コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「第3回衆議院議員総選挙」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m 転送回避
Cewbot (会話 | 投稿記録)
m Bot作業依頼: 綋繒譙褧を含む記事の改名に伴うリンク修正依頼 (野口褧) - log
255行目: 255行目:
|style="background-color:#bdb"|[[新井啓一郎]]
|style="background-color:#bdb"|[[新井啓一郎]]
!
!
|style="background-color:#bdb"|[[野口けい|野口褧]]
|style="background-color:#bdb"|[[野口褧]]
|-
|-
!4区
!4区

2020年8月20日 (木) 00:38時点における版

第3回衆議院議員総選挙
日本
1892年 ←
1894年(明治27年)3月1日
→ 1894年

内閣 第2次伊藤内閣
解散日 1893年(明治26年)12月30日
改選数 300
選挙制度 小選挙区制
有権者 直接国税15円以上納税の満25歳以上の男性日本国民
有権者数 440,113
選挙後の党派別勢力図
投票率 88.76%(減少 2.83%)

選挙前内閣総理大臣

伊藤博文

選出内閣総理大臣

伊藤博文

第3回衆議院議員総選挙(だい3かいしゅうぎいんぎいんそうせんきょ)は、1894年明治27年)3月1日に行われた日本帝国議会衆議院議員総選挙である。

概説

第2回衆議院議員総選挙において選挙干渉を指揮したとされて失脚した内務大臣品川弥二郎は、その後吏党系議員の再結集を図って国民協会を設立した。ところが、この過程で吏党側は分裂して同盟倶楽部のように民党側に奔る集団まで現れた。また、政権も第1次松方内閣から第2次伊藤内閣に移ると、前政権を支持していた国民協会内部には伊藤内閣への不満が高まってきた。一方の民党側でも藩閥が譲歩するなら妥協も考慮するとした自由党と藩閥と徹底的に争う姿勢を見せた立憲改進党の間で対立が見られるようになった。

伊藤内閣は外務大臣陸奥宗光の元で先に治外法権の解消を図る条約改正をまとめようとしていた。これに対して国民協会の主流派である国粋主義者達は「完全な対等条約以外の条約改正は認めず、安政条約を忠実に履行すべし」とする「条約励行論」を唱えた(安政条約を忠実に履行すれば、外国人は外国人居留地の外への自由な外出が不可能となる)。これに吏党・民党を問わず伊藤内閣に不満を抱く各党派が揃って同調、対外硬派硬六派)と呼ばれた。同じ頃、自由党から出していた衆議院議長星亨が不正問題を理由に衆議院を除名とされて強引に議長を辞めさせられるという事件が起きた。自由党は星がかつて陸奥の引き立てを受けた人物であることから、これを硬六派に参加している国民協会や立憲改進党の陰謀として激しく反発した。

1893年(明治26年)12月8日大日本協会主宰者の安部井磐根を中心とした多数派による「条約励行建議案」が提出されると、これを条約改正を葬り去ろうとする謀略であるとした陸奥らの主張によって29日に衆議院本会議での安部井による同案の趣旨説明最中に停会が宣言され、翌30日衆議院解散が行われた。

この選挙では大規模な選挙干渉こそは避けられたものの、硬六派特に国民協会への圧迫が加えられた。加えて国民協会が吏党が本来持つ与党的色彩を失ったことで有権者の離反を招き、吏党では最多議席を確保したものの、解散前の69から35に激減した。逆に反政府でも前回の干渉で大打撃を受けた自由党は今回の硬六派に参加しなかったことで政府の目下の敵対者とは看做されずに干渉の対象外とされたために、大幅に議席を伸ばした。立憲改進党も硬六派ということで政府の圧迫を受けたものの、前回よりは緩やかであったために揺り戻し効果によって増加した。

自由党も硬六派も過半数を得られなかったことに加えて、自由党も外交政策では政府を支持したものの、政府の緩慢な行政改革に対する批判は依然継続しており、伊藤内閣が明確な支持勢力を議会に持たない状況は全く変わりなかった。そして、わずか3ヶ月後には再度の解散を迎える事になるのである。

選挙データ

内閣

解散日

解散名

投票日

  • 1894年(明治27年)3月1日

改選数

  • 300

選挙制度

  • 小選挙区制(一部2人区制)
  • 記名投票
    • 1人区(単記投票) ‐ 214
    • 2人区(連記投票) ‐ 43
  • 制限投票
    • 直接国税15円以上納税の満25歳以上の男性
    • 有権者 440,113

