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第109師団 (日本軍)

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第109師団
創設 1937年昭和12年)8月24日
廃止 1939年(昭和14年)12月24日
再編成 1944年(昭和19年)5月22日
廃止 1945年(昭和20年)
所属政体 大日本帝国の旗 大日本帝国
所属組織  大日本帝国陸軍
部隊編制単位 師団
所在地 金沢-華北-金沢/小笠原
編成地 金沢/小笠原
通称号/略称 膽(たん)(第二次編成時)
補充担任 第9師管甲府
最終上級単位 第1軍/大本営
最終位置 金沢/小笠原
戦歴 日中-太平洋戦争
硫黄島の戦い
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第109師団(だいひゃくきゅうしだん、第百九師団)は、大日本帝国陸軍師団の一つ。

第一次編成

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1937年(昭和12年)、日中戦争支那事変)が勃発すると、日本本土から次々と師団が中国大陸に派遣され、同時に従来の常設師団から新たに特設師団が編成された。第109師団は、1937年8月24日、石川県金沢留守第9師団の担当で新設された。北支那方面軍隷下となり、同年10月、華北における作戦に動員太原作戦及び臨汾攻略戦に参加。その後、山西省での治安作戦を担当し、1939年(昭和14年)末に日本に復員。同年12月に廃止された。

師団概要

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  • 通称号:なし
  • 軍隊符号:109D
  • 編成時期:1937年(昭和12年)8月24日
  • 廃止:1939年(昭和14年)12月24日
  • 編成地:金沢
  • 補充担任:第9師管(金沢)
  • 最終位置:金沢

歴代師団長

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歴代師団長
氏名 氏名 在職期間 備考
山岡重厚
1937年(昭和12年)8月26日 - 1938年11月9日[1] 予備陸軍中将
阿南惟幾
1938年(昭和13年)11月9日 - 1939年9月12日[2] 陸軍中将
酒井鎬次
1939年(昭和14年)9月12日 - 1939年12月24日[3] 陸軍中将

参謀長

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  • 倉茂周蔵 歩兵大佐:1937年(昭和12年)8月24日[4] - 1938年2月29日
  • 落合甚九郎 歩兵中佐:1938年(昭和13年)2月29日[5] - 1939年(昭和14年)12月15日[6]

最終所属部隊

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第二次編成

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1944年(昭和19年)5月、父島要塞守備隊を基幹に再編成され、大本営直属の小笠原兵団兵団長栗林忠道・第109師団長兼務)の隷下に入った。混成第1旅団を父島に、独立第2旅団を硫黄島に、混成第1連隊を母島に配備しアメリカ軍からの侵攻に備えた。1945年(昭和20年)2月16日からの硫黄島の戦いにおいて、栗林師団長のもと激戦を続けたが、同年3月26日に硫黄島守備隊は全滅(玉砕)した。その後、父島の混成第1旅団をもって第109師団を再編し、アメリカ軍の空襲を受けながら終戦まで守備を行った。

師団概要

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  • 通称号:膽(たん)
  • 軍隊符号:109D
  • 再編成時期:1944年(昭和19年)5月22日
  • 編成地:小笠原
  • 補充担任:甲府連隊区
  • 最終位置:小笠原
  • 最終上級部隊:第1軍

歴代師団長

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参謀長

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  • 堀静一 大佐:1944年(昭和19年)5月27日 - 1944年12月30日[8]
  • 高石正 大佐:1944年(昭和19年)12月30日 - 1945年(昭和20年)3月26日戦死[9]

硫黄島戦前の構成

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師団司令部

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  • 参謀長:堀静一 大佐 ⇒ 高石正 大佐
    • 作戦参謀:中根兼次 中佐
    • 情報参謀:西川猛雄 中佐
    • 築城参謀:吉田紋三 少佐
    • 後方参謀:山内保武 少佐
    • 参謀:堀江芳孝 少佐
  • 高級副官:小元久米治 少佐
  • 経理部員:中尾時春 主計中佐

