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「顔 (松本清張)」の版間の差分

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2022年12月5日 (月) 10:06時点における版

著者 松本清張
発行日 1956年10月
発行元 大日本雄弁会講談社ロマン・ブックス
ジャンル 短編集
推理小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
ページ数 245
ウィキポータル 文学
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』(かお)は、松本清張1956年10月に出版した短編集松本清張による初めての推理小説短編集として、1956年10月、講談社ロマン・ブックスより刊行された。第10回(1957年)日本探偵作家クラブ賞受賞作。

及び当該短編集に収録された表題作の短編小説

収録作品

  • (初出:『小説新潮』1956年8月号)
  • 殺意(初出:『小説新潮』1956年4月号)
  • なぜ「星図」が開いていたか(初出:『週刊新潮』1956年8月)
  • 反射(初出:『小説新潮』1956年10月号)
  • 市長死す(初出:『別冊小説新潮』1956年10月号)
  • 張込み(『小説新潮』1955年12月号)

評価

本短編集により1957年3月、第10回日本探偵作家クラブ賞を受賞した。日本探偵作家クラブ会長・木々高太郎は、清張の作品のいずれを選ぶか種々意見は分かれいろいろ議論された結果、『顔』その他として、圧倒的な支持により全会一致で受賞が決定した旨を述べた、という[1]

書誌情報

小説「顔」

作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
推理小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出小説新潮』 1956年8月号
刊本情報
収録 『顔』
出版元 大日本雄弁会講談社
出版年月日 1956年10月
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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」(かお)は、松本清張の短編小説。『小説新潮』1956年8月号に掲載、1956年10月短編集『顔』に収録された。

またはそれを原作とする映画テレビドラマ

あらすじ

東京の劇団で役者として活動する井野良吉に、映画出演の話が舞い込んだ。しかし良吉には、全国的に顔が売れることを恐れる理由があった。良吉は9年前に、妊娠したからと結婚を迫るガールフレンドのミヤ子を殺していたのだ。


9年前、温泉旅行を口実にミヤ子を連れ出した良吉は、殺害の前に、ミヤ子の知り合いである石岡貞三郎に顔を見られていた。この9年間、良吉は興信所を使って、貞三郎の動向を調べ続けていた。これまでは、島根県に住む貞三郎と顔を合わせる心配はなかったのだ。


良吉は、ミヤ子の親戚を装って、貞三郎を京都に呼び出した。ミヤ子の殺害犯を見つけたので面通しをして欲しいという口実で、貞三郎を殺すことが目的だった。しかし、貞三郎は途中で偶然に出会った良吉の顔に気づかなかった。貞三郎は犯人の顔を覚えていない。安堵した良吉は殺害計画を中止し、映画スターとして脚光を浴び始めた。

その映画を見た貞三郎は、良吉の些細な仕草から、自分が目撃した殺人犯が良吉であることを思い出すのだった。

登場人物

書誌情報(小説「顔」)

映画

監督 大曽根辰夫
脚本 井手雅人
瀬川昌治
製作 岸本吟一
出演者 岡田茉莉子
大木実
音楽 黛敏郎
撮影 石本秀雄
配給 松竹
公開 日本の旗 1957年1月22日
上映時間 104分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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1957年1月22日に松竹系にて公開された。松本清張原作の初映画化作品。現在はDVD化されている。主役は新進のファッションモデル・水原秋子となっている。

ストーリー

東海道線の夜行列車から、男が転落死する事件が起きた。男は、闇で堕胎手術を請け負う飯島という無免許医だった。当初は事故と判断されたが、病院の死体置き場に未知の女性から花束が届けられた。刑事の長谷川は、これは殺人ではとの疑念を深めた。


匿名で花束を送ったのはファッションモデルの水原秋子だった。夜行列車から飯島が転落したのは、秋子との口論が原因だったのだ。秋子は少女の頃から一人ぼっちで苦労し、水商売から人気モデルにまで成り上がった女だった。


そんな秋子の前に、石岡三郎が現れた。石岡は秋子と飯島が夜行列車で言い争う現場を目撃していたのだ。目撃情報を警察に売り、見覚えのある顔だからと、刑事と共にファッションモデルのいる会場を巡る石岡。しかし、秋子を見つけ出しても、石岡は刑事に事実を告げなかった。