その他

  • 立候補者 729

選挙結果

投票率

  •  88.76% (前回比-2.83%)

党派別獲得議席

政党名 議席数 議席内訳
吏党 68
国民協会 35
同志倶楽部 24
大日本協会 9
民党 198
自由党 120
立憲改進党 60
同盟倶楽部 18
無所属 34
合計 300

この選挙で当選

 自由党   立憲改進党   国民協会   大日本協会   立憲革新党   その他 

※神奈川3区は東京府にまたがる選挙区に再編され、東京13区として扱われたため、存在しない。
※立憲革新党は選挙後に同志倶楽部と同盟倶楽部が合併して誕生した政党。

青森県 1区 源晟 工藤行幹 2区 榊喜洋芽 3区 菊池九郎
岩手県 1区 谷河尚忠 2区 小笠原定一 3区 佐藤昌蔵 4区 下飯坂権三郎 5区 平田箴
宮城県 1区 草刈親明 2区 武者伝二郎 3区 後藤敏康 4区 大庭長九郎 5区 首藤陸三
秋田県 1区 目黒貞治 2区 横山勇喜 3区 野出鋿三郎 4区 坂本理一郎 武石敬治
山形県 1区 佐藤里治 佐竹正詮 2区 山下千代雄 3区 駒林広運 阿部孫左衛門
4区 重野謙次郎
福島県 1区 小笠原貞信 2区 平島松尾 3区 河野広中 吉田正雄
4区 山口千代作 柴四朗 5区 愛沢寧堅
茨城県 1区 関戸覚蔵 関信之介 2区 大津淳一郎 野口勝一 3区 浜名信平
4区 初見八郎 5区 大久保端造 6区 斎藤斐
栃木県 1区 星亨 2区 田村順之助 新井章吾 3区 田中正造 4区 塩田奥造
群馬県 1区 新井毫 2区 金井貢 3区 中島祐八 4区 木暮武太夫 5区 清水永三郎
埼玉県 1区 加藤政之助 2区 福田久松 高田早苗 3区 新井啓一郎 野口褧
4区 湯本義憲 斎藤珪次 5区 原善三郎
千葉県 1区 千葉禎太郎 2区 小倉良則 四宮有信 3区 板倉中 4区 西村甚右衛門
5区 伊藤徳太郎 6区 高橋喜惣治 7区 鈴木清三 8区 安田勲
神奈川県 1区 島田三郎 2区 山田泰造 4区 山田東次 5区 山田嘉穀 6区 福井直吉
山梨県 1区 斎藤卯八 2区 依田道長 3区 加賀美嘉兵衛
東京府 1区 末吉忠晴 2区 桧山鉄三郎 3区 稲田政吉 4区 楠本正隆 5区 奥三郎兵衛
6区 高梨哲四郎 7区 角田真平 8区 阿部孝助 9区 鳩山和夫 10区 林和一
11区 浅香克孝 12区 高木正年 13区 中村克昌 石坂昌孝
新潟県 1区 萩野左門 2区 丹後直平 佐藤力作 3区 佐藤定七 4区 大竹貫一
5区 高橋九郎 長谷川泰 6区 内藤久寛 7区 岡村貢 久保田右作
8区 室孝次郎 太田孫次右衛門 9区 松本八十八
富山県 1区 関野善次郎 原弘三 2区 野村脩造 3区 稲垣示 4区 島田孝之
石川県 1区 松田吉三郎 吉本栄吉 2区 梅田五月 3区 真舘貞造 浅野順平
4区 小間粛
福井県 1区 竹尾茂 2区 杉田定一 3区 黒田道珍 4区 時岡又左衛門
長野県 1区 小島相陽 2区 島津忠貞 3区 佐藤八郎右衛門 4区 川上源一 森本省一郎
5区 木内信 6区 中村弥六 7区 伊藤大八
岐阜県 1区 大野亀三郎 2区 岸小三郎 3区 高木貞正 4区 松原芳太郎 5区 須田万右衛門
6区 浅見与一右衛門 7区 永田吉右衛門
静岡県 1区 井上彦左衛門 2区 影山秀樹 3区 広住久道 4区 丸尾文六 5区 足立孫六
