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前登志夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

前 登志夫(まえ としお、1926年大正15年)1月1日[1] - 2008年平成20年)4月5日[1])は、日本歌人。本名、前 登志晃(まえ としあき)。日本芸術院会員。短歌結社「山繭の会」主宰[2]

経歴

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奈良県吉野郡下市町広橋で[1]、父理策、母可志の二男として誕生。旧制奈良中学(現・奈良県立奈良高等学校)を経て[1]同志社大学経済学部に入学するが[1]1945年(昭和20年)に応召されて中退。戦後まもなく詩作を始め、フランスドイツを学ぶ一方、柳田國男折口信夫民俗学にも傾倒した[1]1951年(昭和26年)に吉野に戻り[1]前川佐美雄を訪問[2]1956年(昭和31年)、詩集『宇宙駅』を刊行した[1]

その後、短歌に転じ、前川に師事する[1]1955年(昭和30年)、『樹』50首で第1回角川短歌賞最終候補(安騎野志郎名義)。1958年(昭和33年)に、角川書店『短歌』四月号にて、塚本邦雄上田三四二らと座談会「詩と批評をめぐって」に参加。1964年(昭和39年)第一歌集『子午線の繭』出版。この頃より、テレビ新聞雑誌等で吉野を語ることが多くなる。1967年、短歌結社「山繭(やままゆ)の会」を結成[2]1974年(昭和49年)金蘭短期大学助教授に就任[1]1980年(昭和55年)に歌誌『ヤママユ』創刊[2]1983年(昭和58年)以降、吉野に住み家業の林業に従事しながら、同地を中心に活動を展開[1]アニミズム的な宇宙観・生命観を表現した短歌を詠み続けた[1]。歌集のほかに、吉野をテーマとしたエッセイ集も多数執筆した。2005年(平成17年)、日本芸術院会員となる。

門下に、櫟原聰萩岡良博小林幸子喜多弘樹小谷陽子福井和子などがいる。

受賞・候補歴

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作品

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  • 『宇宙駅』昭森社、1956年
  • 『吉野紀行』角川書店(角川文庫)、1967年
  • 『山河慟哭』朝日新聞社、1976年
  • 『存在の秋』小沢書店、1977年、のち講談社文芸文庫
  • 『吉野日記』角川書店、1983年
  • 『樹下三界』角川書店、1986年
  • 『万葉びとの歌ごころ』日本放送出版協会、1986年(NHK市民大学)
  • 『吉野遊行抄』角川書店、1987年
  • 『吉野鳥雲抄』角川書店、1989年
  • 『吉野風日抄』角川書店、1991年
  • 『森の時間』新潮社、1991年、のち冨山房インターナショナル(2014年)
  • 『吉野山河抄』角川書店、1993年
  • 『木々の声』角川書店、1996年
  • 『明るき寂寥』岩波書店、2000年
  • 『病猪の散歩』日本放送出版協会、2004年
  • 『歌のコスモロジー 数奇と伝統』本阿弥書店、2004年
  • 前川佐美雄、塚本邦雄、山中智惠子、前登志夫、佐佐木幸綱、吉岡治、前川佐重郎監修『前川佐美雄全集』第3巻(散文)砂子屋書房、2008年3月
  • 『羽化堂から』日本放送出版協会、2009年
  • 『林中鳥語』ながらみ書房、2009年1月
  • 『魂の居場所を求めて』河出書房新社、2014年

歌集

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  • 『子午線の繭』、白玉書房、1964年
  • 『霊異記 前登志夫歌集』白玉書房、1972年
  • 『非在 自選歌集』短歌新聞社、1976年
  • 『繩文紀 歌集』白玉書房、1977年
  • 『前登志夫歌集』国文社、1978年
  • 『前登志夫歌集』小沢書店、1981年
  • 『樹下集』小沢書店、1987年
  • 『鳥獣虫魚』小沢書店、1992年
  • 『青童子』短歌研究社、1997年
  • 『流轉』砂子屋書房、2002年
  • 『鳥總立』砂子屋書房、2003年
  • 『前登志夫歌集』短歌研究社、2005年
  • 『落人の家 : 前登志夫歌集』ヤママユ叢書 第77篇、雁書館、2007年
  • 『大空の干瀬 : 前登志夫歌集』ヤママユ叢書 第85篇、角川書店、2009年4月
  • 『野生の聲』本阿弥書店、2009年11月
  • 『前登志夫全歌集』短歌研究社、2013年

参考文献

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  • 石井松尾『前登志夫の歌世界に遊ぶ』本阿弥書店、2022年2月

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 前登志夫研究室”. 一般社団法人 峠のまなび舎. 2024年11月19日閲覧。
  2. ^ a b c d 「吉野の山人」歌人・前登志夫の生前資料 弟子らが活用の道探る:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2023年10月31日). 2024年11月19日閲覧。

関連項目

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