - 派生車(姉妹車)
- トヨタ・プリウスα - 後継車(低全高3列シート車として)
- トヨタ・シエンタ - 後継車(主に台湾のタクシー向け)
- 自動車ポータル
外部リンク
[編集]- トヨタ ラインナップ 現在販売していないクルマ WISH
- GAZOO カタログ トヨタ ウィッシュ
- Motor-Fan 自動車カタログ トヨタ ウィッシュ
- WISH 1代目 トヨタ自動車75年史 車両系統図 車両詳細情報
- WISH 2代目 トヨタ自動車75年史 車両系統図 車両詳細情報