警察は抜きで、秋子に接近する石岡。石岡の殺害を決意する秋子。しかし、手を下す前に石岡はトラックに轢かれて死亡した。安堵して恋人の江波の家に戻る秋子。だが、事前に石岡の訪問を受けていた江波は、もはや秋子を信じることが出来なくなっていた。

刑事の長谷川は、堕胎手術の関係者の線から捜査を進め、秋子に辿り着いていた。行き場を失い、モデル会場で立ち尽くす秋子の元へ、刑事たちが到着した。

キャスト

スタッフ

エピソード

  • 『顔』の映画化権は『張込み』と同時に買われている。このうち『張込み』の映画化は大船調を志向する城戸四郎が難色を示したために遅れたが、本映画は、東宝から松竹への移籍を控えた岡田茉莉子を主演とするため、主人公を女性に変更、このため『張込み』より早く城戸のゴーサインが得られ、ひと足早い公開となった[2]
  • 公開前の岡田の誕生日(1月11日)には、大雪の降る中、松本清張が岡田のもとを訪れ、伊万里焼のつぼを贈った。岡田はその後も清張原作の映像作品に出演したが、松本から「何が一番気に入っている?」と聞かれ、「みんな好きだけどやはり最初の作品の『顔』でしょうか」と答えている[3]

テレビドラマ

1958年版

1958年7月29日日本テレビ系列の「山一名作劇場」枠(20:00-20:30)にて放映。

キャスト
スタッフ

1959年版

1959年8月27日フジテレビ系列の「木曜観劇会」枠(20:00-21:45)にて放映。

キャスト
スタッフ

1960年版

1960年11月7日11月14日(20:30-21:00)、KRテレビ(現:TBS)系列の「ナショナル ゴールデン・アワー」枠、「松本清張シリーズ・黒い断層」の一作として2回にわたり放映。

キャスト
スタッフ

1962年版

1962年10月25日10月26日(22:15-22:45)、NHKの「松本清張シリーズ・黒の組曲」の1作として2回にわたり放映。

キャスト
スタッフ

1963年版

1963年9月15日、NET(現・テレビ朝日)系列の「シオノギ日本映画名作ドラマ」枠(22:00-23:00)にて放映。1957年公開映画のテレビ版リメイク。主演は映画同様大木実。

キャスト
スタッフ

1966年版

1966年3月29日関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)の「松本清張シリーズ」枠(21:00-21:30)にて放映。

キャスト
スタッフ

1978年版・1

松本清張おんなシリーズ
心の影
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『顔』
脚本 服部佳
監督 坂崎彰
出演者 大空眞弓
製作
プロデューサー 石井ふく子
制作 TBS
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1978年6月4日
放送時間21:00 - 21:55
放送枠日曜劇場
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松本清張おんなシリーズ・心の影」。1978年6月4日TBS系列の「東芝日曜劇場」枠(21:00-21:55)にて放映。視聴率19.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。新劇の女優・良枝を主人公としている。

キャスト
スタッフ

1978年版・2

松本清張の「顔」
死の断崖
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『顔』
脚本 吉田剛
監督 水川淳三
出演者 倍賞千恵子
製作
制作 テレビ朝日
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1978年11月18日
放送時間21:00 - 22:24
放送枠土曜ワイド劇場
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松本清張の「顔」・死の断崖」。1978年11月18日テレビ朝日系列の「土曜ワイド劇場」枠(21:00-22:24)にて放映。視聴率14.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

キャスト
スタッフ

1982年版

松本清張の「顔」
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『顔』
脚本 安本莞二
監督 合月勇
出演者 烏丸せつこ
製作
制作 TBS
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1982年9月3日 - 9月24日
放送時間21:00 - 21:55
放送枠金曜ミステリー劇場
回数4
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松本清張の「顔」」。1982年9月3日から1982年9月24日まで、TBS系列の「金曜ミステリー劇場」枠(21:00-21:55)にて全4回の連続ドラマとして放映。平均視聴率18.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。ライブハウスの人気歌手・夏川ケイを主人公に設定している。

キャスト
スタッフ

1999年版

松本清張特別企画
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『顔』
脚本 大石静
演出 大岡進
出演者 戸田菜穂
斉藤慶子
製作
プロデューサー 野添和子(大映テレビ)
大西明子(TBS)
松本陽一
制作 TBS
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1999年10月7日
放送時間21:00 - 22:54
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松本清張特別企画・顔」。1999年10月7日21:00-22:54、TBS系列にて放映。視聴率15.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。女優を目指す井野良子を主人公に設定している。

