衆議院選挙区一覧 (1947-1993)
衆議院選挙区一覧(しゅうぎいんせんきょくいちらん)は、日本の衆議院議員総選挙において、1947年の第23回総選挙から1993年の第40回総選挙まで用いられた中選挙区制における選挙区の区割りを示したものである。
概説
[編集]衆議院議員選挙法施行時の制度変遷(第1 - 23回)
[編集]大日本帝国憲法下において制定された衆議院議員選挙法では、以下のような選挙制度の変遷をたどっている。
- 小選挙区制・定数300。各府県(北海道及び沖縄県を除く)を3〜12の小選挙区に分割し、257の選挙区を設置。選挙区の定数は原則として1であるが、郡部の区割りが困難であったことから定数2の選挙区が43箇所設置された。
- 1900年の衆議院議員選挙法改正により導入、1902年の再改正により定数・区割りの一部を変更。大選挙区制・定数381。各道府県において市制を施行している市(主に道府県庁所在地)はそのまま市域を選挙区とし、それ以外の郡部を一括して一つの選挙区とした(そのため、市が存在しない県は自動的に全県区となる)。定数は最大の新潟県郡部(新潟市以外の全域)が13、最小は市単位の選挙区を中心に1とばらつきが大きい。
- 1902年の再改正では、新しく市制を施行した都市の細分化を中心に分区が行われている。なお、北方領土及び沖縄県の先島諸島(宮古諸島及び八重山諸島)には選挙区が設定されなかった。
- 1919年の衆議院議員選挙法改正により導入。定数は464と大幅に増加。再び小選挙区制となるが、この区割りによる選挙は2回しか実施されなかった。選挙区ごとの定数は1〜3と幅がある。北方領土は北海道9区(定数1)の一部に、沖縄県の先島諸島は沖縄2区(定数2)の一部となり、初めて選挙が実施された。
- 1925年の衆議院議員選挙法改正により導入。中選挙区制、定数は466。選挙区ごとの定数は3〜5で、1947年の第23回総選挙において中選挙区制が再導入された際や、戦後の公職選挙法制定時にもこの時の区割りがベースとなった。なお、1945年4月の衆議院議員選挙法別表改正により樺太・朝鮮半島・台湾にも選挙区が設置されたが、これらの選挙区において同法に基づく選挙が実施されることは無かった。
- 1945年12月の衆議院議員選挙法改正により導入。大選挙区制、定数は468。北海道・東京都・新潟県・愛知県・大阪府・兵庫県・福岡県を2区、それ以外の府県を全府県区とする。選挙区ごとの定数は最大の北海道1区・長野全県区・静岡全県区が14に対し最小の鳥取全県区が4。米国占領下にあった沖縄県は定数2が割り振られていたが、実際には選挙は行われなかった。また、北方領土(この選挙では北海道2区の一部とされた)においてはソ連(後にロシア)の占領・実効支配が現在に至るまで続いているため、この回以降の選挙は行われていない。
- 1947年3月の衆議院議員選挙法改正により導入。再び中選挙区制となり、定数は466。1925年改正の区割りをほぼ踏襲しており、1950年制定の公職選挙法でもこの区割りがほとんどそのまま引き継がれた。東京都小笠原諸島(東京2区の一部とされた)と鹿児島県大島郡(鹿児島3区の一部とされた)、沖縄県(全県区・定数5)は米国占領下にあったため、選挙は行われなかった。
公職選挙法制定後の主要な変遷(第24 - 40回)
[編集]日本国憲法施行に伴いそれまでの貴族院に代わって参議院が新設され、1947年に参議院議員選挙法に基づく第1回参議院議員通常選挙を実施。1950年には院ごとに分かれていた選挙法の統合や首長公選制の導入を目的として、新しく公職選挙法が制定された。その際、衆議院の選挙区は第23回総選挙における区割りが一部、小幅な地域の変更が行われたのを除きほぼそのまま踏襲されたが、回を重ねるごとに農村部から都市部への大幅な人口の移動により回を追うごとに一票の格差が顕著となった。そのため、是正策として区割りを記載した別表1の但し書きに基づき5年ごとに行われる国勢調査の結果を反映した区割り・定数の見直しを行うこととされていたが、実際に定数是正が行われたのは中選挙区制最後の総選挙となった第40回(1993年)までの間、43年間で4回に留まった。
定数は当初、第16回から21回まで用いられた3〜5であったが1953年の奄美群島返還に伴い定数1の奄美群島選挙区が新設され、1986年5月の公職選挙法改正による定数是正(8増7減で合計定数512とする)において北海道1区が定数5→6に増員され最大定数となる一方で新潟4区・石川2区・兵庫5区・鹿児島3区が定数3→2に減員され、選挙区ごとの定数幅は1〜6に拡大した。1992年の公職選挙法改正(9増10減で定数511とする)では新たに福岡1区が定数5→6となり、東京8区・和歌山2区・大分2区・宮崎2区が定数3→2に減員。他方、唯一の小選挙区であった奄美群島区は鹿児島1区に編入され、鹿児島1区は定数4のままとされたことから実質定数減となり、選挙区ごとの定数幅は2〜6となった。