所属部隊

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  • 混成第1旅団:立花芳夫 少将
    • 独立歩兵第303大隊:安東九州男 少佐
    • 独立歩兵第304大隊:中北実 少佐
    • 独立歩兵第305大隊:工藤文雄 大尉
    • 独立歩兵第306大隊:吉岡直彦 大尉
    • 独立歩兵第307大隊:加藤武宗 大尉
    • 独立歩兵第308大隊:的場末勇 少佐
    • 混成第1旅団砲兵隊
    • 混成第1旅団工兵隊:來代長平 大尉
    • 混成第1旅団通信隊
    • 混成第1旅団野戦病院
  • 混成第2旅団:大須賀応少将 ⇒ 千田貞季少将
    • 独立歩兵第309大隊:粟津勝太郎 大尉
    • 独立歩兵第310大隊:岩谷為三郎 少佐
    • 独立歩兵第311大隊:芦田元一大尉 ⇒ 辰己祭夫 少佐
    • 独立歩兵第312大隊:長田謙次郎 大尉
    • 独立歩兵第313大隊
    • 独立歩兵第314大隊:伯田義信 少佐
    • 混成第2旅団砲兵隊:前田一雄 少佐
    • 混成第2旅団工兵隊:大塚家一郎 中尉
    • 混成第2旅団通信隊:小園二三夫 大尉
    • 混成第2旅団野戦病院:野口巌 軍医大尉
  • 第109師団砲兵隊
  • 第109師団高射砲隊:東庄太郎 少佐
  • 第109師団迫撃砲隊
  • 第109師団噴進砲中隊:横山義雄 大尉
  • 第109師団突撃中隊
  • 第109師団工兵隊:前川陽治 少佐
  • 第109師団通信隊:森田豊吉 中尉
  • 第109師団警戒隊
  • 第109師団野戦病院
小笠原兵団直轄
  • 歩兵第145連隊鹿児島):池田増雄 大佐
  • 戦車第26連隊西竹一 中佐
  • 重砲兵第9連隊:大坪四郎 中佐
  • 混成第1連隊:政木均 大佐
  • 独立混成第12連隊:坂田善市 大佐(南鳥島守備隊)
  • 独立混成第17連隊:飯田雄亮 大佐
  • 独立歩兵第274大隊:黒沢繁 大尉(母島守備隊)
  • 独立歩兵第275大隊:竹中直二 少佐(兄島守備隊)
  • 独立歩兵第276大隊:岩谷好 少佐(母島守備隊)
  • 独立機関銃第1大隊:川南洸 大尉
  • 独立機関銃第2大隊:川崎時雄 大尉
  • 独立速射砲第8大隊:清水一 大尉
  • 独立速射砲第9大隊:小久保蔵之助 少佐
  • 独立機関銃第10大隊:松下久彦 少佐
  • 独立速射砲第11大隊:野手保次 大尉
  • 独立速射砲第12大隊:早内政雄 大尉
  • 独立臼砲第20大隊:水足光男 大尉
  • 中迫撃砲第2大隊:中尾猶助 少佐
  • 中迫撃砲第3大隊:小林孝一郎 少佐
  • 独立迫撃砲第1中隊
  • その他直轄部隊
    • 特設機関砲隊
      • 特設第20機関砲隊
      • 特設第21機関砲隊
      • 特設第43機関砲隊
      • 特設第44機関砲隊
    • 船舶工兵第17連隊:相川順一郎 少佐
    • 工兵第2中隊:武蔵野菊蔵 中尉
    • 要塞建築勤務第5中隊:谷川純忠 中尉
    • 野戦作井第21中隊:川中良夫 中尉
    • 父島陸軍病院:柴田完 軍医中佐

硫黄島戦時の構成

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終戦時の構成

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師団幹部

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  • 参謀:堀江芳孝 少佐

所属部隊

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  • 独立歩兵第303大隊:安東九州男 少佐
  • 独立歩兵第304大隊:中北実 少佐
  • 独立歩兵第305大隊:工藤文雄 大尉
  • 独立歩兵第306大隊:吉岡直彦 大尉
  • 独立歩兵第307大隊:加藤武宗 大尉
  • 独立歩兵第308大隊:的場末男 少佐
  • 重砲兵第9連隊:大坪四郎 中佐
  • 第109師団砲兵隊
  • 第109師団工兵隊:山本将八 大尉
  • 父島陸軍病院:柴田完 軍医中佐
  • 混成第1連隊:政木均 大佐
  • 独立混成第12連隊:坂田善市 大佐
  • 独立混成第17連隊:飯田雄亮 大佐
  • 独立歩兵第274大隊:黒沢繁 大尉
  • 独立歩兵第275大隊:竹中直二 少佐
  • 独立歩兵第276大隊:岩谷好 少佐
  • 船舶工兵第17連隊:相川順一郎 少佐

脚注

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  1. ^ 『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』197頁。
  2. ^ 『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』225-226頁。
  3. ^ 『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』226頁。
  4. ^ 『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』282頁。
  5. ^ 『帝国陸軍編制総覧』503頁。
  6. ^ 『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』353頁。
  7. ^ 『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』336頁。
  8. ^ 『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』412-413頁。
  9. ^ 『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』425頁。

参考文献

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  • 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
  • 外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
  • 外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
  • 別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。

関連項目

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リンク

[編集]
  • 祖父の硫黄島戦闘体験記 - 独立工兵東部第2753部隊に徴兵され、混成第1旅団工兵隊(第二次編成)に所属し、硫黄島の戦いを生き残った兵長の記録