6区 松島廉作 7区 江原素六 大村和吉郎
愛知県 1区 国島博 2区 小室重弘 3区 江崎均 4区 倉知伊右衛門 5区 森東一郎
6区 加藤喜右衛門 7区 天埜伊左衛門 8区 太田善四郎 9区 今井磯一郎 10区 加藤六蔵
11区 三浦碧水
三重県 1区 栗原亮一 2区 鈴木充美 3区 木村誓太郎 4区 土居光華
5区 尾崎行雄 森本確也 6区 深山聳峮
滋賀県 1区 中田長茂 2区 岡田逸治郎 3区 大東義徹 中小路与平治 4区 脇坂行三
京都府 1区 坂本則美 2区 竹村藤兵衛 3区 安田益太郎 4区 田宮勇
5区 田中源太郎 河原林義雄 6区 神鞭知常
大阪府 1区 粟谷品三 2区 土居通夫 3区 前川槙造 4区 秋岡義一 村山龍平
5区 高井幸三 6区 植田重太郎 7区 東尾平太郎 8区 大井憲太郎 9区 佐々木政乂
兵庫県 1区 鹿島秀麿 2区 村野山人 3区 田艇吉 4区 石田貫之助 5区 魚住逸治
6区 西村真太郎 7区 名倉次 8区 肥塚竜 改野耕三
9区 佐藤文兵衛 岡精逸 10区 佐野助作
奈良県 1区 中山平八郎 2区 桜井知則 植田理太郎 3区 松本長平
和歌山県 1区 千田軍之助 鎌田栄吉 2区 望月右内 3区 山本隆太郎 並木弘
鳥取県 1区 石谷董九郎 2区 田江弥三郎 3区 渡部芳造
島根県 1区 園山勇 2区 並河理二郎 3区 高橋守衛 4区 恒松隆慶 5区 佐々田懋
6区 八幡信太
岡山県 1区 竹内正志 小林樟雄 2区 日笠恒太郎 3区 犬養毅 4区 守屋此助
5区 東良三郎 6区 加藤平四郎 7区 井手毛三
広島県 1区 佐々木高栄 藤田高之 2区 小田貫一 3区 野平穣 4区 和田彦次郎
5区 脇栄太郎 6区 秋山忠夫 7区 長寿彦 8区 倉田準五郎 9区 井上角五郎
山口県 1区 森清蔵 吉富簡一 2区 西村礼作 3区 大岡育造
4区 磯部十蔵 三輪伝七 5区 河上逸
徳島県 1区 湯浅貞太郎 2区 守野為五郎 3区 武市彰一 4区 橋本久太郎 5区 阿部興人
香川県 1区 中野武営 2区 林喬 3区 綾井武夫 4区 三崎亀之助 5区 森輝見
愛媛県 1区 藤野政高 鈴木重遠 2区 柳瀬春次郎 3区 重岡薫五郎 4区 工藤干城
5区 清水隆徳 6区 玉井安蔵
高知県 1区 小松三省 2区 林有造 片岡健吉 3区 西山志澄
福岡県 1区 津田守彦 2区 藤金作 多田作兵衛 3区 征矢野半弥 4区 佐々木正蔵
5区 武内美代吉 6区 立花親信 7区 福江角太郎 8区 末松謙澄
佐賀県 1区 武富時敏 野田常貞 2区 中江豊造 3区 二位景暢
長崎県 1区 家永芳彦 富永隼太 2区 山口新一 3区 志波三九郎 4区 草刈武八郎
5区 宮崎栄治 6区 藤崎可賛
熊本県 1区 佐々友房 有吉平吉 2区 戸田熊彦 3区 紫藤寛治 古荘嘉門
4区 渡辺敬生 5区 渋谷礼 6区 小崎義明
大分県 1区 安東九華 2区 箕浦勝人 3区 朝倉親為 4区 広瀬貞文 5区 元田肇
6区 山口半七
宮崎県 1区 岩切門二 2区 安田愉逸 3区 小林乾一郎
鹿児島県 1区 厚地政敏 2区 折田兼至 3区 長谷場純孝 4区 柏田盛文 5区 河島醇
6区 蒲生仙 7区 大島信

参考文献

  • 佐々木隆『藩閥政府と立憲政治』(吉川弘文館 1992年 ISBN 4642036326

関連項目

外部リンク