以下は、主な区割りの変遷である。定数の増減については各選挙区の項も参照。
- 1953年の奄美群島返還に伴い、旧衆議院議員選挙法では鹿児島3区の一部とされていた名瀬市と大島郡を独立した奄美群島選挙区として新設、これに伴い定数は1増の467となる。同選挙区の定数は1で、1992年の公選法改正により鹿児島1区へ編入されるまでの間、唯一の小選挙区であった。
- 定数が19増の486に。東京1・5・6、愛知1、大阪1区をそれぞれ2分割。
- 同年5月の沖縄返還に伴い、沖縄全県区(定数5)において初めて選挙実施。これに伴い定数は5増の491に。
- 定数が20増の511に。埼玉1、千葉1、東京7、神奈川1・3、大阪3区をそれぞれ2分割。
- 定数が1増の512に。8増7減のほか、和歌山県、愛媛県、大分県で区割りの一部変更を実施。
- 奄美群島区を鹿児島1区に編入、定数は1減の511に。翌1994年の公選法改正で小選挙区比例代表並立制が導入され、中選挙区下の総選挙はこの回が最後となった。
中選挙区区割り一覧
[編集]- 自治体名は1993年7月18日の第40回総選挙時点のものである。現行の自治体と名称が同一であっても、合併などにより現行の区域と境界が一致しない場合がある。
- ★は1964年・◆は1975年の公職選挙法改正で分割された選挙区。●は1992年の公職選挙法改正で合区された選挙区。
北海道
[編集]- 公職選挙法別表上、第5区には北方領土を含むが実際には選挙は行われていない。
青森県
[編集]岩手県
[編集]宮城県
[編集]秋田県
[編集]山形県
[編集]福島県
[編集]茨城県
[編集]栃木県
[編集]群馬県
[編集]埼玉県
[編集]- 1975年の公職選挙法改正により旧1区(定数4)を新1区(定数3)と5区(定数3)に分割。
- 第1区(定数4)◆※第34回(1976年) - 第39回(1990年)は定数3
- 第2区(定数5)※第23回(1947年) - 第37回(1983年)は定数3、第38回(1986年) - 第39回(1990年)は定数4
- 第3区(定数3)
- 第4区(定数4)※第23回(1947年) - 第37回(1983年)は定数3
- 第5区(定数4)◆※第34回(1976年) - 第39回(1990年)は定数3
千葉県
[編集]- 1975年の公職選挙法改正により旧1区(定数4)を新1区(定数4)と4区(定数3)に分割。
- 第1区(定数5)◆※第23回(1947年) - 第37回(1983年)は定数4
- 第2区(定数4)
- 第3区(定数5)
- 第4区(定数5)◆※第34回(1976年) - 第37回(1983年)は定数3、第38回(1986年) - 第39回(1990年)は定数4
東京都
[編集]- 1964年の公職選挙法改正により旧1区(定数4)を新1区(定数3)と8区(定数3)に、旧5区(定数4)を新5区(定数3)と9区(定数3)に、旧6区(定数5)を新6区(定数4)と10区(定数4)にそれぞれ分割。
- 1968年、米国占領下にあった小笠原諸島の返還に伴い小笠原村を東京2区に編入(法律上は当初から選挙区の一部とされていた)。
- 1975年の公職選挙法改正により旧7区(定数5)を新7区(定数4)と11区(定数4)に分割。
- 第1区(定数3)★
- 小選挙区制における1994年〜2017年の東京都第1区と同一区域。
- 第2区(定数5)※第23回(1947年) - 第30回(1963年)は定数3
- 第3区(定数4)※第23回(1947年) - 第30回(1963年)は定数3
- 第4区(定数5)※第23回(1947年) - 第30回(1963年)は定数3
- 第5区(定数3)★
- 第6区(定数4)★
- 第7区(定数4)◆
- 第8区(定数2)★※第31回(1967年) - 第39回(1990年)は定数3
- 小選挙区制における1994年〜2017年の東京都第2区と同一区域。
- 第9区(定数3)★
- 第10区(定数5)★※第31回(1967年) - 第33回(1972年)は定数4
- 第11区(定数5)◆※第34回(1976年) - 第37回(1983年)は定数4
神奈川県
[編集]- 1975年の公職選挙法改正により旧1区(当初定数4、第31回より5)を新1区(定数4)と4区(定数4)に、旧3区(定数5)を新3区(定数3)と5区(定数3)に分割。
- 第1区(定数4)◆
- 第2区(定数5)※第23回(1947年) - 第33回(1972年)は定数4