キャスト
スタッフ

2009年版

松本清張ドラマスペシャル
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張
脚本 中園健司
演出 伊勢田雅也
出演者 谷原章介
原田夏希
高橋和也
大地康雄
中本賢
塩野谷正幸
瀬川亮
美保純
音楽 佐橋俊彦
国・地域 日本の旗 日本
言語 日本語
製作
制作統括 加賀田透
製作 NHK
放送
放送チャンネルNHK総合
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2009年12月29日
放送時間火曜 21:00 - 22:13
放送分73分
回数1
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松本清張生誕100年を機に「松本清張ドラマスペシャル」としてテレビドラマ化され、NHK総合にて2009年12月29日の21時から22時13分に放映[4]谷原章介主演[5][6]DVD化されている。

キャスト
スタッフ

2013年版

松本清張スペシャル
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張
『顔』
脚本 根津理香
演出 澤田鎌作
出演者 松雪泰子
田中麗奈
坂口憲二
武田真治
稲森いずみ
製作
プロデューサー 清水一幸
制作 フジテレビ
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2013年10月3日
放送時間21:00 - 23:14
放送分134分
とれたてフジテレビ

特記事項:
フジテレビ開局55周年特別番組
テンプレートを表示

松本清張スペシャル 顔」は2013年10月3日の21:00 - 23:14、フジテレビ開局55周年特別番組として放送。時代設定は昭和22年とその9年後としている。主演は松雪泰子[7]

キャスト
スタッフ

脚注

  1. ^ 山前譲「『点と線』以前の初期単行本」(『松本清張研究 vol.2』(1997年、砂書房)に収録)中に引用された記録「探偵小説界展望」を参照した。なお、クラブ賞選考決定会は、2月24日江戸川乱歩邸で行われた。
  2. ^ 白井佳夫・大木実・西村雄一郎「映画『張込み』(野村芳太郎監督)撮影現場からの証言」(『松本清張研究』第2号(1997年、砂書房)収録)参照。
  3. ^ 『松本清張の世界』(1992年、文藝春秋臨時増刊、2003年、文春文庫)に掲載された岡田のアンケート回答を参照。
  4. ^ 谷原章介さん主演!松本清張ドラマ”. ドラマトピックスブログ. NHKブログ (2009年9月25日). 2014年10月16日閲覧。
  5. ^ “谷原章介が清張作品主演「心の闇を描く」”. 日刊スポーツ. (2009年12月10日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20091210-574512.html 2020年4月24日閲覧。 
  6. ^ ““凶悪犯”谷原章介「人間性の描き方が好き」”. スポニチ Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2009年12月11日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2009/12/11/kiji/K20091211Z00000080.html 2020年4月24日閲覧。 
  7. ^ navicon (2013年10月3日). “3日、フジ開局55周年特別番組で松本清張SP、松雪泰子ら豪華キャストで「顔」放送!予告動画”. 2013年10月4日閲覧。

外部リンク

KRT(現:TBS)系列 ナショナルゴールデンアワー
(松本清張シリーズ・黒い断層)
前番組 番組名 次番組
地方紙を買う女
(1960.10.24 - 31)

(1960.11.7 - 14)
蒼い描点
(1960.11.21 - 12.26)
NET(現・テレビ朝日)系列 日本映画名作ドラマ
前番組 番組名 次番組

(1963.9.8)

(1963年版)
鯉名の銀平
(1963.9.22)
関西テレビ制作・フジテレビ系列 松本清張シリーズ
前番組 番組名 次番組
愛と空白の共謀
(1966.3.22)

(1966.3.29)
通訳
(1966.4.5)
TBS系列 東芝日曜劇場
前番組 番組名 次番組
女の指輪
(1978.5.28)
松本清張おんなシリーズ3
心の影
(1978.6.4)
テレビ朝日系列 土曜ワイド劇場
前番組 番組名 次番組
松本清張の「顔」
死の断崖
(1978.11.18)
TBS系列 金曜ミステリー劇場
前番組 番組名 次番組
過去のない女たち
(原作:高橋玄洋
(1982.7.30 - 8.27)
松本清張の「顔」
(1982.9.3 - 24)
(終了)
TBS系列 金曜21時枠
過去のない女たち
(1982.7.30 - 8.27)
松本清張の「顔」
(1982.9.3 - 24)