- 第3区(定数5)◆※第34回(1976年) - 第37回(1983年)は定数3、第38回(1986年) - 第39回(1990年)は定数4
- 第4区(定数5)◆※第34回(1976年) - 第39回(1990年)は定数4
- 第5区(定数3)◆
新潟県
[編集]- 第1区(定数3)
- 第2区(定数3)※第23回(1947年) - 第37回(1983年)は定数4
- 第3区(定数5)
- 第4区(定数2)※第23回(1947年) - 第37回(1983年)は定数3
- 小選挙区制における1994年〜2022年の新潟県第6区と同一区域である。
富山県
[編集]石川県
[編集]福井県
[編集]- 福井県全県区(定数4)
山梨県
[編集]- 山梨県全県区(定数5)
長野県
[編集]岐阜県
[編集]静岡県
[編集]愛知県
[編集]- 1964年の公職選挙法改正により旧1区(定数5)を新1区(定数3)と6区(定数3)に分割。また、2区に属していた旧守山市が名古屋市に編入されたことに伴い新1区と2区の間で区割りを変更。
- 第1区(定数4)★※第31回(1967年) - 第33回(1972年)は定数3
- 第2区(定数4)
- 第3区(定数3)
- 第4区(定数4)
- 第5区(定数3)
- 第6区(定数4)★※第31回(1967年) - 第33回(1972年)は定数3
三重県
[編集]滋賀県
[編集]- 滋賀県全県区(定数5)
京都府
[編集]大阪府
[編集]- 1964年の公職選挙法改正により旧1区(定数4)を新1区(定数3)と6区(定数3)に分割。
- 1975年の公職選挙法改正により旧3区(定数4)を新3区(定数4)と7区(定数3)に分割。
- 1989年に、それまで2区に属していた大阪市東区が南区と合併し中央区となったことから第39回(1990年)より旧東区域も6区に区割りが変更された。
- 第1区(定数3)★
- 第2区(定数5)※第23回(1947年) - 第30回(1963年)は定数4
- 第3区(定数5)◆※第23回(1947年) - 第37回(1983年)は定数4
- 第4区(定数4)
- 第5区(定数5)※第23回(1947年) - 第30回(1963年)は定数3、第31回(1967年) - 第39回(1990年)は定数4
- 第6区(定数3)★
- 第7区(定数3)◆
兵庫県
[編集]- 第1区(定数5)※第23回(1947年) - 第30回(1963年)は定数3、※第31回(1967年) - 第33回(1972年)は定数4
- 第2区(定数5)
- 第3区(定数3)
- 第4区(定数4)
- 第5区(定数2)※第23回(1947年) - 第37回(1983年)は定数3
- 現行の小選挙区制における兵庫県第5区は中選挙区時代の5区に旧2区の川西市の一部・三田市・川辺郡を加えた区域であり、小選挙区への移行に際して選挙区の範囲が拡大した珍しい事例である。
奈良県
[編集]- 奈良県全県区(定数5)
和歌山県
[編集]- 海草郡は当初、1区に属していたが1986年の区割り変更に伴い第38回(1986年)より2区へ移動。
- 第1区(定数3)
- 第2区(定数2)※第23回(1947年) - 第39回(1990年)は定数3
- 現行の小選挙区制における2022年以降の和歌山県第2区は中選挙区時代の2区よりも広く、旧2区に旧1区の海南市・橋本市・伊都郡を加えた区域である。
鳥取県
[編集]- 鳥取県全県区(定数4)
島根県
[編集]- 島根県全県区(定数5)
岡山県
[編集]広島県
[編集]山口県
[編集]徳島県
[編集]- 徳島県全県区(定数5)
香川県
[編集]愛媛県
[編集]高知県
[編集]- 高知県全県区(定数5)
福岡県
[編集]佐賀県
[編集]- 佐賀県全県区(定数5)
長崎県
[編集]熊本県
[編集]大分県
[編集]- 大分郡挾間町は当初、1区に属していたが1986年の区割り変更に伴い第38回(1986年)より2区へ移動。
宮崎県
[編集]鹿児島県
[編集]- 1953年の奄美群島返還に伴い第27回(1955年)より奄美群島区(定数1)を新設。なお、旧衆議院議員選挙法の区割りでは名瀬市・大島郡は3区の一部とされていた。
- 1992年の公職選挙法改正に伴い第40回(1993年)は奄美群島区を1区(定数4)に編入、実質定数1減。
- 第1区(定数4)●
- 第2区(定数3)
- 第3区(定数2)※第23回(1947年) - 第37回(1983年)は定数3
- 小選挙区制における1994年〜2017年の鹿児島県第5区と同一区域。
- 奄美群島区(定数1)●※第39回(1990年)を最後に廃止、1区へ編入
沖縄県
[編集]- 1972年の返還に伴い第33回より新設(1952年の公職選挙法制定時は、別表から削除されていた)。
- 沖縄県全県区(定数5)